#111 タック・スミス&ザ・レストレス・ハーツ『ならず者の代償』
タック・スミス&ザ・レストレス・ハーツ『ならず者の代償』
9月29日、30日に初来日公演を行うタック・スミス&ザ・レストレス・ハーツは、米アトランタでバイターズというバンドのフロントマンとして活動していたタック・スミスが、バイターズ解散後の2020年に新たにスタートさせたバンド。昨年のデビュー・アルバム『しくじった青春のバラッド』(原題『Ballad of a Misspent Youth』)に続き、早くも2作目『ならず者の代償』(原題『Rogue To Redemption』)が届いたのだけど、これが前作以上の完成度の高さで、“ロックンロールとはは何ぞや”という問いに、胸がすくほど明快に、パーフェクトに答えを提示してくれています。
いわゆる、ぽっと出の新人ではないものの、タック・スミスが標榜しているのは、ビッグなギター・サウンドと屈強なビート、キャッチーなメロディからなる王道ロックで、チープ・トリックやシン・リジィなどが引き合いに出されています。
王道とはつまり、時代を問わないということだというのが、僕の考え。それは、新しくも古くもないということであり、新しくもあり、古くもあるということ。実際、僕らのような世代にとっては懐かしくも新鮮に響き、ギター・ソロなんかが来ると、ニンマリしてしまうことは確実です。でも10代や20代のリスナーにとっては、新しくも、ヴィンテージっぽく聴こえることでしょう。以下は、「めげずにロング・ウェイ」(原題「Take The Long Way」)。
しかも、今回タック・スミスは早くも、自身の全キャリアを代表する1曲になること間違いなしな(あくまで個人的見解です)、もはやロック・クラシックスとも呼べる(感じ方には個人差があります)素晴らしいアンセムを生み出しているのです。それが、「時代の終わり」(原題「End Of An Era」)という楽曲。
ほんのちょっとでもロックに興味がある、良い子の皆さん、そして悪い子の皆さん、この曲を視聴して、カッコいいとか、気持ちいいとか、なんかグッときたとか、ザワザワしたとか、はたまた楽器をやってみたくなったとか、歌ってみたくなったとか感じたのなら、君もあなたも、お前もユーも、もう立派なロッカーだと断言します。これからの人生、ロックが最良のパートナーとなってくれることでしょう。
鈴木宏和