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ノーベル文学賞と訳書の有無

先日、今年2023年のノーベル文学賞の受賞者が発表された。受賞者はノルウェーの劇作家ヨン・フォッセ。私自身は不勉強で初めて聞いた名前だったが、ノルウェーの演劇界ではイプセン以来の重要な劇作家と言われているらしい。

さて。このヨン・フォッセの著作の日本語訳書が、現時点では出ていないらしい(おそらくこれを機会に出版されることになるとは思うが)。

この「ノーベル文学賞受賞時に訳書がない」ということがこの数年で結構あったこともあり、一部では「日本における翻訳文学文化の衰退」を心配する声が上がっていた。

そんななか、クッツェーの著作の翻訳や、翻訳に関する著作で知られる翻訳家の鴻巣友季子さんが、こんなツイートをされていた。

つまり、昨今に限った苦境とは一概に言えず、10年に数人ぐらいの割合で「訳書が出版されていない作家」が出てくるものなのではないか、という話だ。

私は現在の翻訳文学の事情や現代文学史については素人でしかないが、こういうのを見ると可視化して、なんらかの要因がありうるのかつい考えてみたくなる癖がある。

そこで、「ノーベル文学賞受賞時に訳書があるか否か」は、

  1. 受賞者のジャンル

  2. 受賞者が主に用いる言語

  3. 受賞年が好景気に該当するか否か

このいずれかに影響を受けるのではないか、という「仮説」を考えて変数を設定し、グラフ化してみた。

それが以下の3つのグラフである。

「ノーベル文学賞受賞時点での訳書の有無」と「ジャンル」
「ノーベル文学賞受賞時点での訳書の有無」と「言語」
「ノーベル文学賞受賞時点での訳書の有無」と「景気」

どれも、あり・なしの割合の大小が逆転するほどまではいかないが、特に「ジャンル」に関しては、偏りがある、といっても良さそうである。

小説以外のジャンルはなかなか訳書が出にくい、というのはこの約50年を通じて言えそうである。

……とまあ、これはあくまで「お遊び」的な分析なので、「そんなこともあるかもねえ」ぐらいの気持ちでこの「結果」を眺めてもらえれば幸い。

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