ハッピーヒマラヤみたいなバンド【Lucky Kilimanjaro】を聴く
名前が長くて覚えられない
Lucky Kilimanjaroというバンドをご存じでしょうか。
2014年から活動をしている、東京を拠点としたエレクトロポップバンド。“世界中の毎日をおどらせる” をテーマにしているそうです。
以前の関ジャムで”スウェットを着たサカナクション”と表現されていて、ガチの魚民(サカナクションファン)の私は「???」と思ったもんですが、よく聴いてみたらなんとなく言いたいことが分かる気がしてきました。
Vo.熊木くんのインタビューを読むと『サカナクションはもともと好きでライブにもよく行っていた』と言ってましたが、確かにかなり影響を受けているように見えます。シンセサイザー担当のまおたきちゃんもサカナクションがもともと好きだったみたいですね。
歌い方や、歌詞の中に同じ言葉を繰り返して入れたりとか、テクノ要素の入ったトラックとか。
そこかしこが似てるやん…!
ライブ映像を見ると、「まだまだ踊れる?」みたいな煽りも言ってる。これも山口一郎さんがサカナクションのライブで必ずといっていいほど言うセリフです。
もろ影響受けてるやん…?
私は10数年来の魚民。37歳にもなり、自分で気をつけていても価値観や考え方が凝り固まってしまいがちなお年頃です。
そんなところに大好きなサカナクションと似たようなバンドが現れたら、当然、脳が拒否反応を示すかと思いきや
好きだなと思う曲がたくさんで、普通にファンになりました。
というか、『恵比寿LIQUIDROOMでやった『NF』の1回目にも行きました(2015年7月に開催)』ということなので、熊木くんも勝手ながら私と同じ魚民認定です。「NF」の1回目に行ってるなんて、なかなかコアなのでもう仲間です。
気に入った曲をあげてみます。
太陽
あとで紹介する『ひとりの夜を抜け』と並ぶ、現時点での彼らの代表曲の1つだと思います。
MVがとにかく素晴らしい。ぜひ見てほしい。音源だけ聴くより、映像と一緒だとめちゃくちゃ良さが出てました。
「はいはい、どうせ今風のオシャレサウンドなんでしょ(謎のやっかみ)」と思いきや、サビでは民謡みが独特のグルーヴを出してきて、やみつきになります。
中盤の踊りがなんだか雨乞いしているように見えて、晴れの日よりむしろドン曇りの日に合う気がしました。曇りや雨で気分が晴れない時に聴くと楽しくなれる、大好きな曲です。
踊りの合図
2021年7月21日リリース、現時点での最新曲ですね。文字通り、物理的に「世界を踊らせ」にきてます。
なんて形容すればいいのか知識不足であれですが、サンバ?ラテン?系みたいなリズムに乗るのは
踊れや さぁ踊れや
あぁ泣き笑い さぁ踊れや
ザ・日本の祭り、なエッセンス。
この国籍をかけ合わせたようなミックス感は『太陽』の進化系というか、新しい解釈のような感じがしますね。今後、彼らが他のバンドと一線を画すアイデンティティになりそうな予感です。なんかめちゃくちゃ偉そうなコメントをしてしまいました、すみません。
こういうサビって、ついついベースとかのリズム隊が目立とうとしがち(私調べ)だと思ってるんですが、この曲はベースもパーカッションもシンプルな分、歌が際立っていてとてもいいです。
MVの踊りもとてもいいです。
初恋
なにこれ。良すぎる。イントロから前半はゴリゴリのテクノサウンドで「これもただの今っぽい曲じゃねーか」と思わせといて、サビでは急に叙情的な歌詞とメロディがシンセに乗ってきて独特の浮遊感。そしてこちらもほんのり歌謡曲風。
胸がなんかもう、キューーーんとなってまうやつです。
「初恋」という曲名なので恋がテーマなのでしょうが、何となくそれだけではないような深読みをしてしまいます。何かを始める時の情熱とか衝動みたいなものに対して、時が経って自分が変化することによってその気持ちも変わっていくことを表現しているような。
他の曲も歌詞を見ていくと、どうやら彼らの言う「恋」や「恋心」は音楽に対する気持ちを表してるんじゃないかな?という気がしてきます。そういうことを言っているインタビューなんかは今のところ見つけられていないけど。このあたり語ってほしいな。
まぁ、どうとでも受け取れますね。聴き終わったあとに爽やかな切なさを残す曲です。
リンク貼っておいてなんですが、これは個人的にMVがいまいち。なので映像の情報は入れず、初めは音だけで聴いてみてほしいです。
HOUSE
部屋の中で踊って楽しもうよ、という曲。皮肉かもしれないけど、まさに今の時期にぴったり。
でも、手拍子とかジェスチャーとか、一体感を感じるパートがたくさんあって、めちゃくちゃライブ向きに作られてる。ものすごくライブに行きたくなります。
泣く子も黙るインドア派
(はぁ?)
