若者にもっと手紙を書いてもらうための、キャッチコピー
みなさまこんにちは。むすびめです。
ことばの化学反応をコンセプトに、ことばにまつわる研究を行う
「ことばの研究生ブログ」。(ことば が3回出てきました)
第3回のテーマはキャッチコピーです。
研究生3人が受講した3ステップ・ライター塾の最終課題
「若者にもっと手紙を書いてもらうためのキャッチコピー」を題材に研究していきます。
まずは本課題で作成したコピーのなかから10本を
制作意図とともにご紹介します。
オンラインで手軽にメッセージを送ることが当たり前の今、
手紙の意味って、書くことの意味ってなんなのでしょう。それでは、どうぞ。
<若者にもっと手紙を書いてもらうための、キャッチコピー 10選(むすびめ)>
①便利になりすぎて、
伝わりきれない想いがありました。
【制作意図】
便利になることでより良い社会になる。
そんなことばかりではないと気づいた最近。
例えば、待ち合わせ。
今はGoogle Mapで目的地までの最適化されたルートがすぐ確認できます。
位置情報だってバッチリ。余程のことがなければ迷いません。
“早く着くこと”に秀でたそのツールは
道に迷って偶然見つけたカフェや、顔を上げて見えた街の景色
そんな生活の余白から、人を遠ざけてしまっているのではとも思います。
通信手段もそう。
郵送を待つ間に募る想い、行間に込められた気持ち
オンラインで完結する便利な伝達手段は、
手紙が運んでくれる細やかな心情を見逃してしまうのかもしれません。
このコピーは、デジタルコミュニケーションが持ち合わせていないものを
伝えることで、手紙の持つ伝える力に気づいてもらうためのコピーです。
(一本目から制作意図が長い…!ニ本目からは短くします笑)
②消した跡にも、想いは残る。
「ここを言うのはやめておこう。」「この書き方の方がいいかな?」
「ああ、この字が気に入らない…。」手紙を書くとき、そんな経験ありませんでしたか?
ラインやメールは、消してしまった言葉は跡形もなく消え去ります。
手書きの手紙には消しゴムの跡がほのかに残る。
そんな見えないシルシに書き手の想いが残っているのかもしれません。
書き直したって消したっていい。そこに君の想いがこもっている。
手紙を書くことを躊躇する方の
背中を押したいと思い書いたコピーです。
③手紙を出した。母から電話がかかってきた。
自分の経験から書いたコピーです。
離れて暮らす家族、返事の手紙より先に着信が届きます。(笑)
手紙ってやっぱり新鮮。
日々やり取りをしている人にも、しばらく連絡をとっていない人にも
会話のきっかけになる手紙を贈ってみてはいかがでしょうか。
④手紙をもらった。大切にされているなと思った。
親指ひとつで気軽にメッセージが送れる今、手紙はちょっと面倒くさい。
だからこそ、相手に与える印象は大きいと思います。
このコピーは手紙を受け取る側の心情で書きました。
そう感じてもらえるなら、大切なあの人に手紙を送ってみよう。そう思っていただけたら。
心に残る経験は、誰かの面倒のなかに潜んでるのかも、なんて思います。
⑤印象に残りやすいコミュニケーション。
1位会う 2位手紙。
実際の調査データを引用したメリット訴求コピーです。
ファクト(ここでは手紙を書くについての調査データ)をある程度予想し、
それを決定づける調査データを探しました。
事実に即した数字は、人を動かす訴求力を持ちます。
今回の目的は、若者が手紙を書きたくなること。
相手に印象深く感じてもらうために手紙を書く、という狙いです。
会うってハードル高い、次点が手紙なら書いてみようかな
そんな気持ちを喚起するコピーです。
⑥大人のマナーを、今のうちにマスターしてみる。
さて、さらにメリットの側面で手紙を捉えてみます。
会社員になり思うのですが、添え状や伝言メモなど
ちょっとした場面に素敵なメッセージを添えられる人ってすごく魅力的なんですよね。
でもそれをいきなり書いて!と言われるとめちゃくちゃ困ります。(笑)
今回のターゲット設定は学生。
今のうちに書いておけば、大人=社会人になった時に役立つかも。手紙をエモーショナルなツール以外として書いてもらうことをおすすめするコピーです。
⑦未来の自分に、エールを送ろう。
突然ですがみなさん、タイムカプセル郵便って知っていますか?
10年後までの未来の指定する日、指定する未来の場所に手紙が送れるというサービスです。
公益社団法人日本郵趣協会が行っています。
私はこのサービスではないのですが、未来の自分に手紙を送ったことがあります。
未来の自分に手紙を送る。なんだか新鮮ですよね。
「今送る」「他人に送る」もの、という認識から
手紙の新たな楽しみ方を提案するコピーです。
⑧もしかしたら、君からの手紙があの子の初めてになるかもしれない。
あの子の初めてって、なんだかどきっとしちゃいますよね。
とある調査アンケートによると、回答者の約60%の人が手紙をもらったことがないそうです。
恋人になる、初めての人になるハードルは高いけど、
初めて手紙をくれた人だったら、なれそうな気がしませんか?
そんな恋愛テクニックのひとつ?として手紙を贈ることを提案するコピーです。
⑨あの日の手紙を読んで、元カノと再会した。
あなたはこのコピーを読んで、どんな情景を思い浮かべましたか?
過去の手紙を引っ張り出して、当時の元カノに思いを馳せたのか。
はたまた、過去の手紙がきっかけで元カノに連絡を取り、直接会ったのか。
その結末はあなたのなかにあります。
(どちらにも捉えられるようなHow to sayにしました。)
手紙の持つ過去に振り返れるという特徴を
情景とともに表現しました。
➓ここ、書きながらにやにやしてたんでしょ。
このコピーは手紙を贈った後の情景を表現しています。
手紙がきっかけで距離が縮まった二人。そんな妄想をしながら書きました(笑)
相手を思って書いた手紙、送られた相手は贈ってくれた人のことを
想像して読んでくれると思います。
こんな風に、言って見たいし言われたいな〜。手紙、書いてみようかな。
(って、思ってもらえたら嬉しいな。)
キャッチコピーは、気づきと発見。
「ああ、そうだ!」「なるほど!」と思わせないと人は行動を変えません。
これは黒澤先生からの教えです。
「たしかに、手紙ってこんな効果があるかも!」
そんな風に思ってもらうことを目指したコピーを中心に、10本を選びました。(プレッシャー)
そして、人が動くか。
今回の課題で言うと、このコピーを読んで手紙を書きたくなるか。
そんな自問自答を繰り返しました。
10本のコピーは、手紙に対して全世代に共通する切り口が多く
ターゲットの「学生」に刺さるコピーが少ないのが反省点です。
各コピーの制作意図を書きながら、コピーをさらに深堀できたことも良い経験でした。
制作意図を書くなかで新たなコピーが生まれることも。
実は制作意図の方がいい言葉があるじゃん!というのもよくある気がします(笑)
さて、次回は研究生仲間のtontonさん、おーしろさんとともに
全員の課題の講評をしながら、キャッチコピーの研究をしていきます。
次回もぜひ、よろしくお願いします!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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