I♡歌舞伎町 / KIRINJI を聞いた私
新宿歌舞伎町。心の底から嫌いだけど、心の底から憧れる街。
絶対に行きたくはないし、関わることはないけど、なぜか深く共感してしまう。
そんな気持ちを呼び覚ましてくれる「I♡歌舞伎町 / KIRINJI」。
私がなぜこの曲が好きなのか、解明するために言語化したい。ので、この記事を書いている。
○歌詞
まず歌舞伎町へ対するスタンスが痺れる。絶対に内側に入り込むことはないけど、客としての表面的なつながりが感じられる。
「心は通わない でも温もりならある」
なんてことだ。そんな関係性がこの世界に存在するのか。心すら通わない人々に揉まれる日々。心を通わせたくて、無理して悲しい思いばかりする人生。
それなのに、温もりだけを得られる存在。私の人生には少なくとも存在していない。
悲しみとも、喜びとも違う、深い共感(もしくは同情)。そんな心が感じられる一節。
「星に願えば、ほら 叶いそうな夢が 消えてゆくよ 奪われてゆくよ」
歌舞伎町にだって、夢はある。むしろ、みんな夢を追いかけているはず。
でも、みんな何者にもなれない。ただ、それだけ。歌舞伎町にいるからって、何も叶わない。
そもそも、人生ってそんなもの。でも、歌舞伎町という混沌に身を置いたその悲しみへの対価が何もない苦しみとは違うよね。叶いそうだって思う。だって苦しいから。
苦しみの先には、希望があるはず。でも、そうはいかないのが人生。苦しいよね。
○音楽性
歌詞とのマッチングが素晴らしいサウンドだと思う。
イントロ。歌舞伎町へ足を踏み入れるときのような、重苦しくて陰鬱な街の雰囲気が感じられる。
中に足を踏み入れると、なんだかキラキラしてるようにも、やっぱり重苦しいようにも感じられる。そんな雰囲気があるメロディ。痺れる。
○なぜこの曲がぶっ刺さっているのか。
私は歌舞伎町という街を知らないという方が正しい。風俗にも行ったことがない。でも、なんとなく持っているイメージが、あまりにもこの曲に当てはまりすぎている。
なんなら、歌舞伎町という題材無くしても、人生観として揺さぶってくる魅力がこの曲にはある。
つい最近、ナミビアの砂漠という映画を観た。なんだか、この曲が聴きたくなる映画だった。別に、歌舞伎町が舞台というわけではないけど、夜の街が象徴的だった。
そして人生への無力感、その無力感との向き合い、成長という物語が、なんだかこの曲を想起させた。
そしてつい最近フラれたということも大いに関係している。
ああ無力。夢なんてない。遠くからそんな自分を見られてるみたいで辛い。核心ついたこと言うなよ、オッサン!みたいな気持ちにさせてくれる。
ああ、悲しいなあ。