「59番街橋の歌」 The 59th Street Bridge Song/Feeling' Groovy/サイモンとガーファンクル「パセリ、セージ、ローズマリー&タイム」第6曲
※タイトル写真はPhotoShopの生成AIで作成した59番街橋(ニューヨーク)
清々しい詩です。
徹夜明けのもうろうとした、それでいてどことなく高揚した気分をうたっているようです。マリファナでハイになっている状態を歌ったという説もあり、そういう雰囲気を察した当時の若者たちの間で大ヒットになったとも。
この作品のサウンドの特徴として注目するのは、ポールのフィンガーピッキング奏法に加え、軽快なドラム、ウッドベース。実に効果的に加わっています。ポールが、他のグループのメンバーに声をかけ、共演が実現したそうです。特に前奏で聞けるうねるようなベースのフレーズがとても印象的で、私は大好きです。
第2番で「(気の利いた=イカした=現代風にいえば「いけてる」rhyme(韻、詩?)(のヒント)はないかな?」と出てきます。ふらふらになった朝なのに詩のネタを考えているなど、笑ってしまいます。ポール・サイモンの頭の中には常に「Song Writing(歌作り)が支配していて、詩作が日常生活の一部になっていることが想像できます。
第3番後半、I'm dappled adn drowsyの部分で歌が三連符になります。心も体もよれよれになっている感じがよくでています。
そしていまさら語るまでもありませんが、アートとポールのコーラスラインの絶妙さが、際立ち、歌全体でそれを私たちに強く印象づけています。第3番の三連符部分、そして、歌の終盤、ラララのメロディのポリフォニー的重なり、など。
コーラスの素晴らしさをシンプルに楽しみたければ「グレイテスト・ヒット」に収録されているライブを聴くのをオススメします。
サイモン&ガーファンクルのコーラスの素晴らしさは、ガーファンクルによる功績が大であることは、サイモンも認めています。曲ができると、ポールは、アートに聞かせ、ハーモニーについての提案を求め、その提案をもとに、二人でコーラスを作り上げた、まさに二人三脚の共同作業だったわけです。ポールがピッチャーなら、アートはキャッチャーという絶妙のコンビネーションであの素晴らしい歌声は作られました。その主導は、アートだったというわけですね。
「59番街橋の歌」というメインタイトルに「フィーリン・グルーヴィー」というサブタイトルがついています。元々はメインタイトルが「フィーリン・グルーヴィー」だったらしいのですが、ポール自身が変えてしまったそうです。ドラッグを連想されることを恐れたのでしょうか?