#47 フー・ファイターズ『バット・ヒア・ウィ・アー』
フー・ファイターズ『バット・ヒア・ウィ・アー』
先日、同い年の友人の墓参りに行ってきた。彼はひとり暮らしの自宅で、突然亡くなった。ご家族とは面識がなく、共通の友人もいなかったため、時間差で知った。メタルとプログレ、ポテトチップスと唐揚げが好きだった。こんなにも喪失感が押し寄せてくるのかと、少し動揺した。お墓に向かって、酒を飲みながら話しかけた。答えてはくれなかった。
『でも、俺たちはここにいる』。アルバム・タイトルからして、泣けてくる。そう、ドラムのテイラー・ホーキンス(写真左から2番目)は、もうこの世にいない。さらに言えば、続けざまにデイヴ・グロールの母親が亡くなっている。ふたりに捧げるアルバムであることは、火を見るより明らか。
「歌詞を読みながら聴いてほしい」と珍しくデイヴが要望しているし、日本盤CDを購入して、そうするつもりだ。しかし、曲名や聴き取れる歌詞だけ取ってみても、痛いほどぐっとくる。そして、こちらの感傷がそうさせているのかもしれないが、エモーショナルなメロディに乗せて繰り返されるデイヴの渾身のシャウトが、泣きじゃくっているように聴こえてならないのだ。
インタビューで会ったことがあるテイラーは、デイヴと同様に絵に描いたようなナイスガイ。ふたりはまるで、仲のいい兄弟のようだった。どうか、安らかに。絶対に忘れないよ。
と、しょっぱい終わり方もなんなので、この新作とは関係のない曲だけど、最後は楽しいMVで!
鈴木宏和