名曲529 「プレゼント」【Jitterin’ Jinn】
ーー単なる色物曲ではない、単純な中にある深さーー
【ジッタリン・ジン / プレゼント ( Jitterin’ Jinn / Present )【MV】】
ジッタリンジンは初登場だ。「夏祭り」「にちようび」が有名。そしてこの曲も同じくらい有名であろう。さまざまな媒体でネタにされている。そう、ネタ曲のイメージがあるのだが、よくよく聴いてみると名曲と実感できるはず。
{あなたが私にくれたもの キリンがさかだちしたピアス}
{あなたが私にくれたもの フラッグチェックのハンチング}
{あなたが私にくれたもの ユニオンジャックのランニング}
{あなたが私にくれたもの 丸いレンズのサングラス}
{あなたが私にくれたもの オレンジ色のハイヒール}
{あなたが私にくれたもの 白い真珠のネックレス}
{あなたが私にくれたもの 緑色した細い傘}
{あなたが私にくれたもの シャガールみたいな青い夜}
多い!なげえ! これがネタにされる最大の要因なのだが、プレゼントの中身に注目していただきたい。1番は高価なものが多いのだが、意味深な細い傘が第一の取っ掛かり。
{あなたが私にくれたもの グレイス・ケリイの映画の券}
{あなたが私にくれたもの ヴィヴィアンリーのプロマイド}
{あなたが私にくれたもの バディ・ホリーのドーナツ盤}
{あなたが私にくれたもの ヘップバーンの写真集}
{あなたが私にくれたもの お菓子のつまった赤い靴}
{あなたが私にくれたもの テディベアーのぬいぐるみ}
{あなたが私にくれたもの アンデルセンの童話の本}
{あなたが私にくれたもの 夢にまで見た淡い夢}
なんか半分くらいピンとこない品物だが、これは二通り解釈できる。1番が当たり障りのなさそうな高価なものだったのに対し、好みがわかってきたことで特定のブランドものをチョイスしてくれたわけだ。もうひとつは彼氏の好みを押しつけているか。最悪の場合はいらなくなったからあげるといった感じか。個人的には後者のほうが少ししっくりくる。
{あなたが私にくれたもの ヒステリックなイヤリング}
{あなたが私にくれたもの ボートネックのしまのシャツ}
{あなたが私にくれたもの 道で売ってるカレッジリング}
{あなたが私にくれたもの マーブル模様のボールペン}
{あなたが私にくれたもの アメリカ生まれのピーコート}
{あなたが私にくれたもの 中国生まれの黒い靴}
{あなたが私にくれたもの フランス生まれのセルロイド}
{あなたが私にくれたもの あの日生まれた恋心}
徐々にプレゼントの質がしょぼくなっていくのがお分かりだろうか。ここまで読めばサビの歌詞もスッキリくる。
{大好きだったけど 彼女がいたなんて 大好きだったけど 最後のプレゼント bye bye my sweet darlin さよならしてあげるわ}
最後に「さよなら」をプレゼントをしてくれたのだ。要は浮気をされていたのである。その過程をプレゼントの質で描写してみせた。これが単なる色物曲でない、深みのある曲だということが分かっただろうか。
中毒性は抜群。メロディーも申し分ない。私は大人になってからこの曲の歌詞を覚えようと努力した。でも無理だった。横文字は苦手なのだよ。小さい頃だったら楽勝だっただろうなあ。
【今日の名歌詞】
あなたが私にくれたもの シャガールみたいな青い夜