#33 イギー・ポップ『エヴリ・ルーザー』
イギー・ポップ『エヴリ・ルーザー』
パンクなアニキ(オジサン?)つながりということで、今回はイギー・ポップの新作を推したい。これがまた、いいのですよ。
極私的なことだし、なんだかブログみたいでアレなんだけど、新入社員時代、僕は朝の出勤前によく『ラスト・フォー・ライフ』収録の「サム・ウィアード・シン」を、本人自慢のオーディオ・セットで大音量でかけて、イギーさんに背中を押してもらっていた。以来数十年、勝手に親しみを感じている。特に好きなアーティストには、嫌いになるようなことがないようにインタビューは避けたいというのが、僕の本音。だけど、イギーさんには会いたがっている自分がいる。
さて、3年ぶりの新作だが、もう初っ端の「フレンジー」からたまらない。決して大袈裟ではなく、あのころと何も変わっちゃいない勇姿がそこにある。自分のことを知り尽くしているというのか、ファンのことを知り尽くしているというのか、はたまたゴッドファーザー・オブ・パンクへのロックの神からのお導きなのか、これぞイギー・ポップと快哉を叫びたくなるナンバーが詰まっている。
ダフ・マッケイガン(ガンズ&ローゼズ)、チャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、ストーン・ゴッサード(パール・ジャム)など、参加メンツも感動もの。先ごろ旅立ってしまったテイラー・ホーキンス(フー・ファイターズ)も名を連ねており、どんな顔でドラムを叩いているのか想像できて、涙腺が……。
喜々として昔話なんぞをして、MVを2曲も入れてしまったけど、今なおイギー・ポップと同じ時代を生きていられることに感慨ひとしお、ということで。
鈴木宏和