言葉の発達。桜「さくら」が「たくら」になる子どもの発音の直し方
言語訓練に行っても直りにくい発音。
「さ」が言えず、「た」になってしまう子がいます。
印象に残っている子ども二人の、発音が改善した例をお伝えします。
🌷 🌷 🌷 🌷 🌷
最初は定型発達のマキちゃん。年長さん。
歌を上手に歌いたいのですが、「チューリップ」を
「たいた~ たいた~」(咲いた咲いた)と歌ってしまいます。
「た、じゃなくて、さ、よ。」
と、何度ゆってみたところで変わらず..
で、私は自分でも「た」と「さ」を発音してみました。
「た」は、舌の全部を上あごにくっつけています。
でも「さ」は、舌を下の歯の裏側にくっつけたまま動かしません。
発音は、舌の使い方なんだと思いました。
マキちゃんはサ行が全てタ行に聞こえてしまうので、
サ行の発音の時は全部、舌をベタっと上あごにつけているようです。
私は自分の口を大きく開けて、舌の先を触りながら、
「このベロの先を、下の歯の裏にくっつけてみて。」
と、下の歯の裏側も触りながら言ってみました。
マキちゃんもがんばってやってみるのですが、
やはりコツがつかめないようです。
よし!では次の方法だ!
🍄 🍄 🍄 🍄 🍄
私は付き添ってくれているお母さんにお断りをして、
自分の手を洗い、「マキちゃん、ベロ出してみて。」
とマキちゃんの下の先を軽く触り、
「今さわった所を、今度は下の歯の裏につけてみて。」
と、今度は下の歯の裏側を軽く触りました。
触られた感触が残ったのか、マキちゃんの口の中で
準備ができたようだったので、
「そのまま、サ、ってゆってごらん。」
と言うと、「サ!」めっちゃきれいに発音しました。
お母さんが思わず拍手!
わずか10分前までは、全部「タ」に聞こえてたのに、
30分レッスンの終わりごろには、「さいた~さいた~♪」
と、普通の発音で歌えたので、私がびっくりしました。
🚗 🚗 🚗 🚗 🚗
もう一人は、ダウン症の5年生の男の子。たかくん。
全体に言葉が不明瞭なのですが、特にサ行は全部タ行になる。
これを改善しただけでも、もっと聞き取りやすくなると感じました。
ただし、定型発達のマキちゃんと違って、まず、
サとタの聞き取りができているのか?
確認する必要があると思いました。
「さ」と「た」と書いた2枚のカードを用意して、
「さくら」「たまご」「さめ」「たんぼ」と言うと、
最初の音のカードを間違えずに取れます。
「さ」だけでも「た」だけでも取れます。
これならもしかしたら大丈夫かも?と思い、
マキちゃんと同じようにやってみました。
その場では上手くいきましたが、少し経つと戻ってしまうので、
お家でもお母さんにお願いしてやっていただいて、
半年くらいかかったかな~?
たかくんも、ずいぶん聞き取りやすくなりました。
話が伝わることが増えてきたので、
それまでイライラすることが多かったたかくんも、笑顔が増えて、
いろんなことに前向きに取り組めるようになってきました。
少しさわる。軽くさわる。
私はピアノを教えている時、障害のあるなしに関わらず、
例えば薬指や小指は添える指なので弱く、自分の思うように
動いてくれません。
中には薬指と小指をくっつけたようにして弾く子ども、
指の先あたりで弾いてほしくても、寝かせたままで弾く子ども、
同じところで指番号を何回も間違えたり、背中が丸くなったり・・
直すところは何か所もあります。
そんな時、口頭でゆっても改善し辛い時は、
私はそっと、問題となる指を握ったり、背中を軽くとんとんと
たたいたりすると、その感触が問題の場所に残るので、
口頭で伝えるよりも、早い改善が見られるのかな?と
思ったりしています。
私は年齢相応に何かできない子どもに出会うと、
どうにかしなきゃ、どうにかしたいな、
どうにかなるんじゃない?と、
いつの間にか夢中になってしまいます。
その子がかわいそうだという気持ちも、もちろんありますが、
それよりも、お母さん辛いだろうな、って気持ちの方が
いつも少しだけ強いかもしれないです。
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