京都

京都がすきだ。わたしは首都圏に住んでいるのでなかなか行けないけれど、京都がとにかく好きなのだ。おかげで新幹線で一駅の大阪は未踏の地。すぐ隣なのに。

どれくらい好きなのかというと、小学生の時から憧れている。小学生の時、マンガの伝記もので紫式部を買ってもらった(当時、紫式部の伝記なんてなかなかなかった)。その後半は源氏物語の中でも小学生が読んで当たり障りのない帳がマンガになっていた。その本がとにかく好きで、繰り返し、繰り返し何度も読んだ。小6のとき、「あなたの好きな本は?」という設問に「源氏物語」と書いて物議を醸した。確かに今思えば源氏物語の好きな小学生は早熟すぎる。

それで困った親が、親なりに考えて買ってくれたのが赤塚不二夫先生が描いたマンガ版源氏物語。もちろん赤塚不二夫先生なので、そういうシーンは全て「あれぇー」となる。シェーのポーズと変わらない。風情がないな、と思いつつ、そこではじめて源氏物語の源氏物語なる話を知った。赤塚不二夫が功を奏したのか、逆にそういう性的な物語でも抵抗がなかった。

どうしてそんなに平安時代に心惹かれるんだろう、と思いつつ青春時代を送った。そして、高校の修学旅行で初めて京都に行った。

驚いたのは(都市として当たり前なんだけど)、ビルがたくさんあること。でもお寺巡りを始めると、その街をぐるりと囲むようにお寺がある。そこは現界とは区切られた場所であるかのように、空気が違うところだった。とにかく心が震えた。

それから今日まで何度か京都に行った。オフシーズンを狙っていくので、桜の咲く前の季節、真夏、冬(運良く紅葉が残っていた)とまさにひとが避けて通るシーズンに行っている。一度、桜の季節に行きたいなと思っている。紅葉を見た時、京都の人は紅葉がすきでたくさん植えたと聞いたけれど、こんなにぎっしり紅葉する木を集めて植えてあって、じゃあ、テレビ等で見る立派な桜は一体どこに植えてあるんだろうと不思議になったからだ。紅葉から桜に模様替えした姿をぜひ一度見てみたいものだ。

龍安寺、金閣、銀閣、清水寺は外せないなとなるとなかなか新規のお寺に行けずにいる。伏見稲荷にまだ行っていないので行って、あの見事な千本鳥居を見てみたい。

なぜこんな話になったかと言うと、夫がわたしを「出し抜いて」社員旅行で京都に行ったからである。話を最初に聞いた時には狡いと思ったけれど、約束通りにやよいのちりめん山椒と、すぐきの漬物を買ってきてくれたので良しとしよう。すぐきはスーパーでもたまに見かけるようになったけれど、やよいのちりめん山椒はなかなか手に入らない。ふっくらやわらかくて風味豊かなちりめん山椒を食べるのは楽しみだ。とても贅沢な気持ちになる。ちなみに社員旅行でそんなもの買いに行けるかと言われたので、京都駅に隣接しているデパートの地下で買えると伝えたら本当にそこで買ってきたので笑ってしまった。大安は近くのデパートにテナントが入っているので、もりの漬物が欲しかったのだけど、たどり着かなかったらしい。お疲れ様。京都気分を充填。しばらくこれで京都旅行を我慢しよう。

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