見出し画像

ジョニー&エドガー・ウィンター ライブ・アルバム / Johnny & Edgar Winter / Together 1976


ジョニー・ウィンターの「Captured Live!」の3ヶ月後にリリース

同所のサンディエゴ・スポーツ・アリーナとスウィング・オーディトリアムでのライブ録音。
エドガー・ウィンター・グループとのダブル・ヘッドライナーだったとした場合、この2グループでロックンロールとR&B、ソウル、ブルースのカバー・ライブの祭典で締めるというプログラムだったようだ。

メンバー

ジョニー・ウィンター ボーカル & ギター
エドガー・ウィンター ボーカル & サックス
フロイド・ラドフォード ギター
リック・デリンジャー ギター & バッキング・ボーカル
ダン・ハートマン ピアノ & バッキング・ボーカル ※ベースからパート転換
ランディ・ジョー・ホブス  ベース & バッキング・ボーカル
リチャード・ヒューズ  ドラムス
チャック・ラフ  ドラムス

曲目

Harlem Shuffle
Soul Man
You’ve Lost That Lovin' Feelin’
Rock & Roll Medley:
(Slippin' & Slidin'/Jailhouse Rock/Tutti Frutti/Sick & Tired/I'm Ready/Reelin' and Rockin'/Blue Suede Shoes/Jenny Take a Ride/Good Golly Miss Molly)
Let The Good Times Roll
Mercy, Mercy
Baby, Whatcha Want Me To Do

曲目感想

Harlem Shuffle

ボブ&アールの1963年のR&Bのカバー。デュオなのでウィンター兄弟のボーカルでオリジナルより少しテンポ早め。ツイン・リード・ボーカルの箇所あり、しかしエドガーのサックスがオブリで時折入るので彼は忙しい。息切れなど無くそれどろこか歌の終盤はシャウトの応酬で冒頭からエナジー全開だ。

Soul Man

間髪入れず、サム&デイブの超王道デュオのナンバー。オリジナルのあのスティーブ・クロッパーのギターのイントロを生演奏でジョニーが弾くという高揚感。。聴いた瞬間「キタキタ」と条件反射。

エドガーがイントロから高らかにサックスを吹き、ジョニーが単体でリード・ボーカルを取る。サビのボーカル部分は兄弟で歌うが、2人がサム&デイブになり切って喉が枯れるまで歌い切り、シャウトする。3分があっという間に終わる。

You’ve Lost That Lovin’ Feelin

フィル・スペクター作曲のライチャス・ブラザースの「ふられた気持ち」をカバー。歌モノも大好物というかエドガーの方が歌いたくて仕方なかったような選曲なのが曲目と実際のパフォーマンスから想像できる。

イントロのギターのアルペジオのフェイザーをかけたジョニーのギター、クリーン・トーンのもう2本のバッキングのデリンジャー&ラドフォードのシェア具合と時折見せるツイン・ギターのハモリのフレーズもクール。

やはり、エドガー・ウィンターの歌いたかった気持ちは予想と間違っておらず、愛情と魂と曲へのリスペクトが溢れすぎて洪水してる。終盤のシャウトが(曲への)愛の最高潮、クライマックスを迎える。

しかし、こうしたバラード・ナンバーもバックの楽器演奏陣は丁寧に愛情を込めた演奏を行っており。その辺も何もかも分かっている人達が演奏するといい知れぬ感慨深さ、説得力と納得が出て来る。


Rock & Roll Medley
(Slippin' & Slidin'/Jailhouse Rock/Tutti Frutti/Sick & Tired/I'm Ready/Reelin' and Rockin'/Blue Suede Shoes/Jenny Take a Ride/Good Golly Miss Molly)

鬼気迫るロックンロール・メドレーはほぼ曲のAメロを歌ってすかさず次の曲へと目まぐるしく展開してく。
これが容易に転換できるのもステージ上の全員が慣れ親しんでいるから
可能な出来事であって、それに加えてここでもロックン・ロールへの絶大な「愛」に他ならない。

