
【後期のスーパーカーの楽曲たち】深みのあるエレクトロ・サウンド
【後期のスーパーカーの楽曲たち】
〜 深みのあるエレクトロ・サウンド 〜
みずみずしいバンドサウンドでデビューしたスーパーカー。
そのサウンドは徐々に、バンドサウンドからエレクトロニクスへと進化していきました。
(これまでのコラムはこちら)
◆ 【初期のスーパーカーの楽曲たち】みずみずしいバンドサウンド
◆ 【中期のスーパーカーの楽曲たち】バンドサウンドからエレクトロニクスへの進化
そんな中、、、
2001年11月、スーパーカーは11枚目のシングル「YUMEGIWA LAST BOY」をリリースします。
キラキラしたエレクトロサウンドとメロディーに溶け込んだ歌詞が印象的な楽曲。
淳治さんによる歌詞を一部抜粋します。
夢際のラストボーイ 永遠なる無限 触れていたい夢幻
夢際のラストボーイ 永遠なる夢限 揺れていたい夢幻
シンプルな歌詞の繰り返しですが、なぜか心にスッと入ってきます。
私は「永遠なる無限」という言葉が印象的です。
「永遠」と「無限」は似ているけど違う言葉。
「永遠」は時間的な永続性
「無限」は空間的な広がり
それを組み合わせることで不思議な響きと深みのある意味を生み出します。
夢心地の楽曲。
この「YUMEGIWA LAST BOY」は、エレクトロサウンドを得意とする砂原良徳さんがプロデュースしています。
< 11th, YUMEGIWA LAST BOY >
3ヶ月後には益子樹さんをプロデューサーに起用し、12枚目のシングル「AOHARU YOUTH」をリリースします。
「なんて深い曲なんだ!」
私は心の中で叫びました。
クールで不思議な浮遊感がただよう曲調。
キラキラしたエレクトロサウンド。
魂の叫びのようなサビのボーカル。
私は、深いもやに包まれた世界から、光を欲しているような感覚になりました。
スーパーカーのバンドとしての創造力が極限にまで解放されたような楽曲です。
< 12th, AOHARU YOUTH >
13枚目のシングルは「RECREATION」。
不思議な浮遊感に揺られているような気持ちになります。
その独特て、ふわふわひた不思議なサウンドは健在です。
何度でもレピートしてしまうのが、スーパーカーの楽曲の魅力。
この頃、「STROBOLIGHTS」「YUMEGIWA LAST BOY」「AOHARU YOUTH」「RECREATION」の時期が、スーパーカーのエレクトロサウンド時代の全盛期です。
彼らは精力的に作品を創作し、楽曲たちからもバンドの勢いを感じました。
< 13th, RECREATION >
14枚目はゆったりした曲調の「BGM」。
心地いいサウンドに揺られているような雰囲気。
デビュー時のバンドサウンドから、エレクトロサウンドへとガラッと変わった印象がありますが、、、
曲に秘められた不思議な浮遊感や世界観は不変で、聴く者の心にしっかりと響きます。
安心感を持って曲を聴ける。
このとき、、
解散が近づいていることを、私は気づいていませんでした。
< 14th, BGM >
2004年1月、15枚目のシングルは「LAST SCENE」。
静寂と儚さを感じる曲。
今思うと、、、
このタイトルからして、この時期にはメンバーたちは解散を決意していたように思います。
< 15th, LAST SCENE >
2004年4月、最後のシングル「WONDER WORD ep」をリリース。
そして、、
2005年2月26日に行われたラストライブをもって解散をします。
< 16th, WONDER WORD ep >
まさか、と思いました。
解散するときが来るなんて、夢にも思っていませんでした。
いつまでも私は、スーパーカーの音楽とともに、人生を歩んでいけると思っていた。
ショックでした。
スーパーカーが解散すると知って、、、
私は小杉之子さんのラジオにメールを出しました。
この頃、東海ラジオの番組は終了し、FM愛知の「ムーン・ドッグ・アワー」という音楽番組をスマイリー原島さんと担当されていました。
とても寂しい気持ちをメールに綴り、最後に、小杉さんの好きな曲をかけてください、と書きました。
私のメールは番組で読んでいただき、小杉さんは「My Girl」をかけてくださいました。
そのとき聴いた「My Girl」は、哀しみにくれた私の胸に深く染み込んできました。
失恋したときの気持ちというのだろうか。
スーパーカーが解散して、私の中で1つの季節が終わった。
しばらくは、うつろな気持ちでした。
ただ、、
こんなにも心に響く作品を生み出してくれて、スーパーカーに感謝をしています。
スーパーカーの音楽は、今聴いても色褪せておらず、深みのある楽曲たちは私たちの胸を揺さぶってくれる。
スーパーカーの作品は、これからも残り続けるのです。

■ 執筆者 : 松岡 学(数学者)
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