
「サウンド・オブ・サイレンス」※オリジナルバージョンーS&G アルバム「水曜日の朝 午前三時」第6曲—
私がはじめて聴いたサイモンとガーファンクル歌は「サウンド・オブ・サイレンス」でした。子供の頃ラジオ放送で聴いたのを覚えています。
当時札幌のラジオ局が毎日放送していた歌のベスト10番組。視聴者から電話でリクエストを受け、集計した結果を放送していました。
ある日「サウンド・オブ・サイレンス」が第1位になり流れたのです。英語がわからない年齢だったので、歌詞の意味はわかりません。ただ、それまで聴いてきた作品とは全く違う印象だったのを覚えています。その時の感覚を今言葉で表現できません、ただ言えるのは、その歌が強烈に新鮮だったこと、まるで「別世界の音楽」だったのです。
世界で大ヒットした「サウンド・オブ・サイレンス」。リニューアル版でして、実はオリジナルバージョンがあります。
オリジナル版は、今紹介しているこのアルバム「水曜日の朝 午前3時」に収録されたものなのです。ポール・サイモンが弾くギター(多重録音)とベースで、アート・ガーファンクルとポール二人で静かに歌われています。
ファーストアルバムは残念ながら全く売れず(総計約3000枚)、二人はデュオ活動を中断します。アートは大学へ、ポールはソロ活動のため英国へ戻ります。
数年後、米国の一人のラジオDJがアルバム「水曜日の朝 午前3時」の中から好みの曲を選び毎回番組で流すようになります。そのうち「サウンド・オブ・サイレンス」をリスナーが好む傾向が高いことがわかりました。
人気の高まりに着目したあるプロデューサーの発案でシングルリリースが急遽決まります。リリースする新バージョンは、オリジナルバージョンのヴォーカルとギターはそのまま使用し、別トラックでエレキギター(死語?)、エレクトリックベース、ドラムなどを新たに加え完成させたのです。オリジナルよりずっと派手に、当時流行りの様相に変化したのです。(これがよく知られている「サウンド・オブ・サイレンス」です)
そして、二人には知らされることなく、このリニューアルバージョンが、発表され徐々に人気が高まり、米国のヒットチャートで第一位になるのです。二人はヒットの事実を後で知ったそうですから、笑ってしまいます。
「サウンド・オブ・サイレンス」の詩のテーマはタイトル通り「Sound of Sikence=静寂の音」。非常に難解なテーマです。英語が少しだけわかるようになった今でも、完全に理解はできていない難しい内容。たぶんこのまま死ぬまで謎のままでいるんだろうな、と思います。
と、詩の内容はともかく、この歌の魅力は、、、、。
私はポールサイモンの単純な低音フレーズだと思っています。ガーファンクルのリードに合わせて歌うポールのメロディです。ちゃんとハーモニーになっているのが驚き、そして新鮮。
ヒットに結びついたけど、私はロックバージョンの方よりも、オリジナルの方が好きですね。「サウンド・オブ・サイレンス」は、「水曜日の朝 午前三時」版で既に完成しています。呼吸がぴったりと合った絶妙なハーモニー、ポールの秀逸なギター。あとでヒットした時に添えられた電気楽器類は、不要では?と思ってしまうほどの完成度の高さ。
静寂の音というタイトルにこちらの方がふさわしい、そんな気がしています。(歌詞の意味等は、アルバム「サウンド・オブ・サイレンス」版の解説をご覧下さい)