選曲で1点、兄弟互いにリトル・リチャードのナンバーが多いことから特に音楽的影響と嗜好が深めなのが分かる。2人とも表現の仕方は違うが、リトル・リチャードの特有のハイ・トーン・シャウトに幼少から脳内がかなり侵されているのがこの音源を聴いて良くわかる。

スピード感とスイング感と最上級のロックン・ロールが堪能できる。

Let The Good Time Roll

シャーリー&リーの1956年の曲。この曲調から想像するとここもエドガー・ウィンターの提案の可能性も考えれる。オリジナルはホーンも入っており、実際中盤のソロ部分はサックスを吹いている。

ここまで来て気づいた点として、デュエット・ナンバーを主体的に選んでおり、ここも想像すれば弟のエドガー・ウィンターが兄のジョニーと念願叶えて同じステージで大勢の前で一緒に歌いたかったという「兄への尊敬」の構図が推測される。そしてこれこそがこの作品のコンセプトである。

Mercy, Mercy

1964年ドン・コヴェイのソウル・ナンバーがオリジナル。
その翌年の1965年にローリング・ストーンズがカバー。※オリジナルのリリース直後の早い時間軸でストーンズは発表している。
兄のジョニー・ウィンターはストーンズのナンバーを何曲かカバーしている。そしてこのライブでは、ローリング・ストーンズのバージョンを参考にしてというかテンポもツイン・リードも踏襲している。

歌の2廻し目はジョニーからエドガーへと順に廻し、ファルセットで2人でハモる貴重な場面が出て来るが、この歌のコンビネーションが素晴らしく曲への愛情をここでも強く感じる。かなり良い仕上がりだ。

Baby, Whatcha Want Me to Do

ラストはスローでブルースの定番スタンダード・ナンバー。10分近くのジャム・セッション・ナンバー。主役はウィンター兄弟の為、ここでの演奏はジョニーのギター・ソロとエドガーのサックスのソロを交互に応酬する展開になっている。

両者ともソロは感情が出ており、最後のナンバーへ力の限り振り絞る。


まとめ

エキシビジョンマッチのようなライブ
ジョニー・ウィンターの「Caputured Live」の戦闘モードのライブ盤と異なり、ここでのステージは2バンドが合体したルーツ・ミュージックの祭典であり、ゴージャスな雰囲気が伝わる。

また恐らくスケジュール上ライブのリハーサルだけでしか行ってないと思われるが、バンドのメンバーも含め全ての曲が身体に染み込んでいるので、全てのカバー曲の仕上がりが非常に良い。

ツイン・ドラムのグルーブが大いに味わえる
ジョニー・ウィンター・のバンドリチャード・ヒューズ、エドガー・ウィンター・グループのチャック・ラフ - ドラムスのツイン・ドラムのグルーブが合わさることで大陸的なうねりを起こし聴き応えの有る演奏、魅力が倍増している。

ツイン・ドラムで有名なところでは、オールマン・ブラザース・バンドが真っ先に思い浮かぶがまさにこの、倍増もしくはそれ以上のグルーブのうねりの気持ち良さが味わえるのが非常に良いし、好感を持って聴ける。

リチャード・ヒューズの8ビート、シャッフル、時折入れるおかずのオブリの全てがパーフェクト。とにかく聴いてて、感じて気持ち良い。

そしてツイン・ドラムになったことで彼らのドラミングはフロントに立つ奏者のお尻を煽るというのか蹴り上げるというのかお尻に火を点けるというのか、こういうドラマーがいるようでなかなかいない。

さらに歌心もあるので何があっても手放してはいけないミュージシャンだ。

ウィンター兄弟のディスコグラフィで1つの作品(フルアルバム)として一緒に共演したのはこのライブ盤しかない、スタジアムクラスの共演もレアだし、演奏フィジカルも互いにピークに近いので貴重なドキュメントだ

カッコいいスタンダード・カバー・ナンバーが気持ち良く、とてつもないグルーブが襲い掛かる名ライブ・アルバム。

終わり



いいなと思ったら応援しよう!