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レビュー Rex Orange County "Who Cares?"
今回は、イギリスが生んだ新世代のSSW、Rex Orange County(レックス・オレンジ・カウンティ)の通算4作目、"Who Cares?"のレビューを書いていきたいと思います。
【収録曲】
1. Keep It Up
2. Open a Window (feat. Tyler, the Creator)
3. Worth It
4. Amazing
5. One in a Million
6. If You Want It
7. 7AM
8. The Shade
9. Making Time
10. Shoot Me Down
11. Who Cares?
■Benny Singsとタッグを組み、ストリングを有効に使った極上のポップソング集
2015年にデビュー、新世代の筆頭を走る23歳のシンガーソングライター、Rex Orange County。2019年リリースの前作「PONY」が全米3位というヒットを記録し一躍脚光を浴びることとなった。
ポップスからソウル、R&B、ソフトロック、HIPHOPまで、多種多様な音楽からの影響を受けて育ったというそのモダンな感性で、それらをバランスよくブレンドした、洗練されたサウンドが彼の持ち味だ。
あくまで今風なサウンドメイクでありながらも、生のバンドサウンドのような質感も残しており、どことなく懐かしい雰囲気も感じさせる。
その絶妙なバランス感覚は、通算4作目となる本作でも健在だ。
オランダのポップ・マエストロことBenny Singsとタッグを組んで制作された本作では、ストリングスが効果的に使われている。要所で前面に出てくるが、決して過剰になることはなく、絶妙なラインを突いている。
コラボと言えば、Tyler the Creatorがゲスト参加したことでも話題を呼んでいる。まだRexが無名だった頃、TylerがRexの才能に惚れ込み、Tyler自身のスタジオに招き共演を果たしたという過去がある。HIPHOPというジャンルは、Rex自身が作る音楽と直接的に結びつくことはないまでも、表現方法における着想を得るという意味で欠かせない存在だそうだ。
本作は、リラックスした雰囲気の中に普遍的なグッドメロディを封じ込めた、良質なポップソング集と言える。
特に普遍的なポップセンスに溢れているのは#1 Keep It Up、#3 Worth It、#4 Amazing、#8 The Shade。ストリングスを有効に使いつつ、オーケストラサウンドと存在感強めのベースラインが上手く融合している。良質なメロディをミディアムテンポなビートに乗せた極上のポップソング。特に#4は単純に歌とにてのクオリティが凄まじい。
強めのビートと、どっしりとした重低音の効いたサウンドで、R&BやHIPHOPからの影響を感じさせる楽曲は、#2 Open a Window (feat. Tyler, the Creator)、#5 One in a Million、#6 If You Want It、#10 Shoot Me Down。重低音と、オーケストラサウンドのハーモニーが心地よい。
キャッチーでカラフルなサウンドメイクながらもどっしりとしたリズムとの調和が心地よい#7 7AM、あえて輪郭を明瞭にせずぼやけたようなサウンドメイクがドリーミーな#9 Making Timeもまた違った魅力がある。
アルバムの最後を飾る表題曲#11 Who Cares?もまた、現在の彼の音楽性を象徴するかのような、多彩な音楽からの影響がブレンドされた極上のポップソングに仕上がっている。
最後まで読んで頂きありがとうございました。