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エマニュエル・パユの受賞記念公演ドキュメンタリー

ベルリン・フィルの首席フルート奏者、エマニュエル・パユ(1970年ー)が、2024年デンマークのレオニー・ソニング音楽賞を受賞し、デンマークのメアリー女王から授与されました。

レオニー・ソニング音楽賞ってどんな賞?

この賞は、毎年、国際的な活躍が認められた作曲家、演奏家、指揮者、歌手に授与されています。賞金 100 万デンマーククローネ(約2,100万円)という巨額の賞金が授与される重要な音楽賞として知られ、1959年の最初の受賞者は、イーゴリ・ストラヴィンスキーで、その後、1965年のレナード・バーンスタインから毎年授与されてきました。受賞者はコペンハーゲンで開催されるコンサートに招待され、マスタークラスでデンマークの音楽家を指導することが求められます。
これまでに、オリヴィエ・メシアン、ドミトリ・ショスタコーヴィチ、リゲティ・ジェルジュ、ピエール・ブーレーズほか、錚々たる作曲家が受賞。
指揮者では、ラファエル・クーベリック、ゲオルグ・ショルティ、ダニエル・バレンボイム、サイモン・ラトル、ヘルベルト・ブロムシュテット、マリス・ヤンソンスといった名指揮者が受賞しています。
ソリストとしては、1966年のビルギット・ニルソン(S)に始まって、アルトゥール・ルービンシュタイン(Pf)、ユーディ・メニューイン(Vn)といった伝説の名手から、近年ではアンネ=ゾフィー・ムター(Vn)やバーバラ・ハンニガン(S, Cond)が受賞しています。
フルート奏者としては、1978年に受賞した名手ジャン=ピエール・ランパル以来、パユが二人目です。

エマニュエル・パユは、勇気、遊び心、プロ意識が新しいレベルで融合しています。優れたソリストとして、また情熱的な室内楽奏者として、またベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席フルート奏者として、集団の一員として活躍する能力を備えた、完璧なアーティストであり、この分野の達人です。

美しさ、優雅さ、技巧といった古典的な理想と、現代的な表現による新作の創作と演奏への強い意欲が融合した演奏スタイルで、エマニュエル・パユは管楽器の世界の可能性の限界を押し広げ、聴衆を喜ばせ、若い世代の音楽家にインスピレーションを与えています。

レオニー・ソニング音楽財団 会長 エスベン・タンゲの挨拶

エマニュエル・パユってどんな人?

パユは、1990年にパリ音楽院を首席で卒業した後、1992年にベルリン・フィルのオーディションを受けて合格し、1993/1994年シーズンから首席奏者に就任。ソリストとしての活動も盛んで、多忙により、2000年にベルリン・フィルを退団しましたが、2002年の4月に復帰し、現在に至ります。今回、ベルリン・フィルでの仕事と国際的なソロ活動を両立させている旺盛な活躍が評価されました。1989年、19歳で第2回神戸国際フルートコンクール第1位を受賞したこともあり、日本にはほぼ毎年来日しています。

こちらが2024年5月にデンマークでコンサートや公開レッスンをした、その舞台裏ドキュメンタリーです。

ソロ、室内楽、管弦楽曲、コンサートの舞台裏でどんなふうに練習しているのか、見入ってしまいました。また、マスタークラスではフルートの持ち方もしっかり教えてましたね。この自分の中心軸を捉えた構え方は自然でしっくりきます。

私は年齢が近いこともあって、勝手に親近感がわいていまして、フルートを始めた8年前から毎年、東京公演は色々行っています😊 最近ちょっとお腹が出てきちゃったのですが、舞台を去る時にウインクされたらクラクラします🥰(私にじゃないですけど)。そのくらい笑顔が素敵でチャーミングな方です。
高度なテクニック、美しい音色、そして豊かな表情は、圧倒的な完成度で、「フルートの王様」であり、「スター」です。

今回のドキュメンタリーの中のインタビューで15歳の頃から舞台に立つことが大好きだったということを話していますが、以前にも、彼は舞台に立って大きな拍手をいただくと、もっともっと演奏したくなって、力がみなぎってくると語っていました。そのようなわけでリサイタルの時はアンコールもたっぷり演奏してくれます。
本当に舞台が好きな人なんだなと。東京オペラシティのソロリサイタルで、1600人満席の舞台に立った彼の武満徹「エア」の演奏を聴いた時、この人は「風そのものだ!」と納得しました。パユという一人のフルーティストを超えた演奏でした。この企画は3年連続でvol.3まで全て行きましたが、バロックから現代音楽まで素晴らしい演奏はもちろん、まるで舞台俳優によるお芝居を見ているかのようでした。

そんな彼の最新の映像は本当に素晴らしかったです。いつもたくさんの演奏家やスタッフに声をかけている姿を見ると、音楽への愛を感じます。今年は日本での公演はありませんでしたが、来年2025年3月はベルリン・フィルやレ・ヴァン・フランセでの来日予定があります。
どんな演奏が繰り広げられるのか、楽しみにしています。

レオニー財団公式 パユ受賞のページです。
「霧が晴れる」と「子供たちが遊んでいる」の2つの演奏ビデオも掲載されているので、そちらもぜひどうぞ。



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