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【10クラ】第24回 鍵盤のコロラトゥーラ

10分間のインターネット・ラジオ・クラシック【10クラ】
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第24回 鍵盤のコロラトゥーラ

2021年11月26日配信

収録曲
♫フレデリック・ショパン:黒鍵(練習曲集 作品10より 第5曲 変ト長調)

オープニング…サティ:ジュ・トゥ・ヴ
エンディング…ラヴェル:『ソナチネ』より 第2楽章「メヌエット」

演奏&MC:深貝理紗子(ピアニスト)


プログラムノート

声によってコロコロと音を駆け巡る高度な技術“コロラトゥーラ”。
美しく真珠を連ねるように自在に声を操れるソプラノ歌手はいつの時代も華麗に舞台に花を添えてきた。

16世紀、現存する最古のオペラ「オルフェオ」の作者モンテヴェルディから見ても、例によってイタリアからフランス王朝に持ち込まれた流れの中でラモーを経て、モーツァルトの時代まで、「オペラを書いてこそ作曲家」の風潮があった。

ベートーヴェンもオペラは書いたものの、ほかの楽曲の実験要素が大きすぎた。それがかえって、社会情勢とも相まって音楽家の独立と、自由度の高い働き方を手に入れ得たわけだが、花形と言えばオペラ、の空気はまだしばらく残っていた。

フランス革命後に音楽の中心がパリに集結するころ、ひときわ人気を誇っていた作曲家がいた。
ヴィンチェンツォ・サルヴァトーレ・カルメロ・ベッリーニ。
イタリア生まれのその作曲家は多くの美しい旋律を生み出して、リスト、ベルリオーズ、ワーグナーなど後の錚々たる作曲家たちに影響を与えた。
ベッリーニを目指して、彼のいる土地に向かう若き音楽家たちもいたほどである。飛行機など当然ない、月単位の長旅のなかでの話に驚きを隠せない。

ピアノ以外の楽器のイメージがあまりないかもしれないショパンもまた、ベッリーニのファンだった。それは弟子をとるようになってからでも変わらない。
「ベッリーニを聴きなさい」と教え子たちに話していたのは有名な話である。

さて、ノクターンのような旋律美がベッリーニ・オペラの影響があるかもしれないが、今回はもうひとつ、ピアノにおける「コロラトゥーラ」を思わせる作品を紹介したい。

ショパンのエチュード Op.10 より第5曲、通称「黒鍵」。
鍵盤をめまぐるしく駆け巡るこの曲は、ともすれば技巧曲として通り過ぎてしまうが、これもまた、高い音楽性を持ったベッリーニ・オペラを愛したショパンによる「歌」である。
数多くある音の一つ一つ、音の隙間をも縫って煌びやかに美しく歌われていく右手に、多彩に左手による管弦楽器が加わる。華やかなトランペット、柔らかいホルン、優雅なヴィオラ、コミカルなファゴット…想像するだけで楽しくて仕方がない。
2分にも満たない作品のなかで、舞台を構築するショパンの天才性。
ぜひ各々の想像の舞台を、膨らませていただきたい。

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musiquartierーピアニスト深貝理紗子のミュジカルティエ
クラシック音楽を届け、伝え続けていくことが夢です。これまで頂いたものは人道支援寄付金(ADRA、UNICEF、日本赤十字社)に充てさせて頂きました。今後とも宜しくお願いします。 深貝理紗子 https://risakofukagai-official.jimdofree.com/