当たってしまった。 俺の願いは届かなかった。 普段ならこんなことは考えないのだが、今回はそうするわけにはいかない。目立つと狙われてしまう。 だから俺は目立たぬように息を潜めた。存在を気取られぬように、細心の注意をはかった。大きな音をたてぬように、動きは最小限に努めた。 しかし、それが逆に目立つと思い周囲と同じ行動をとった。 しかしその努力は一瞬で無駄になった。 「じゃあお前」 俺は数学担任に当てられてしまった。大好きな数学で、苦手な幾何の問題をクラスメ
今日はおやすみ〜
別れようって言われた。 仕事から帰ってきて、ご飯を食べようとしたときに。いつものように食卓には花と沢山の食事が並べられていて、食卓の上の匂いに期待していたときに伝えられた。 先週、買い物帰りに嬉しそうに赤い花を抱えて帰ってきたばかりなのに。 別れの理由を聞いても彼女は下を向いたまま黙ってご飯を食べている。今まで俺の態度が悪かったよね、もっと手伝うし。どれほど喋ってもこちらを向いてはくれない。 彼女は箸を置いて顔をあげた。そして言った。 「それなの?」 キクを指し
「ありがとうございます」 「あ、はい」 「どういったものをお探しでしょうか?」 「なんていうかおもしろいものっていうか」 「……」 「エ、エンタメ系ですね」 「あ!漫画でしょうか?」 「あ……違いますね。えっと……そういう方向の楽しいではないというか」 「はい。でし
彼はスタートラインで準備を始めた。 腕を組み、左へ伸ばしほぐした。 足を前へ置き、後ろ脚を伸ばした。 彼は服を気にしだした。手でゼッケンの下を弄り、着る服が変に織り込まれているのではないかと。 全身を眺めて、初めて着るゼッケンに不自然なところがないのかと。 クラウチングスタートを切るために、ポーズを足と手を合わせスタートの準備をとった。 顔は汗にまみれている。拭っても流れてくる。準備をしたいのに流れてくる。 ばん
今の頑張っている自分たちを象徴する曲です。私は頑張っている。みんなも頑張っている。だから私だけじゃなくてみんなつらい。でも頑張らないと。
ごめんなさい、今日はMMワールドあがりません。
延長だと言われましたね。やっぱり。そして、最近テレビを見る時間が増えてきました。音楽は楽しく力をくれます。音楽番組を見ていた流れでこれをみて,聴いて 今みんな頑張っているよな。今自分頑張っているな。でも頑張ろうと思いました。聞いて下さい。今力をもらえます。 https://www.youtube.com/watch?v=4ArjW4pgE78
ぴこん、ぴこん。青色が点滅しだした。 多くの人が走っている。リュックを背負った大学生や汗をかいたサラリーマンたちは必死に向こうへ向かっている。 より遠くへ遠くへと走っている。 女子高校生は走っている途中にこけてしまった。だめ、と言い途中で諦めて倒れてしまった。 リュックを背負った男子大学生は目の前の光景に絶望して立ち止まってしまった。 もうだめだ。 ウルトラマンはもういない。
長い列に並んでいる。男女性別問わず多くの人が並んでいる。 「いらっしゃませ。お持ち帰りか店内どういたしますか?」 もちろん「店内でお願いします」というとかしこまりましたと言って、彼女は質問を始めた 「ではMサイズでよろしいでしょうか?」 「単品でよろしいでしょうか?」 「セットに貝は如何でしょうか?」 隣の彼は「小さめの濃い口でお願いします」と答える。 席で待っていると、彼は注文通りMサイズのハンバー
暗闇の中、床に壊れかけのもの転がっている。針が止まった時計やボタンがとれたリモコン、先が欠けたゲームのコンセント。これらはどこからか漏れる光によって照らされている。その近くに存在する大きな塊が、広い倉庫の中でもそもそと動きながら荒々しく言う。 「これだ。これが、俺の世界だ。これが俺の居場所なんだ」 倉庫には男の言葉が響く。 ー1カ月前ー 「康太待ってよ。早いって」と言いながら、芝生の中で由美は俺
「ごはん」は一日3回食べるものとされている。 朝ご飯と昼ご飯と夜ご飯。 朝ご飯は、始まりに向かって食べる。 昼ご飯は、終わりに向かって食べる。 夜ご飯は、なんか食べる。 同じ「食べる」なのに、全然違う。そのはずが今は変わってきている。 戻って欲しい。
「それが……毛の抜けたおっさんだったんですよ」「ワハハハー」 お笑い芸人が話を落として、一斉に芸人たちが笑っている。大きく口を開けながらやけに大きな口で笑ってやがる。この芸人は楽しいのだろうか、毎週水曜日この時間にいつも笑っている。禿げた芸人が喋り終わると急に目の前で広がっているチラシの中身が気になり出した。一番上にあるのは地元のスーパーの特売デーに向けたチラシ
ワクチンについて前よりも言及される機会が増えましたが、ワクチンと言えば国外の企業が作るものを想像するのではないでしょうか?でも、 国内でも頑張っているところは頑張っている。今回はその例です。 つまりは地方自治体が企業を応援しているらしいです。大阪大学教授からスタートしたベンチャー企業らしく、そのため企業と大学の連携がとりやすいのでしょう。そして大阪府・大阪市が支援した。これはどうだろうか。 国が頑張って欲しい。 今回では特効薬かもしれないアビガンについては触れないが(
陽射しが眩しい。 そう思うといつもの散歩は少しめんどくさく感じられる。一歩一歩が面倒くさい。だけども、耳元で鳴る女性シンガーの音楽が家から目的地の公園まで歩く力をくれる。頑張れ、頑張れと応援している声がまるで自分だけを応援してくれているように感じられる。似たような歌が昔にもあったなあ、と考えているといつの間にか家の前に戻っていた。 玄関の郵便受けにはたくさんのチラシが入っていて、その中に怪しくも興味がそそられるものを見つけた。 黒色と藍色の中間の色がベースで、所々赤色の