No.12 安達太良山
「東北の山に行きたい」
ここ数年、毎年の様に山の選定をする時に出てくるフレーズだ。
関東近郊、南ア、北ア、の雰囲気を大体掴めてきたからだろうか。
また違った山の雰囲気も味わいたくなってきた。
少し遠出をして、ゆっくり贅沢に山を堪能したいと思うようになったことも影響しているかもしれない。
仕事ではいくつか東北の山に訪れたこともある。
その山々も素晴らしかったので追々書き記して行きたいが
今回は記憶に新しく、
山だけではなく、立ち寄った山小屋も素敵で、
これまたお手軽、絶景の初心者さんにもオススメできる
日本百名山の一つであり花の百名山にも指定されている山。
福島県の安達太良山(1699m)だ。
麓のあだたら高原リゾートの駐車場からロープウェーで10分。
一気に頂上に近づけば、そこから1時間半で山頂に立てる。
ロープウェーを降りると、整備された木道からスタート。
スタートしたら早々に高村光太郎の【智恵子抄】で有名な
「ほんとの空」が見れる場所に到着。
安達太良山にしかない「ほんとの空」。
生憎の曇りではあったが、
なんだか特別な空を見上げた気になり清々しい気持ちになった。
その後も山頂まで危険箇所は特になく、迷うこともなく
心地よい登山が続く。
歩きながら優しく、穏やかな山容を感じることが出来る。
また、行った時期が6月だったということで
お花が至る所に咲き乱れていて
終始飽きる事はなかった。
・ウラジロヨウラク
・ハクサンシャクナゲ
・ツマトリソウ
・ミネズオウ
・サラサドウダン
・ベニサラサドウダン
・イワカガミ
・ナナカマド
・アカモノ
などなど。
さすが花の百名山。
山頂まで1時間半なら時間に余裕がある。
ゆっくり撮影しながら登れるのも安達太良山の魅力の一つだ。
山頂手前はちょっとしたガレ場。
しっかりトレースも出来ているので足場はさほど悪くなく、
ストレスなく進める。
その後、最後の急登はハシゴを使う場所も出てくるので多少の注意が必要。
そこを越えれば小さな祠が祀られている山頂だ。
頂上の看板は持てるタイプの看板。
個人的にはこの看板が好きだ。
少し風が強かったが、この日のLiveも爽快だった。
そして安達太良山の魅力は山頂で尽きる事はない。
むしろこの後、下山途中に見所満載だ。
30分くらい進むと、爆裂火口を臨むことが出来る。
まるで火星のような景色に感嘆の声をあげてしまう。
しかしここはとてつもなく風が強いので帽子など飛ばされないように注意が必要だ。
その後見晴らしの良い道を軽快に進むと
もう一つの目的。
「くろがね小屋」に到着。
年中無休の源泉掛け流し温泉があることが有名な山小屋だ。
外観は趣のある佇まい。
温泉は宿泊者は勿論、日帰りでも入浴が可能だ。
乳白色で少しぬめりのある泉質で、温度はしっかりと熱め。
登山で疲れた体を芯まで温めて癒してくれる。
更に山小屋のご主人とスタッフさんの
東北なまりの温かい接客がとても心地よく癒される。
涼しくなった秋の紅葉シーズンや
冬のスノーシューの時期に再訪して今度は宿泊でゆっくりと過ごしたい。
そしてまたこの小屋の人に会いに来たい。
そう思わせてくれる素敵な山小屋だ。
後ろ髪を引かれながら下山。
下山はロープウェーはないので自分の足で。
山頂からだと2時間40分程度、くろがね小屋からは1時間40分で奥岳登山口だ。
一気に下るのではなく、くろがね小屋で一息つけば体力は回復。
無理なく下山できる。
朝一番のロープウェーに乗り込み
コースタイムに余裕を持ちながらゆっくり登りたい、
見所満載の東北の名峰。
それが
安達太良山だ。