葉山のコーヒー仙人に会ってきた話④
前回で最終回の予定だった大人気note連載
「葉山のコーヒー仙人に会ってきた」シリーズですが
あまりに想いを込めすぎたため、書ききれずに
この第4回まではみ出してしまった。。。
人気シリーズだから終わらせたくない
と言うわけではない。
だってそもそも人気シリーズかどうかも分からないし。
というかこんな事書いてるからエッセイが長くなる。
よし、早速行きます!絶対に今回で終わらす!多分!
尊敬できる「運が良かっただけ」の方々
前回までの山口さんとのお話の中で
お互いにきっかけとなったコーヒーについて
色々と書かせて頂いたが、話が進む中で
今度はお互いが「尊敬できる人」はどんな人か
という話になった。
私自身、音楽畑の人間なので
出てくる名前はその業界の方が多くなるため今回は割愛する。
興味がある方は私のYoutubeを漁ってみてるとその辺の話が見つかるはず。
自分の活動や音楽面での人生の歩み方をお話しさせて頂いた時に
山口さんが感動して下さったり、褒めて下さったので
「いやいや運が良かっただけですから」と返した時
山口さんの目の奥がキラリと光ったのを見逃さなかった。
山口さんはこう仰った。
自分が今まで出会った尊敬できる人やすごいなって思う人は
皆、口を揃えたように「運が良かっただけ」と言う、と。
私自身、先ほどの「運が良かっただけ」と言う発言は
嘘偽りなく、心からそう思っている。
しかしそれは謙遜だとかその類の感情からくる発言ではない。
自分がやってきた事、積み重ねてきた修練、考え悩み抜いた時間は
そのどれもが他者に伝えるものではないと考えている。
逆に言うとそれらを他者に伝えようとすると人は脆く壊れやすくなる。
自分を評価出来るのは自分だけ。
まずはこの境地に立つことが大切なんだと思う。
しかし、立っただけではまだ完成とは言えない。
何故なら、否定的な意見を受け、実らない結果を前にした時に
きっと周りのせいにしてしまうことになるからだ。
そこで大事なのが「運」と言う要素だ。
やる事はやっている。あとは「運」に任せよう。
そう思えた時にやっと己の道は一度完成を見るのだと思う。
そしてそこからは自分磨きや勉強、努力、そういったものから離れ
「運を引き寄せる」と言う視点で生きていく事になる。
そうして初めて「運が良かっただけ」と言えるのだ。
私立珈琲小学校の吉田先生のお話
その尊敬すべき「運が良かっただけ」の人として
墨田区錦糸町にある「私立珈琲小学校」と言うお店の
オーナー吉田さんのお話を山口さんがして下さった。
ちなみに山口さんがご自身の言葉で吉田さんの事を
「運が良かっただけの人」と話はじめた訳ではなく
私自身がそう解釈した事をお二人の関係性の維持のために記しておく。
山口さんから聞かされた吉田さんの
コーヒーに対する想いや、人生の考え方などは
このエッセイで書き続けていることとほぼほぼリンクしていた。
山口さんがここまで仰ると私自身も吉田さんに会ってみたい、
と言う気持ちを抑えるのが不可能だった。
前回の第3話を書き終えた後、気がついたら
私は錦糸町駅に降り立ち、私立珈琲小学校を目指していた。
いや、違う。登校していた。
柔和な笑顔が如何にも人格者だと思わせてくれる男性に
「山口さんからご紹介頂いたのですが吉田さんですか?」と
お尋ねするとにっこりと頷いて下さった。
頂いたお名刺には「担任」と記されていた。
仙人の次は担任である。珈琲業界はイカれている。
もう既に私は目の前の担任の術中にハマっており
気がつけば「吉田先生」とお呼びしていた。
およそ小学校とは思えない外観や店内の様子はオシャレそのもの。
登校している小学生達もとても小学生には見えないコーヒー好きばかり。
最近の小学生は本当にマセている(錯乱中)
実際に吉田さんは教員として働かれていた事があるそうで
その経験や考えなどからこのお店の名前をつけたとのこと。
「授業」としてカッピングや焙煎の研究、ワークショップを開かれたり
今回伺ったタイミングでもドリップ勉強会を開催されていた。
年末営業のお忙しいタイミングにも関わらず
二階にある「教室」を案内して下さった。
教室で吉田先生はコーヒーへの静かで熱い思いを語って下さった。
生徒さん達のコーヒーへの興味、コーヒーへの愛を
大切に丁寧に育んでいきたい。
その上で「こうしなきゃダメ」「こうでなきゃイケない」
と言う事は絶対にあってはならない、と仰る。
あくまでも入り口として研究会やドリップ教室などを開催するが
やはり大事にしたいのは「なんか良いよね」の気持ちだそう。
ほら、出てきた。「なんか良い」だ。
ね?やっぱりみんなここにたどり着くのよ。
吉田先生はJAZZの大ファンでもあり
音楽においても私自身「なんか良い」を追求し続けている
と言う話にも大変共感をして下さった。
本当に吉田さん、あ、いや先生に会いにきて良かったと心から思えた。
コーヒーと音楽、広がり続ける輪
この日の素敵な出会いを早速山口さんに報告するととても喜んで下さった。
と同時に山口さんの周りでもこのエッセイが好評だ、とも仰って下さった。
なにしろ書いている私自身がめちゃくちゃ楽しんでいるので
それを読んで貰って楽しんで下さる方がいるのは幸せ以外の何物でもない。
こうやって自分が心から素敵だな、と思える人達と繋がれると
音楽をやっていて、Youtubeを始めて、そしてコーヒーを好きになって
本当に良かったなとしみじみ思う。
世の中にはきっと素敵な人が沢山いて素敵な出会いで溢れているのだろう。
しかし、一歩を踏み出さない限りその縁に触れることもないのだと思う。
皆さんもこのエッセイを読んで素敵な縁と繋がるための
第一歩を踏み出す機会にしてくれたら本当に嬉しい。
山口さんへの心からの感謝と尊敬を込めて
この「葉山の仙人に会ってきた」シリーズを終わりとさせて頂く。
さてと、仙人と担任ときたら次は神様でも探しに行きますかね!
と言うわけでまた!