入間の道標

埼玉県の幹線道路からちょいと入ったところにある、旧街道といった風情のなんの変哲もない道。そのY字路にあるこれまたなんの変哲もない古びた道標。

なんとなく気になってかたわらにある説明書きを読んでみると、左右には、この先どこそこ、正面には〜村中、南無阿弥陀仏の刻印に和尚の署名があり、旅人が迷うことなく目的地に着けるよう村の人々が協力して建てた、とあった。

手甲きゃはんにわらじ履き、陸蒸気もない頃の旅はときに命がけだったことでしょう。
その昔ここで行き倒れでもあったのか、縁もゆかりもない旅人のために、金と時間をつかって石を削り文字を彫り、この追分まで石を運んで据えた村人たちの情け深さといったら。

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