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新・オーディオ入門196 オーディオの楽しみ方編 モノラル再生

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

 アナログレコードの録音技術が大きく進歩したのは1940年代後半。 1948年にはLPレコードが発売されます。1940年代後半から1960年代前半はSPレコードとLPレコードが混在し、 1960年代ステレオ録音が普及してSPレコードが消滅しました。 1940年代後半から1960年代前半は高音質のモノラル録音盤が数多く発売されています。 また、この時期はクラシックであれば、フルトヴェングラーやワルター、トスカニーニ、JAZZのブルーノートの録音等、 モノラルの名盤が多数発売された時代でもあります。 これらの録音は音場感や周波数特性では現代の録音に一歩譲るものの、再生時の工夫次第でかはなり楽しむことが可能です。

 モノラルレコードの再生ではモノラル専用カートリッジの使用をおすすめします。 アナログレコードは1本の溝で右チャンネル、左チャンネルの2つの信号が録音されています。 ステレオ録音では溝の横方向と縦方向の2方向に録音されていますが、モノラル録音では横方向のみです。 レコードを再生すると『プチプチ』というスクラッチノイズが発生しますが、このノイズは溝の縦方向のキズが原因であることが多く、 モノラル専用カートリッジで再生するとスクラッチノイズは激減します。 モノラルカートリッジは生産量が少なく、高価なものが多い中で米国GRADO社ME+ Mono ¥28,160(税込)が比較的安価でおすすめです。

 モノラル再生では古いスピーカーを使用される方が多いのですが、 純粋にモノラル再生を楽しむのであれば、最新の広帯域なスピーカーがおすすめです。 モノラル再生では少ない高域成分をロスなく再生する必要があります。 また、高域だけ伸びていたり、低域だけ伸びていると不自然な音になりがちです。 音のバランス調整は、音圧を下げることは容易ですが、上げることは困難で、 最近の広帯域のスピーカーをベースにバランスをとった方が自然な音で再生可能です。 バランス調整はプリアンプのトーンコントロールやグラフィックイコライザーRaicho7mini-geqを活用するのが良いでしょう。


グラフィックイコライザーRaicho7mini-geq

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