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#82 ノラ・ジョーンズ『ヴィジョンズ』
鈴木さんへ
テディ・スウィムズ、確かにヴィジュアルだけだと、ポスト・マローンと同様になるべく避けて通ろうと思ってしまいますよね。私も『Lose Control』が全米2位になったことで初めて聴いたところ、やられました。31歳でしたっけ? 低音のハスキーヴォイスに、その年齢を重ねて勝手に苦労人なのかと想像してみたり……。
アルバムを聴いて、ソウルとロックの要素が自然に融合している楽曲に少し彼を調べてみると、子供の頃にマーヴィン・ゲイなどのソウルを家庭で聴いて育ち、10代の頃にロックバンドをやっていたという記述を見つけて、なるほど~などとひとり納得していました。
さて、今回私がピックアップするのはノラ・ジョーンズです。ちょうど今日リリースされました。
ノラ・ジョーンズ『ヴィジョンズ』
オリジナル作品としては約4年ぶりになるが、この間ノラ・ジョーンズは、ポッドキャストでさまざまな人たちと共演し、セッションの一部を動画でも公開してきた。以前ここでも少し触れたけれど、その形式ばらず、自由に演奏を楽しみながらも音楽に対して真摯で、クリエイティヴなセッションに心惹かれた。その雰囲気をまさにまとったこの新作は、プロデューサーのリオン・マイケルズと2人だけでレコーディングされたという。
ノラがピアノとギター、リオンがドラムを叩き、さらにノラが多重録音でバックコーラスを担っているんだけれど、その甘くノスタルジックなハーモニーがすごくいいのだ。
ノラと言うと、もう20年以上も前なのにどうしても『ドント・ノー・ホワイ』をまだ期待してしまうからか、最初こそ明るい曲調の始まりに少し違和感があったけれど、終盤のまったりとした『アーロン・ウィズ・マイ・ソーツ』やエレガントな『ザッツ・ライフ』になってくると、あの独特の抑揚で歌う歌でどんどん心酔わせてくれる。
彼女自身は、「ガレージっぽい」と表現しているようだけれど、加工しない、ナチュラルで、もっと言えば、生きた音楽といった感じで、しっくり耳に馴染むし、ゆらゆらとゆりかごに揺られているような気持ちよさが続いて、肩の力が抜けていく。これがノラ・ジョーンズのマジックなんだと思う。
服部のり子