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藤井風 自由自在に、よどみなく

Fujii Kaze Documentary HEATのティザーが公開された。
昨年秋から2か月に渡って全国をまわった藤井風アリーナツアーのドキュメンタリー。

監督は風ファンの間ではお馴染みのエリザベス宮地さんだ。             これは期待が高まるなぁ。何しろザべスさんはこれまで風ファンが欲しがる数々の名シーンを世に送りだしてくれた風ドキュメントの名手ともいえる監督。今度はどんな映像を見せてくれるのだろう。

早速、ティザーを拝見。画面いっぱいに躍動する藤井風とツアーメンバーたち。1分余りの動画の中に、藤井風の魅力が凝縮されているようだった。

風やバンドメンバー、ファンとおぼしき人々の印象的なコメントの数々に耳を傾けていると、やがて旅路の美しい歌声が流れ始めた。               大会場に広がるのびやかな声。端正な顔の輪郭・・・。               思わず聞き入って(見入って)しまう。                あっというまの1分ちょっと。全編は91分もあるって?早く見たい!         発売日である藤井風の誕生日が待ち遠しくなってしまう。

そんなティザーだったけれど、なんといっても一番衝撃的だったのはマネージャーずっずさんからの意味深なコメントだった。                       「活動休止したいといえばそれはそれで・・・」
って一体なに?

休止、休止、休止とな・・・。

なんだか不穏な言葉だ。けれども、でもでも、なぜか心のどこかで
「もしかしたらそんなこともありうるかもしれない」               と、自分、思っていたかもしれない。
 
藤井風を好きになってから2年余り、彼の人気の急上昇っぷりは凄かった。             いちファンとしてはまるで嵐に巻き込まれているかのような日々・・・。

「藤井風」の快進撃を目の当たりにできることは喜びであり、日々の楽しみであり、まるで共に山の頂きを目指すような連帯に満ちた気持ちを与えてくれた。
 
その一方で、あまりに急激、かつ加速度を増すような上昇に            「風ちんは大丈夫だろうか?」
そんな心配が頭をかすめたりすることもままあった。
 
去年放映されたNHKミュージックスペシャル。                  日産スタジアムでの単独ライブに臨む藤井風を映し出したドキュメンタリーだったけれど、見終えた後、なぜか胸の奥が痛んでしょうがなかった。                         

そこには想像を絶するプレッシャーに立ち向かう藤井風がいた。
彼は苦しんでいないだろうか?                    疲れていないだろうか? 
いったいこれは彼の本意だったのだろうか?
 
けれど、そんな心配はご無用、とばかりにその後の彼は与えられたチャンスを着々とものにして、どこまでも輝きを増していった。

その輝きに目を奪われて、ひとりの24歳の青年であることをついつい忘れて、彼を崇めてしまう自分。
だから、ずっずさんの口から「休止」の言葉を聞いた時は、ショックではあったけれど、どこか安堵したのも確かなのだ。

休んでもいいということ、それは藤井風の意志を尊重してくれている、ということなのだろうか?

今やビッグビジネスになってしまった感のある藤井風。
素人には分からないけれど、ここまで大きくなってしまったら、          色々なしがらみや利害関係もあるのではないかな、と邪推してしまう。
それらに縛られて彼が苦しんだり、疲弊していくとしたなら耐えられない思いだ。
 
ずっずさんは、きっと藤井風を守ってくれる、と信じたい。
今まで彼を広め、高いところまで引き上げてくれた凄い人。             ショービジネス界の光も影もよく分かっている人。                 だからこそ、藤井風にとっての幸せをきっと考えてくれているはず、         今までだってそうだった。これからもきっと。そう願わずにはいられない。

一方、どんどん増え続けるファンとその思い。                  熱量は増大しながら、藤井風へと激しく注がれていそうだ。             ファンの彼に対するイメージってどんなだろう?                  実像とはかけ離れたまま、固定化していったりする部分もあるのかな。

Youtubeの配信などで見せてくれる彼の可愛らしくてチャーミングな部分をファンは熟知しているけれど、それでも、普遍性に満ちた楽曲や並外れた音楽性が彼を神格化して、崇め奉ってしまうようなイメージもあったりするのかな。

そんなイメージを叩き割るように先日、藤井風テレビが放映された。
おもしろかった! 笑わせてもらいました。ほんと、がんばってたなぁ。
冒頭からめっちゃ頭叩かれているのをみて、これはガチなコントだ!         と悟ったけれども、ここまでとは思わなかった。                  色んな表情の藤井風を見ることができて新鮮だったけれども。

かぜまろ氏、コントがやりたかったんだね。
Twitterに投稿していた高校時代の爆ウケ動画、すごかったものね。
少年時代から笑いをとる快感、知っていたのだろうなぁ。
これも、彼が自身の新しい側面を見せてくれようとした新たな試みだったのかな。
 
MUSICA5月号のインタビュー記事にこんな記述があった。
 
「音楽的にいい子ちゃんなところだけ見せてもつまらないというか、それとは反対側にあるようなことも見せないといい面も際立たないし、それは逆も同じだし。だからいろんな側面を見せないといけない、みたいな、そういう考えに駆られてますね、ずっと」
 
自身の音楽表現への思いについて語られた言葉だったけれど、ひとつのイメージに縛られることなく、いつでも自由自在でありたい、ということなのかなぁ。

そうだよね。彼はまだ若い。こんな早くから自分を「こうあるべき」的なイメージに固定されたくはないだろう。

よどむことなく、どこまでも軽やかに、新しいことに挑戦しながら藤井風はどんどん変幻自在にアップデートされていくのかもしれないなぁ。
 
藤井風の音楽を愛し、気づけば人間 藤井風を愛してしまっていた。
彼が必要以上のプレッシャーを感じることなく、自分のペースで穏やかなミュージックライフを送ることができたら最高だな、と思う。(とっくに送ってるよ。心配ご無用、ってことでしたら、大変失礼いたしました!)
 
そして、たとえ彼がいつかどこか違うフィールドに旅立っていってしまったとしても、遠くから彼の幸せを願わずにはいられない。
 
彼が1曲1曲全身全霊を込めて作ってくれた音楽が私を素敵な場所へと導いてくれた。これでいいじゃないか、とも思う。                  

でも、やっぱり、これからも藤井風の音楽の旅路を見届けていきたい!        それが素直な気持ちです。


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