#37 インヘイラー『カッツ&ブルーゼス』
インヘイラー『カッツ&ブルーゼス』
インタヴューをした時も、アルバム発売を待たずして行われた初来日公演を観た時も、このバンドを応援したいと心から思った。逆風が吹き荒れる中、ロックに真っ直ぐに向き合い、信じる音を鳴らそうとしている姿に、若いのにと言っちゃなんだけど、“覚悟”のようなものを感じたからだ。
フタを開けてみれば、ファースト・アルバムは本国アイルランドでもイギリスでもチャート1位という快挙。どんなもんだいっ! 美味いもんは美味い、いいもんはいいんじゃ!
というわけで、ここに届いた2作目。これがまた、キモの座りっぷりが素晴らしいアルバムなのだ。奇をてらうとか、売れ線とか、流行に目配せとかはゼロ。愚直なまでにオーセンティックなギター・ロック・バンドとしての自身を表現している。グッド・メロディと、表情に富んだ演奏、エモーショナルなヴォーカルで真っ向勝負しているのだ。
個人的な推しは、サビの合唱が目に浮かぶフィール・グッドな「ジーズ・アー・ザ・デイズ」と、ちょっとジョイ・ディヴィジョンの香りが漂うクールな熱を帯びた「ダブリン・イン・エクスタシー」。後者のほうがより気に入っているのだけど、MVが見つからないので前者をどうぞ。
“覚悟”と言えば、インタヴュー時にイライジャ・ヒューソン(Vo/G)にもそれを見た気がしている。どうあっても自分がボノの息子であることからは逃れられないということを、このフロントマンは何よりわかっているように思えたのだ。ちょっと贔屓目も入っているかもしれないが、とにかく芯の強いバンドであることは間違いない。さらなる飛躍を願うのみ。
鈴木宏和