●プレイングについて(2) ―オープニングを書くために知っておきたいこと①― と、備忘録的おまけ。
こんにちは。ムジカ・トラスです。
今日はオープニングの書き方について考えてみたいと思ったのです。
これまで散々っぱら、「大体のことはOPで決まるんだ!」ということを書いてきたんでね、ここらでひとつ、オープニングのことをまとめてみよう、って思ったんですよ。でもね。
なげーーーー!!
余りに長いので、その中の一つの要素をピックアップして書き出すことにしました。そう。前提知識として、『オープニングを書くために知っておきたい、プレイングのこと』……です!
■プレイングとはムジカしいもの
プレイングを前提にしたPBW——ムジカはWTRPGしか知りませんが——は、実際にはかなり高度なことをプレイヤーに要求している、と思います。
特に難しいのが、「状況や情報の経時的変化を”予測”したうえでプレイングを書く必要性」が時に——しばしば——生じることです。
たとえば、日常生活においては、
「職場の人に二人っきりでの食事に誘われた」(状況)
→「何を着ていこう、どんな話をしよう、彼女いるのかな……etc」(想定・行動予定)
→イロイロアッテナ
→「あ……結婚してたんだ……」(会話中に得られた新情報)
→「……刺そう……」(判断)
というように、「新情報」に対して「判断」をすることができます。
しかしながら、WTRPGではマスタリングの経過やリプレイの進捗をみながら、その場その場で当意即妙なプレイングを提出することはできません。
リプレイの中で新しい情報がでてきたとしても、それに対する「適切な行動(=プレイング)」を、改めて提出することはできないのです。もしそういった対応が必要となるようなシナリオでは、「予めそれを予測して出す」という行為を求めていることになります。
この際、プレイヤー側で判定行為に準じた予測を行うことになりますが、多義性のある材料をオープニングで提示している場合、プレイヤー側では様々な可能性の中から積み上げた、『他に正解があるかもしれない』推論のもとでプレイングを提出する、ということになります。
さらに、推論に推論を重ねて、あるいは場合分けの上でプレイングを書いてもらうことを想定する場合、「プレイングの字数制限」に対する負担が大きくなります。
不明な状況を楽しむことを意図している場合や、今回のシナリオの成否には直接かかわらない——などの状況では許容される場合もありますが、もしもそれがシナリオの成否に関わる場合は、提示している情報で確度の高い予測が可能か、行動指針が立てられるような状況がなければ、プレイングを書くことすらムジカしくなるでしょう。
思考的制約、あるいは字数的制限を押し付けすぎた場合、今度はそれを元に作成するリプレイにまで影響が及ぶ可能性も否定できません。
例えば、推論のプレイングが2/3を占め、それがMSが用意していた内容と異なる場合……ヒェエ、申し訳無さに魂が凍えてしまう……。
繰り返しですが、それを含めて楽しんでいただくシナリオもあるので、ケースバイケースにはなりますが……あくまでも我々はゲームとしてシナリオを提供するマスター、です。『ストーリー上の最適な行動、最適な判断を、情報が不足している状態で達成すること』を求める場合、我々MSは「この難しさ」をよくよく理解した上で、彼らがそれを達成可能なようにオープニングを用意する必要があります。
(ゲームだからこそ、あえて難しく設定して、それを楽しんでもらって、唸るようなプレイングを叩きつけてもらう……
というのもマスターの醍醐味でもあるんですけどね! ブッシッシ!)
まとめ
「プレイヤーとキャラクターは"リプレイ中にでてくる新情報"に対して適切な行動を取ることは難しい」……あ。ムジカしい。
■おまけ:新情報とは?
では、"リプレイ中にでてくる新情報"とはどのようなものが含まれるでしょうか?
"リプレイ中にでてくる新情報"とは、言い換えれば、"オープニングに明示されていない情報"で、秘匿度や重要度などの点でかなり多岐に渡ります。
たとえば戦闘系の依頼では『敵の新能力』、『奥の手』、『戦場に伏せられた罠』、さらには隠されてさえいれば『依頼人の事情』、『要救助者の状況』も含まれることもあるでしょう。また、『登場人物の心理・感情』も含まれます。
『心理的地雷(例:お前のカーチャンでーべそ!)』なども有りえますね。
さらには、『参加者Aが○○をした(例:突然キスをした!)結果、決定的チャンスが生まれた!』なども、オープニングの段階では想定するしかない情報になりますし、場合によってはそれを想定した上でプレイングを書く必要があるため、『判定結果』もまた、リプレイ中に出てくる新情報といえます。
推理系や『日常でのトラブルを解決する』系のシナリオでは『調査(=プレイングの結果)で得られた情報』などはまさしく新情報に相違ないですよね。
これら全てが時と場合によって"プレイングに書くべき要素"として扱われる可能性があることから、『隠された情報』のみならず『(予想される)判定結果』もまた、"リプレイ中にでてくる新情報"として扱うべき要素といえます。
MSが意図しようと意図しまいとそうなっちゃう時はそうなっちゃうのですが、MS自らがこういった要素をプレイングに書くべきものとして設定する場合には、「それを出来得る材料を提示する」ことが、最低限確保すべきユーザーライクさ、というふうにムジカは思います。
これは別項になっちゃうし余談なので今回は割愛しちゃいますが、こういった新情報が問題になるケースは概して"その新情報によって予期せぬ結果(特に不利益)がもたらされた"場合と、"その新情報がクリアに必要だがどこか(その用法や入手法、入手難度、利用難度について)にPL—MS間での認識の齟齬がある"場合の2パターンがあるように思います。
■おまけ:新情報と難易度設定
シナリオを構築した際、用意したギミックの種類によっては、「これについてこう触れることが正解!」というような要素が生まれることがありますよね。そういったシナリオを考えることは結構楽しかったりするのですが、一方で、達成すべき要素の難易度が高くなりがちです。
それが難易度として適正なものか、ということを検討するにあたって、オープニングを作成したあとで、自分自身の目でオープニングと解説文を確認して、どのようなプレイングを書く必要があるか……というのを考える必要があります。
俯瞰的立場であるマスターは、用意した状況に潜在的にバイアスを有しています。そのため、戦況の変化や登場人物の心の動きを想定し、それに即したプレイングをシミュレーションすることが出来たとしても、それがプレイヤーにとっても同様にできるとは限りません。
そこで、おすすめな方法があります。
何も考えなくていい、シンプルな方法としては、
「これ、少し情報の利用法がややこしいから、やや難しいくらいかな?」
と思ったら、もう一段階、公示する難易度をあげましょう。
「これベリー難しいな……!」
と思ったら、もう少し、ヒントとなる情報を足しましょう。
さらに! もう一点!
「新情報を得るためのプレイング」
→「さらにそれを利用して行動するプレイング」
→「その結果に対して……」
という状況が予想される場合、その『処理の段階』を一つ、ないし二つ減らせるようなオープニングを心がけると、難易度調整のうえでも、リプレイの展開のうえでも調整しやすいものに出来ると思います。
よろしければ参考までに!!
時間が余ったから長々と書いてしまった……。では、おやすみなさい!