彩苑 saien

「火膨れのようなチーズと、トーストしたパンが好き」「むらさきいろの色鉛筆で、木の葉のみどりが描けるかな」詩と小説をかきます

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「火膨れのようなチーズと、トーストしたパンが好き」「むらさきいろの色鉛筆で、木の葉のみどりが描けるかな」詩と小説をかきます

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ひかり

つながりを失くしても やくそくはいきている ことのはの泉が枯れても じかんの泉が枯れることはない わたしがすべて失ったころ かならずまた会えるはずだ

    • 悲痛の詩

      「心がひとつでもなくならないように」 雨が降りつづく旅の出口で 心がひとつ、狂ってしまった 砂色のコートを纏ったまんま 笑顔がひとつ、死んでしまった 「心がひとつでもなくならないように」 彼女は優しい馬鹿のまま 脳みそひとつ、抱えている 身体にあわない服を着て 命をひとつ、生かしつづける 「心をなくしても声がのこった  声は語ることをやめなかった」

      • room

        辛いでもなく 苦しいですらなく 「無理が生じている」君に 家でもなく 学校でもない 「部屋」をひとつ用意しよう カーテンの色も 引き出しの使い方も 君が好きに決めたらいい 大きなベッドでゆっくり眠って どうか目覚めを怖がらないで 夜が明けても行かなくていいから 君が決めるまで君の居場所だから 特別なことは何もしなくていいから こんな手段であっても生きていてほしい

        • fail

          人生そのものが失敗だとしても 桜のような言葉の輪っかだけは 25歳の首に光る悲しい勲章 夏を迎えて散る、散る、散れども苦しいまま

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          日記

          今日もまた、明日が来ないことを願って眠りにつく。 それでも予定調和な朝がきっと来てしまう。 ろうそくを燃やすように生きた過去を思いながら、新しい一日をとぼとぼと歩く。 禁断の果実よ。もう一度、私に力を灯してくれませんか。

          蝶と土

          精一杯やさしくあろうとした 心の残骸が旗のように鳴る 「あなたが明るいところを歩いていけるよう私にできることは何なのでしょうね」 愛してもいないのにどうしてこんなことばかり 脳が薄目をあけて、やれやれとまた眠ってしまった

          学問

          花は金になる 金はパンになる パンは何にもならない 花をきれいだと簡単に笑った あいつの知らないことでしょう 愛されて育った者だけが 当たり前のように愛を注げる つまらない輪廻の片隅で もうすぐ萎れていきそうな 花だけが綺麗 神様 教えて パンは何になるの? それか もう一輪、花をください

          交換

          私を救う言葉を 私は永久に知らない だから交換しよう 貴方の知っていることと 私の望んでいることを ひとしずくでもかまわない きっともちこたえてみせる 私たちの過去が過去になるまで

          一本の電話がつながって 悲しみの 雨が鳴る 白が汚れて 愛がひかって 積み上げたものが落下して それでも針に糸を通す それを生活と呼びつづける

          黄昏

          何のために詩を書いたのだろう 何のために絵を描いたのだろう つまらない肉体が残されて 今日も幸せに飯を食う 金と品物がくるくると踊る街 肯定も否定もなくその一部として

          代償

          小豆とクリームの入ったパンをかじる 君とおなじカレンダーで時間を過ごす 労働の味は苦いけれど決して悪くない 傷を負った身体にも続きがあること これからも一日も欠かさず生きる 代償は 文字に起こさなければ 幸せがわからないことだ

          LIFE

          蟻が搾取されて街になるように 魚が啄まれて鳥になるように 鼠が苦しんで我々が癒えるように 私の血液の上に咲く花があるというのなら その命をよろこべる者でありたい

          海底

          薄暗い海底にいて 目をつむったときだけ 明るい思い出を歩くことができる 身体に泥が降り積もり 聴力だけが研ぎすまされ 希望の光などやってこない そんな空間なのだ 詩が生まれるのは

          切望

          雨が降る。 喪失という言葉を埋めてくれる。 朝が来る。 挫折という言葉を護ってくれる。 私がいる。 私という歴史を愛してはくれない。 いつか 一枚の鏡がこたえてくれるだろう。

          希望の詩

          雫は独りきりだ ぽたん、ぽたん、 心をくださいと 泣いているんだ 灯火はあたたかい ゆらり、ゆらり、 私は空と出会って 瞳は人をうつした 腹は満たされて 退屈がしみこんで 四肢がとおくなって 未来はきっとやさしい

          意味

          多くを学んだ 美しい言葉 生物の時計 缶コーヒーの味 納得すること 過去は引き出しに整理され 暴れ出すことなくここにある 大切に取り出して 一つ一つ解放していこう 知性のフィールドへ コンビニの陳列ケースへ 孤独なノートの上へ そして、制服の胸へ 唯一無二の意味の一つ一つ 太陽を照り返す桜貝のように