名曲627 「琥珀色の街、上海蟹の朝」【くるり】
ーーなるほど、好きな人が多いわけだーー
【くるり - 琥珀色の街、上海蟹の朝】
くるりは意外にも初めての登場。なんとなくのイメージとしては、玄人好みで、音楽を「わかっている」人がよく聴いている。ちょっと初見で入り込もうとはしづらかった。別に嫌なファンがいるだとか、くるり自身に何かあるわけではないのだが、敬遠してしまっていたのだ。
私にとってその枠はスピッツで埋まっていた。スピッツはどんどんメジャーになっていき、もはや国内を代表するアーティストにまで成長している。じゃあくるりはどうなんだ、国内を代表していないのかと言われそうだが、うーん。まだまだ玄人好みで一見さんお断りな雰囲気がする。チェーン店ではないのだ。街はずれの高級な小料理店。
だがそういうお店にも年に数回は訪れたくなる。今回のメニューは上海蟹。ふたりで食べるにはちょっと不向き。食べるのが難しく、ご馳走までの間、どうしても無言になってしまう。
{上海蟹食べたい あなたと食べたいよ 上手に割れたら 心離れない
1分でも離れないよ 上手に食べなよ こぼしても いいからさ}
でもその無言をも楽しめる人となら何の心配もいらない。
{何はともあれ この街を去った 未来ではなく 過去を漁った 明後日ばっかり見てた君 それはそれで 誰よりも輝いてた}
詩的でいまの自分にもちょっとリンクしているので気にいっている歌詞である。明後日ばかりを見ていたのは、君でなく私だったけど。でも、周りが自分を輝いているように見えていたのであれば、それはそれでいいのかも。
琥珀色というのも絶妙だ。きっと朝焼けが美しいことを表しているのだろう。それが街の煌びやかさ、海の反射光なども相まって、ちょうど琥珀になるのである。
聞けば聞くほど妙に好きになってしまう。くるりの魔力だ。なるほど、これは私も納得した。高級料理に触れたときの感動とまったく同じであった。わかる人はわかる。わかったらこれほどない快感になる。
幸い、くるりの音楽は財布を傷めない。サブスクで普通に何度も聴くことができる。自分が玄人になったわけではないが、ステージが上がったというか、世界観が広がったようである。ぼんやりと楽しんでみようと思う。シェイシェイ。
【今日の名歌詞】
何はともあれ この街を去った 未来ではなく 過去を漁った 明後日ばっかり見てた君 それはそれで 誰よりも輝いてた