レビュー Tahiti 80 "Here With You"
今回は、 フランスが誇るインディーポップ界のベテラン、Tahiti 80の約2年半ぶり通算9作目のスタジオアルバム、"Here With You"のレビューを書いていきたいと思います。
【収録曲】
1. Lost In The Sound
2. Vintage Creem
3. Telling Myself
4. Hot
5. Breakfast In LA
6. Cameo
7. UFO
8. Riddles & Rhymes
9. Zoo
10. Wicked Wicked
11. Let’s Get Started
12. Hot (Acoustic Version)
13. Lost In The Sound (Acoustic Version)
14. Zoo (Acoustic Version)
■煌びやかで軽快なシンセポップアルバム
Phoenixと並び、フランスのインディーポップ2枚看板の一角を担うベテラン、Tahiti 80。
2000年リリースのデビュー作"Puzzle"で鮮烈な登場を果たして以降、約20年間で8枚のアルバムを発表し、安定したクオリティの高さで着実にその地位を築き上げてきた。
2019年リリースの前作"Fear Of An Acoustic Planet"は、オリジナルアルバムとしてカウントするのが公式のようだが、内容としては既発曲のアコースティック・アレンジ版を収録したベストアルバムという趣になっているため、新曲のみのアルバムとしては2018年の"The Sunshine Beat Vol.1"以来ということになる。
"Sunshine Beat"では、傑作デビュー作への原点回帰とも言える煌びやかで弾けるようなサウンドに、ソウルやディスコの要素を織り交ぜ、軽快なテンポで聴かせるTahiti 80流シンセポップを披露した。
本作では、煌びやかなサウンドはそのままに、よりディスコ要素を深化させ、軽快でありつつもじっくりと聴かせる極上のシンセポップアルバムとなっている。
特筆したいのはそのメロディックさ。過去作を振り返っても、本作のソングライティングはかなり優れていると言っていい。キャッチーなグッドメロディが満載となっている。
ベテランの域に突入しても、音楽性はまだまだ老け込んでいないどころか、素晴らしいエネルギーに満ち溢れた新作を届けてくれた。
■ソングライティングの優れた全11曲
#1 Lost In The Sound これぞTahiti 80節と言いたくなるような、清涼感に満ち溢れたシンセの音色がカラフルでポップで、アートワークのような落ち着いた大人の雰囲気も合わせ持った一曲。
#2 Vintage Creem フックの効いたリフが印象的な、ミディアムテンポのキャッチーなポップソング。
#3 Telling Myself 開放的でキャッチーなメロディ満載のアップテンポナンバー。
#4 Hot どことなくエキゾチックな雰囲気を漂わせたシンセの音色が印象的な、ミディアムテンポな一曲。
#5 Breakfast in LA 様々な音響効果や打ち込みを駆使し、スペーシーな空気感に覆われた一曲。
#6 Cameo 輪郭強めのビートに乗せて、普遍的なメロディを歌い上げるポップソング。
#7 UFO スペーシーな雰囲気を醸しつつ、ソングライティングにも優れた一曲。
#8 Riddles & Rhymes 派手さは無いが、この曲も地味にメロディが良い。
#9 Zoo ノスタルジック感をこれでもかと言わんばかりに詰め込んだディスコサウンド。
#10 Wicked Wicked タイトルを連呼するサビのフレーズがとんでもなくキャッチーな、極上のポップソング。
#11 Let's Get Started アコギとシンセの融合が心地よい、ゆったりとしたテンポの一曲。
期待の新人や若手の登場も嬉しいけれど、往年のベテランの健在ぶりというのも嬉しいものです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。