ソングライティングが素晴らしいElliott Smithの名曲Best20
今回は、個人的に敬愛してやまないシンガーソングライター、Elliott Smith(エリオット・スミス)の名曲を独自にランキング化したものを紹介していきたいと思います。
エリオットの音楽の魅力や、各作品への思いについて綴ったこちらの記事も是非読んで頂けると嬉しく思います。
今回のランキング化にあたっての選考基準は至ってシンプル、私が純粋にソングライティングが優れていると思う楽曲を、独断と偏見で20曲チョイスしました。
彼のファンなら誰もが選ぶであろう文句無しの代表曲から、私の個人的な趣味によって選ばれたコアな楽曲まで、幅広く網羅したつもりです。
まだエリオット・スミスの音楽に触れたことがないという方は、是非この機会に素晴らしい楽曲の数々に出会って頂けたら幸いです。
それでは20位から順に発表していきます。
第20位 Let's Get Lost
6th From A Basement on the Hill 収録
アコギ一本弾き語りの静かな曲調で、彼のキャリアの中でも比較的地味な楽曲だと思いますが、個人的には歌詞に唯一無二の良さを感じています。歌詞の意味の美しさもさることながら、メロディと言葉の調和の美しさが素晴らしい。これこそエリオットの凄さ、魅力だと思っています。
第19位 No Name #3
1st Roman Candle 収録
派手なサウンドメイキングなど無くとも、テクニカルなプレイなど無くとも、丹念に作り込まれた歌とアコギ1本さえあれば音楽はこんなにも彩ることができる。そんな事を教えてくれる楽曲です。とても静かで素朴ですが、白黒ではない、色彩豊かな音楽がそこにはあります。
第18位 Almost Over
B-side New Moon 収録
エリオットは、自身の音楽をフォークと呼ばれる事を嫌っていたといいます。元々、Heatmiserというパンク/ハードコアバンドに在籍していたことからも窺い知ることができますが、エリオットの音楽は決して穏やかで優しいだけではなく、パンキッシュなエネルギーに満ち溢れているのです。この楽曲から迸る熱い感情に触れればそのことが分かると思います。
第17位 A Fond Farewell
6th From A Basement on the Hill 収録
エリオットが紡ぎ出すメロディラインは、単純な「グッドメロディ」とは少々違うと思っています。捻りが効いていて、誰にも思いつかないような、「エリオット節」とでも称したくなるような独自のメロディセンスを持っています。決して派手さは無いんですが、聴けば聴くほど味わい深い。この楽曲はその代表例の一つです。
第16位 Bottle up and Explode!
4th XO 収録
4thアルバム以降、オーケストラを含めた多彩な楽器を取り入れたエリオット。本楽曲においてもストリングスを巧みに使用しており、素材の良さだけでなくドラマティック性を付加することに成功しています。この楽曲、メロディも歌詞もかなりアクロバティックなことやってると思うんですが、そう感じさせず、しれっとやってのける。そんな職人的要素を感じずにはいられない名曲。
第15位 A Passing Feeling
6th From A Basement on the Hill 収録
比較的語られる機会の少ない楽曲だと思いますが、個人的に大名曲です。メロディも高音域から低音域まで非常に表情豊かで、なおかつサウンド的にもオーケストラからヘビィなバンドサウンドまで非常に色彩豊か。展開、アレンジまで含めて見事な一曲。
第14位 Angeles
3rd Either/Or 収録
ギター1本弾き語り。今にも壊れそうなほどに繊細な、美しきメロディと高速アルペジオ。歌とギターだけで、これほどまでのドラマティックさを獲得できる才能の持ち主が他に居るでしょうか。張り詰めるような緊張感と共に展開していく圧巻のメロディ。
第13位 Speed Trials
3rd Either/Or 収録
普遍性を突き詰め、究極のシンプルさを手に入れた楽曲。メロディ、サウンドともに変わったことを何一つせずとも名曲は生み出すことが出来る。その事を証明する一曲。
第12位 Coming Up Roses
2nd Elliott Smith 収録
サウンド、アレンジは至って地味な静かな楽曲。あるのはただ一つ、エリオット節が冴え渡るメロディライン。たったその一つだけの武器で、有象無象の他アーティストをなぎ倒す名曲。
第11位 Stupidity Tries
5th Figure 8 収録
可能ならベスト10に入れておきたい名曲ですが、他が強過ぎました。オーケストラを大胆に取り入れ、ドラマティックさを備えた壮大な一曲。メロディの素材の良さを最大限引き出したアレンジ。ドラマティックさだけで言えば、ベスト10入りを果たした曲をも凌ぐ最高峰の仕上がり。
