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「はりきっていこう/"We've Got a Groovy Thing Goin'"」 サイモンとガーファンクル 「サウンズ・オブ・サイレンス」10曲目
どこかで述べたことがありますが、この歌のタイトル訳はふさわしくありません。公式の日本語タイトルとして使用されているので、そのまま記載しますが、正確には
「うまくいってたのに」
「いい関係だったのに」
「いい仲だっただろ」
思い切り意訳すれば「頼む、捨てないでくれ」など。お好きなタイトルをお選び下さい。
恋人(あるいは妻)に出ていかれる哀れな男のあわてふためきぶりを、3番まで歌っています。最初から、
Bad news, bad news !(悪い知らせだ、なんてこった!)
恋人が荷物をまとめていることを知った男が、家に走って帰ってくる様子が目に浮かびます。階段を足早に駆け上がりドアを開け、青ざめている表情を思い描いてください。
君にどんな悪いことをしたんだ。
一度も殴ったりしなかった。
いつも変わらぬ愛をささげ
君を無視したりしたこともない
自分の非を、どう考えても思いつかない叫びが歌全体に漂います。
サウンドとしては、アルバム「サウンズ・オブ・サイレンス」収録曲に共通するポール・サイモン以外のアレンジが加えられていることもあり、サイモンの歌の中では異色の部類でしょう。トランペットやキーボードがいい味で入っています。
Groovyとは「イカす」「かっこいい」「ご機嫌な」という意味ですが、thingがついて「いい事」今風に言うと「すっげー事」、人間関係のことになるので「いい関係」「イケてる関係」という風なニュアンスになるのでしょう。
アメリカの男はこういう風に、プライドなんぞ投げ捨てて、色々と言葉で恋人に気持ちを確かめると聞いた事がありますが、その様子がわかる典型的な例でもあります。
でも、どうして「はりきっていこう」という題名になったのか、とても興味深いです。なぜなら、この歌の内容は徹底的に「あわれな男」、最後まで未練がましい男の叫びですから、「はりきっていける」前向きな所など微塵も感じられません。
それにしても、ポールの歌としては珍しく、知的でクールな面が全くない点が、ある意味微笑ましい歌です。