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うんとも、すんとも

 ここのところ、ずっとインターネットラジオ『チャポンと行こう!』を聴いている。公開収録回から現在までを聴いてから、コロナ禍に入った頃に遡って聴き、今は第一回から聴いている。
リスナーをチャポラーと呼ぶらしいけれど、もうチャポってばかりいるので「私はチャポラーです」と公言してもよい頃かもしれない。

 株式会社クラシコムの共同創業者であり取締役、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」店長佐藤さんと編集スタッフの青木さんこと、よしべさんの二人の会話。一番最初に聞いた時は私とは違う世界の人たちなんだと感じたというか、それはまるで湯あたりしてしまったような感覚だった。気持ちは湯を堪能したいのに、体は馴染めず困っている。「あ、だめかも」と思って、しばらく聞かずにいたけれど、本当に偶然Instagramでカフェを営んでいる髙橋美賀さんの存在を知ったことをきっかけにYouTubeでクラシコムさんが企画、制作したドキュメンタリーを観ることに。そこからのめり込むようにいろんな方を追った回を観続けた。そこで得た衝撃が忘れられない。

 具体的にこの言葉がというわけではなく、私は何者なのだろうとか、何が好きなのだろうとか、どんな仕事がしたいのかとか、ずっと答えが見つかりそうで見つからず霧の中を足元を確認しながら、おそるおそる前に進んでいるような私が探していたメッセージを見つけられたような気がした。
確かに心に響く言葉もあったかもしれないけれど、言葉以上に人が暮らす姿、一人一人の物語に胸を打たれた。
『うんともすんとも日和』も好きだけれど、『Morning Routine わたしの朝習慣』はずっと観ていたい。私自身、朝の時間が好きというのもあるけれど、自然光と映像から伝わるその人の暮らしの温度や空気感が心地よい。もちろんすべてが自分の好ましい暮らしとは言えないけれど、丁寧に自分らしい生活を送っているという共通点はある。この自分らしいというのが肝で、それぞれの方のリズムで工夫しながら無理なく過ごしている姿、まさに長年クラシコムさんが掲げている理念である、「フィットする暮らし」。すべての人が自分らしくあれたなら、世界は平和になるのかもしれない。それは本当にそうなのかもしれない。

 佐藤店長とよしべさんの会話の中で、よしべさんが泣いてしまった第12回。紆余曲折を経て今があるのは誰だって同じだろうけれど、ようやく何も続かなかった自分を肯定してくれた人との出会いが転機になった話に共感して、当時インテリア事務所に採用された報告を聞いて思わず涙を流してしまったよしべさんのように「よかったね」と佐藤店長に賛辞を伝えたくなった。もう今の会社の状況はきっと賛同する多くの人に支えられてある意味人も羨むほどだけれど物事にも人にも光と影がある。その影の部分、一人の人間だという部分を物語として日常的に発信しているスタイルは見習うべきところが多い。
 店舗でも会社でも組織単位で何か活動する時に必要なことはどんな人がどんな思いでどんな風に物事に取り組んでいるかということを伝えることであって、利用する側はただただ安心したいし、組織を信頼したいのだ、と個人的には感じている。と同時にこれから先、よりこの世界にフィットするためには、なるべく自然由来の素材を採用したり等、環境保全に貢献する取り組みも求められるのか、というか、個人的にそういうことを考えてしまうけれど完全エシカルな生活に移行するのも難しく、ただどうやったら地球と共生できるのかという視点を持つだけでも違う気はしている。

 しかし本当に佐藤店長とよしべさんの話を聞いていると落ち着く。佐藤店長の話には分かりやすい学びがあるのに対し、よしべさんの語りには不思議な魅力がある。佐藤店長自身もラジオの中で話していたことだけれど、よしべさんは普段からさり気ないやさしさ力を発揮しているのだろうなと想像する。難易度は高いかもしれないが、そういう点はぜひ見習いたい。もう発想や存在感は見習いたくてもどうしようもないので、話を聴いてただただ癒されている。二人の笑い声も良い響きで、いつもついつられて笑いそうになるのをこらえている。

 ここのところ、「この会社いいな」と思うことが続いていて、そういう企業がどんどん増えると日本も平和だなと思いつつ、草の根運動ではないけれど、やはり一人一人が平和になることも同時並行的に目指した方がよくて、私もそういった一人一人が平和になるための何かに貢献する仕事に就きたい。それがすぐに具体的に分かればいいが見つからない。イメージとしては、子ども、若者、女性、高齢者の方を支援する仕事。
引き続き、私らしさを発揮できる仕事を必ず出会えると信じて探すことにしよう。


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