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シルバーデーとクリムト
大人気の様子の都美でのクリムト展。
中高生の時に目にしていた教科書に掲載されていた皆が知っている「あの絵」。
細やかな模様が散りばめられた金色に目を引きつけられ、
描かれた女性の恍惚とした表情に魅せられつつ、
その表情を放つ世界が、子どもの自分には神秘的にも感じられる距離があってそっと見入る。
私にとって、そしてもしかすると多くの人にとっても、
彼の絵は、小さい頃のそんな密やかな記憶と共に頭の片隅に仕舞われている絵なのかもしれません。
ということで、平日に時間をつくることができたとき、上野まで足を運んでみました。
梅雨の晴れ間、暑さが顔を出し、緑もどんどん勢いづいてきた上野公園の中、歩みを進めて都美に到着すると、「待ち時間 40分」の文字。
そっか、よっぽどの人気なんだなぁと感心していると、
またまたサインを見つけました。
どうやら、その日は「シルバーデー」で、65歳以上の方には無料開放している日だとのこと。
これはまた引きが強いなぁと思いながら、
おじいちゃん・おばあちゃんに混ざって列に並び、展覧会の中へ。
クリムトは、エロス(生の欲動)と共にタナトス(死の欲動)を表現する作家だと解説されます。
そんな彼の絵を、自分よりも何倍も長く生きてきたおじいちゃん・おばあちゃんと肩を並べて眺めていると、なんだかより一層今の自分が人生の中でのどのステージにいるのか、際立ったというか、意識が鮮明になった感覚が浮かび上がりました。
なんというか、今、一緒に同じ絵を眺めているけど、思いの馳せ方が違うだろうな、ということを強く感じながら鑑賞をしていました。
そして、今の自分が持つ美しさや欲動を生かして生きたい、と思いました。
<<女の三世代/The Three Ages of Woman>>(1905)
2019年6月某日