第10位 Oh Well, Okay
4th XO 収録
一見、ストレートでシンプルなメロディですが、よく目を凝らしてみると、どことなく捻りが効いていて一筋縄ではいきません。これぞエリオットの職人芸。ピアノ伴奏を軸とした形態で、とにかくメロディの素晴らしさが際立った美しき名曲。
第9位 In the Lost and Found (Honky Bach)/The Roost
5th Figure 8 収録
彼のキャリア史上、最も彩り豊かな音色と言って差し支えない、ポップでキャッチーなサウンド。そこに流麗かつ変幻自在な美しいメロディが乗っかっています。サウンドが非常にキャッチーなため見逃しがちですが、メロディ自体は実はかなり複雑なことをやっています。そう見せないのはまさに職人が成せる技。
第8位 New Monkey
B-side New Moon 収録
全体の内の、どの部分を切り取ってもグッドメロディしかありません。こんな凄い楽曲がB-sideに収録されているのだから驚きです。基本的には似たようなメロディを反復しているだけに聴こえますが、実は巧みに細かな変化がつけられていて、繰り返し聴いても色褪せることがありません。
第7位 Happiness/The Gondola Man
5th Figure 8 収録
穏やかさと優しさに満ち溢れた、多幸感のある楽曲で、終盤にかけては壮大さもあります。美しいメロディはそれだけでも十分幸せな気持ちにさせてくれますが、サウンドにも多幸感のある本楽曲はまさに至福の音楽。
第6位 Say Yes
3rd Either/Or 収録
ギター1本弾き語り、素朴でシンプルで普遍的。この楽曲に関して言えば、エリオット節は炸裂していません。ただひたすら普遍的な「いい歌」。普遍性部門における堂々の第1位。一般的に彼の代表曲とされることも多い名曲です。
第5位 Miss Misery
4th XO 収録(国内盤ボーナストラック)
傑作映画『グッド・ウィル・ハンティング』の主題歌にも起用された、彼の出世曲。ですが、明るさやポジティブさを感じるような要素は一切なく、派手なアレンジもありません。そんな所もエリオットらしい。誰も思いつかない系のメロディと展開。特に展開が素晴らしく、アレンジに頼らずに展開だけでドラマティックさを演出している所が流石。
第4位 Memory Lane
6th From A Basement on the Hill 収録
この曲は本当に凄い。でも凄さの割にあんまり目立ってない気がします。なので今回の記事で猛プッシュするぞ、と意気込んでおります。この曲、とにかく歌詞の言葉の数が多くて、メロディに対して余白なく言葉が詰め込まれているんですが、全く字余りになっていないどころか、完璧すぎて震えるくらいメロディと言葉が調和しているんです。耳の心地良さが半端じゃないです。アコギ一本ですが、ギターの音色も秀逸で、非の打ち所がない大名曲です。
第3位 Ballad of Big Nothing
3rd Either/Or 収録
穏やかで優しさに満ち溢れた音源も最高なんですが、youtubeにアップされているフジロックでのパフォーマンスがロックでアグレッシブでもっと最高なんです。一見シンプルなようでいて実は技巧が凝らされてる系のメロディ。素晴らしい。
第2位 Independence Day
4th XO 収録
個人的に、この2トップには譲れないこだわりがあります。多分、この曲と1位の曲は、私が人生で最も多く聴いた曲だと思います。何度聴いても飽きません。私が度々言及している「エリオット節」って何のこと?それを言葉で説明するよりも、この2曲を聴いた方が早いです。J-popにおける「Aメロ→Bメロ→サビ」の概念にとらわれないどころか、「A→B→C→D→E」でもなく、「A→A→B→A」?あるいは、全部サビか?とにかく掴みどころが無いんですが、あまりにも中毒性の強いメロディと構成です。一生、聴き続けます。
第1位 Son of Sam
5th Figure 8 収録
選出理由については2位のIndependence Dayと同じです。Son of Samは私の人生のテーマソング。最高にクールなメロディと、ロックテイストなバンドサウンド。オーケストラを巧みに取り入れた多彩なアレンジも楽しい。この曲の構成をあえて記号化するならば「A→A→B→A→C」になるのでしょうか。アルバムのアートワークにもなった壁画が登場するMusic Videoも含めて大好きな曲。
以上の20曲になります。
ビートルズが好きな方、インディーロックが好きな方、グッドメロディを愛するすべての方へ、Elliott Smithの音楽を盛大にオススメします。
まだ彼の音楽を聴いたことがないという方は是非参考にして頂けると嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。