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2025.1.5 DEATH CAB FOR CUTIE@rockin'on sonic
5年半ぶりのデスキャブを観に幕張メッセへ足を運んだ。
the lemon twigsやcigarettes after sexもじっくり観たかったが、大本命のデスキャブを最前列で観るために泣く泣く諦めた。ただ、観る位置さえこだわらなければ全組観れるタイムテーブルを組んでくれているので、不満は全くなく、むしろ感謝しかない。
デスキャブはフジロック'19以来。それ以降はフルアルバム1枚にEP2枚と、音源リリースのペースは若干スロー気味といったところだが、昨年は"Transatlanticism"の20周年 + The Postal Service "Give Up"の20周年ツアーを敢行するなど、特にベンにとってはかなり精力的に活動した1年だったかと思う。
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今回は、そのツアーを終えてから一発目のライブ。ツアーの勢いそのままにTransatlanticism中心のセトリでいくのか、それとも代表曲を満遍なく網羅したセトリでいくのかという中で、この日の1曲目に選んだのは目下のところの最新作"Asphalt Meadows"のオープナー"I Don't Know How I Survive"。続く2曲目も最新作から"Roman Candle"。この曲はかなり不思議系だが、かねてからライブ映えする曲だとは思っていたので、実際に迫力ある演奏が聴けて満足。
そして3曲目は会場の全員が待ち望んでいたであろう"The New Year"。この曲は新年をポジティブな気持ちで祝う単純な曲では全くないが、それでも1月5日に"So this is the new year"と皆で歌えば何だかポジティブな気持ちにもなってくる。メンバーもこの曲が期待されていることは勿論分かっていたようで、イントロに入るまでの溜めの長さ、演奏中の気合いの入り方からも、メンバー自身のこの曲に対する思い入れの強さが伝わってきて、観てる側としても嬉しかった。
4曲目にライブ定番曲の"The Ghosts Of Beverly Drive"、5曲目に最新作の先行シングルにもなった"Here To Forever"と、アッパーな曲を立て続けに披露した後は、6曲目の"Black Sun"で一旦スローダウン。2019年もこの曲を演っていたが当時はそこまで良さが分からなかった。今回は心地良いグルーヴ感と、後半の間奏でのバンドアンサンブルに痺れた。
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7曲目は"Tiny Vessels"。全く予想していなかった曲だったのでかなり新鮮。これをライブで聴いてからずっとこの曲が頭から離れない。そしてやはりハイライトとなったのは"Transatlanticism"。前回はラストだったが今回は中盤の8曲目。全体の持ち時間が50分と短めのため、8分超えのこの曲が出来るかどうかは微妙と思われたがしっかり丁寧に演ってくれた。この1年のツアーを経て、楽曲後半にかけて徐々に熱を帯びていく展開に更に磨きがかかったのでは。
ベン以外のメンバーが一旦ステージ袖にはけ、9曲目に代表曲"I Will Follow You Into The Dark"を弾き語り。印象的な歌詞もそうだが、メロディも良い。ただ、ひと口に「美しいメロディライン」と評するのもなんか違う気がする。何とも言えない不思議な魅力がある曲。思わず涙を流されている方も周りにちらほら。
ラスト3曲は代表曲の畳み掛け。"Cath"、" Crooked Teeth"、"Soul Meets Body"でフィニッシュ。新旧のバランス、静と動のバランスに長けたセットリストで、コアなファンには勿論、 初見の方々にも受け入れられたのではないかと思う。
50分という持ち時間に関しても、限られた時間内で出来うる最高のパフォーマンスを見せてくれたのではないか。ファンとしては正直あともう40分は欲しいところだが、こればかりは仕方ない。
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完全に余談だが、デスキャブは時間への意識が強いバンドだと昔から勝手に思っている。オリジナルアルバムは全10枚あるが、収録時間は38〜45分の範囲を出たことがない。そして、ほぼ45分ジャストのアルバムが異様に多い。8分超えの大曲"Transatlanticism"や"I Will Posses Your Heart"を擁するアルバムでさえも45分を超えなかった。私は集中力が無いので収録時間50分以上のアルバムはよほど内容が素晴らしくないと「しんどい」と思ってしまうのだが、デスキャブはその辺りも考慮してくれているのだと決めつけている。
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ちなみに、Jesus and Mary ChainやManic Street Preachers、Weezerもかなり楽しめた。もし来年も開催されるなら Keaneが観たい。