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行動経済学とビジネス活用の具体例②「認知バイアス」

人間が意思決定をするときにこれまでの経験や先入観によって合理性を欠いた判断を下してしまうことを「認知バイアス」というようです。

今の快楽を優先してしまう「現在バイアス」や都合の良い情報だけを集めてしまう「確証バイアス」などが有名ですが、各バイアスを整理し、解説、具体ケース、ビジネス活用例をまとめてみました。





現在バイアス (Present Bias)

解説

現在の利益や快楽を将来の利益よりも優先してしまう心理的傾向。

具体ケース

  1. 将来のために貯金したほうが良いとわかっていても、今すぐ欲しい商品を衝動買いする。

  2. 長期的な健康を考えて運動しようと思っても、疲れているからといって今日の運動をやめてしまう。

  3. 勉強を計画していたが、スマホゲームや動画視聴に時間を費やしてしまう。

ビジネス活用例

  1. 「今すぐ契約すれば初月無料!」など、即時の行動を促す特典を提供する。

  2. 期間限定セールを実施し、急いで購入するように仕向ける。

  3. 無料サンプルや即時割引を提供して、購入の決断を早めさせる。

克服方法

  1. 目標を細かく設定する: 将来の利益を実感しやすくするために、短期的な目標を立てて達成する。

  2. コミットメントデバイスを利用する: 事前に将来の行動を制約する仕組みを作る(例:自動貯金設定)。

  3. リマインダーを設定する: 将来の目標を意識できるよう、定期的な通知やリマインダーを活用する。


確証バイアス (Confirmation Bias)

解説

自分の考えや信念を支持する情報を重視し、反対する情報を無視する傾向。

具体ケース

  1. 自分が好きな商品の良いレビューだけを探し、悪いレビューは見ないようにする。

  2. 特定のニュースサイトだけを閲覧し、反対意見を無視する。

  3. 自分の健康法が正しいと信じているため、それを支持する研究のみを引用する。

ビジネス活用例

  1. 顧客が持つポジティブな印象を強化するメッセージを使い、リピーターを増やす。

  2. 購入者レビューの中から、製品を支持する意見を強調して掲載する。

  3. 顧客の既存の好みに合った製品を提案するレコメンデーションシステムを活用する。

克服方法

  1. 反対意見に目を向ける: 自分の信念に反する情報を積極的に探し、視野を広げる。

  2. 第三者の意見を取り入れる: 他人の視点を借りて、自分の判断が偏っていないか検証する。

  3. 論理的思考を磨く: データや根拠に基づいた意思決定を心がける。


アンカリング効果 (Anchoring Bias)

解説

最初に提示された情報が基準となり、その後の判断に強く影響を与える心理現象。

具体ケース

  1. 高い価格を提示された後、割引された価格を見るとお得に感じてしまう。

  2. 予算会議で最初に提示された金額が、その後の議論で重要な基準となる。

  3. 最初に難しい問題を出されると、その後の簡単な問題がさらに簡単に見える。

ビジネス活用例

  1. 高い定価を提示し、その後に割引価格を見せてお得感を演出する。

  2. 上位プランをアンカーとして示し、その後に標準プランを魅力的に見せる。

  3. 最初に大きな数字を見せることで、その後の提案を手頃に感じさせる。

克服方法

  1. 他の基準と比較する: 最初に見た情報だけで判断せず、複数の基準を持つようにする。

  2. 冷静に考える時間を持つ: すぐに決定せず、一度時間を置いて再評価する。

  3. 具体的な情報を集める: 他の選択肢や代替案を探し、より客観的な視点を得る。


保有効果 (Endowment Effect)

解説

自分が所有しているものを、手放すことが難しく感じ、価値を過大評価してしまう傾向。

具体ケース

  1. 所有している古い家具を手放せないほど高く評価してしまう。

  2. 自分の家を売る際に、思い出があるために市場価格より高く売りたがる。

  3. 愛着のある洋服を、着なくても処分できないでいる。

ビジネス活用例

  1. 無料試用期間を設け、顧客に製品を「所有している」という感覚を持たせる。

  2. 商品を気に入った場合、返品するのが難しい心理を利用して購入を促す。

  3. サンプル品を提供し、商品を試すことで所有感を生じさせる。

克服方法

  1. 市場価格を調べる: 自分の所有物が本当に価値があるのか客観的に評価する。

  2. 第三者に相談する: 感情を排除するために、他人の視点を借りて判断する。

  3. 所有感を一時的に外す: 物理的に一度手放してみるなどして、冷静に考える機会を作る。


損失回避バイアス (Loss Aversion)

解説

人は利益を得ることよりも、損失を避けることに強い感情的な影響を受ける傾向がある。

具体ケース

  1. ポイントカードの有効期限が迫ると、ポイントを無駄にしたくなくて急いで使う。

  2. ギャンブルで損を取り返すためにさらにお金を投下する

  3. セールで「限定品」だと知ると、なくなる前に買いたくなる。

ビジネス活用例

  1. 「今だけの特典を逃さないで!」といったメッセージで損失回避の心理を利用する。

  2. 有効期限付きのクーポンを提供し、顧客に急いで使うよう促す。

  3. 限定商品や残りわずかの商品を強調して購買意欲を高める。

克服方法

  1. リスクとリターンを分析する: 可能な利益と損失を冷静に比較して考える。

  2. 小さなリスクから試す: 損失を避けることが本当に重要かどうか、小さな賭けをして確認する。

  3. 長期的な視野を持つ: 短期的な損失よりも、長期的な利益を考えるようにする。


利用可能性バイアス (Availability Bias)

解説

思い出しやすい情報に基づいて判断する傾向があり、最新の出来事が過度に影響を与える。

具体ケース

  1. 最近の犯罪ニュースを見て、街が危険だと思い込んでしまう。

  2. メディアで取り上げられた食品安全問題が気になり、関連食品を避けるようになる。

  3. 有名人の事故をニュースで見た後、同じことが自分にも起こるのではと不安になる。

ビジネス活用例

  1. 顧客の印象に残る実績や成功事例を広告に掲載し、信頼感を高める。

  2. 最近のトレンドに基づいた商品をアピールすることで、関心を引く。

  3. 新商品のプロモーションで話題性のある出来事を活用し、注目を集める。

克服方法

  1. 複数の情報源を確認する: 自分の判断が一部の情報に偏っていないかチェックする。

  2. データを活用する: 主観的な印象ではなく、客観的なデータに基づいて決定する。

  3. 時間をかけて考える:

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