2章第9話 光の中はどんなところ?
いよいよタマニータウン中心部です。
「うわ~、入り口からして大きな街っぽいッポルね!楽しみッポル!」
ポルチーノくんとジュニアはぽかんと口をあけて街のゲートを見上げています。イエロー村にはこんな規模の建物はほとんどありませんでした。
「諸君らが街の大きさに驚くのも無理はないが、ほどほどにしておかないと田舎者と笑われてしまうぞ?」
立ち止まっている2人を促すようにムッシュは一旦振り返り、そしてニヤッと笑うとこう続けました。
「さあ、この先はもっと凄いので着いてきたまえ」
そう言って車輪を進めると――。
ピカーッ!!
ムッシュの姿が虹色の眩しい光に包まれました。
突然の出来事に動転するポルチーノくん。それは今まで見たことのない光景でした。
「ムッシュ、待ってッポル!その光は何ッポル!?」
「諸君らも早くこっちに来たまえ。今から旅支度を整えながら情報収集を行うのである!」
何がなんだかわからないままでしたが、ひとまず危険ではないようです。
ムッシュを信じ、ポルチーノくんとジュニアは恐る恐る光の中へと進んでいきました。
すると……。
「身体がフワフワするッポル……それに光で何も見えないッポル……。ムッシュ、本当にこれで大丈夫ッポル!?」
眩しさが収まって真っ先に目に飛び込んできたのは、いくつも並んだカラフルなショーウィンドウでした。
入り口の光とは違った意味で目がチカチカして目がまわりそうです。
「何だかスゴイところに来たッポルね……。どこに向かってるッポルか?」
見たこともないきらびやかな光景にポルチーノくんとジュニアはぶるぶると震えていますが、ムッシュは自信満々に進んでいきます。
「もうすぐ到着だ……まあ黙ってついて来たまえ」
さすがムッシュ。おれたちの頼れるムッシュ。
――大丈夫だ。私を信じろ。
振り返ることなく、できる男は背中で語る。
やだちょっと惚れちゃう……。
(実は私も初めてだから緊張しているのだよ……)
あっなるほど、虚勢がバレないように振り返らなかったんですね!
「よし!まずはここだ。
我々はこれからの長い旅に備え、情報、物資をこの街で調達しなくてはならない。諸君は田舎者ゆえ、今から私が交渉していく様子を黙って見ていたまえ!」
「オッケーッポル」
一同は頷きあうと、ゆっくりと扉を開いた――。
「ようやくここまで来たか……待ちくたびれたぞ……」
扉の奥、3人には聞こえないほどの小さな声で誰かが息を吐いた――。
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