の煽りも良い。MVで、6人が並んで踊ってるのもかわいいです。
これも「BPM125」っていうワードとか、サカナクションの『聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに』からのインスパイアを感じるのは私だけではないはずでやんす。
(話が逸れますが上に貼った動画、めっちゃオシャレだと思って見てたら一郎さんが出てきた瞬間のインパクトがすごぎて笑ってしまいました。なんだこれ。)
「部屋で踊るハウスミュージック」をみんなで合唱できるような日が早く戻ってくればいいなと、この曲を聴いてより強く思います。
350ml Galaxy
記事のタイトルはこの曲の歌詞から取ってみました。
仕事終わり。コンビニでちょっと贅沢なお酒を買って、でも明日も早いからほどほどに嗜むよ、という歌。
『HOUSE』がオフの日の歌なら、こちらはワークデイの歌ですね。
全ての社会人に刺さる曲だと思います。こちらのティザーの16:23あたりから。
”うまい酒が飲みたい”
いや本当、毎日これしか思ってないもんね。
ひとりの夜を抜け
これも彼らの代表曲の1つですね。
どアタマの
ひとりの夜を抜け
どこまで行く くたびれたスタンスミス
というフレーズにグッときました。こちらも音だけ聴くとオシャレさが耳に入ってくるんだけど、実は歌詞が良い。コテコテの応援歌じゃなく、そっと肩を叩いてくれるような優しさを感じる。
八方美人なあなた 嫌われるのが苦手
小さなストレス溜めこんでしまう
おお、そうなんだよ、アンタ私のこと分かってくれるのかい…!?と、まんまとホイホイされてしまう私です。
「いつか踊り出す未来を信じて」というポジティブな言葉で終わるところも好きです。
これもMVがとてもよいです。冒頭がtofubeatsの『朝が来るまで終わる事のないダンスを』を彷彿とさせる。それと、ちょっとだけ『アルクアラウンド』の兄弟みたいな感じ。
自分の人生を「踊れ」
私が彼らをいいなあと思ったのは、以前のインタビューでこんな言葉を見かけたからです。
僕らが「踊る」って言っているのは、「自分の人生を踊る」ってことなんです。自分の思っていること、表現したいことをやることが、僕らにとっての「踊る」ってことなんですよね。
自由に踊る=自由に生きる、ということなんですね。自信を持って、自由に、自分なりの踊り方で人生を楽しめたら幸せです。
ライブ映像作品がリリースされるようなので、楽しみです。そしてライブツアーは延期されたようなので、チャンスがあればぜひ生で見てみたい。
しつこいようですが、彼らとサカナクションのもうひとつの共通点を見つけました。熊木くんも一郎さんも「口からCD音源」なのです。つまり、生歌がめちゃ上手い。
一郎さんも難しいメロディをすごく正確に歌いますが、熊木くんもこれだけ細かい音符のメロディをまぁ上手に歌ってますね。なんでもなさそうに歌っているけど、彼の曲も歌うの相当難しいはず。ライブで見たらもっと良いんだろうなという感じがします。
ここに紹介した曲以外にも、まだまだよい歌がたくさんあります。このスタジオライブもとても良かったので、ぜひ見てみてください。
おしゃれにとか、カッコよくは踊れないけど、自分の踊り方で日々を楽しみ続けていきたいものです。