名曲132 「ベイビーステップ」【ベイビーレイズ】[ベイビーステップ]
ーーたとえどんなに歩みが遅くても、進んでいるのは偉いことだーー
【ベイビーステップ】
テニスアニメで思い浮かべるのは、私世代だとテニスの王子様である。そう書くと「テニスではない」のツッコミがきそうだがここはあえてテニスに分類させてほしい。
私はベイビーステップを知らなかった。世代ではないのもあるが、そもそもテニスのほかの作品を知らなかったのもある(エースをねらえのような昭和の名作は別だが)。この曲はたまたま出会った。家族がこのアニメを好きで、たまたまテレビの録画の映像から知ったのである。すぐにググってしまった。一目ぼれするほどのアニソンはなかなかない。
{何度も何度も 転んで泣いたっていいんだよ あの日の誓いと あふれる思いが ここにある}
この作品を見たことがなかったが、歌詞から「弱い主人公」「ベイビーステップならぬ成長が遅いけど努力している」人物像を勝手に思い浮かべた。するとこのサビの歌詞もうなずける。
{明日も明後日も 夜明けが街を照らしてく 昨日に負けられない今日を
重ねてく 小さな歩幅で}
わかる。私も歩みが遅いタイプだからどうしても自己投影してしまう。
{見上げていた 遠い空 昨日よりも 近いのは 気のせいかもしれないけど 呆れるほど わずかで 笑われるような距離だって 自分の足で ここにいる}
全体的に物憂げにまとまっている。感情の含みを残したまま情景を描くのはひとつの手法だが、平成からグッと増えたタイプの歌詞に思う。私は「ラノベ歌詞」などと呼んだりする。もちろんそれが悪いとは言わない。
{振り向いて風がそっと 懐かしさを運んでくる それでも行かなくちゃ この道を 歩き出す}
細かいが「歩き出す」を「走り出す」にしてはいけない。「行かなくちゃ」の後にいかにも駆け出したくなるところで歩くのがまたいい。まさに地に足をつけている。
{確かに夢見た 未来は決して嘘じゃない このもどかしさも きっと 足跡の向こうに 繋がってる}
何事も継続してコツコツ前に進むことが大切だ。周りを見て焦りたくなることもあるだろう。自分の才能の無さをふと思い知ることだってあるかもしれない。
{確かな一歩を 小さな歩幅で}
それでも一歩一歩でいい。成長できないことをバカにされることはあっても、成長が遅いことをバカにされることはない。ふと振り返ってみたときに、スタート地点との距離がずいぶん離れていたことに気づくはずだ。
行き詰まりを感じたときはこの曲がオススメ。それにしてもメロディーが秀逸である。妙に涙腺にきますな。
【今日の名歌詞】
確かな一歩を 小さな歩幅で