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富士登山地獄備忘録 2012 ④


雨ニモ負ケズ まさかの出発


虹を幸運の兆しと勝手に判断したわたしたちは、
登山装備に着替えて五合目入り口までいざ出発!

折角だから奮発してゴアテックスで揃えたのだ。
家を出る前にドンキでレインコートパンツも買ってよかった。
わたし天才!何があっても怖くないぞ!どんとこい。

五合目の駐車場はありえないほど空いていてラッキーだったらしい。
みんなで仮眠を取る。暑くて結局寝れなかった。
シホちゃんからはスピースピーという可愛らしい寝息が聞こえた。

アラーム20:00。気付くと、辺りは真っ暗に。夜景が綺麗。
ナオコはしゃぐ。乙女よのう。見守る彼氏の気持ち。

そして、空気は一気に下がり、肌寒くなっていた。
軽く風も吹いている。いや、寒いなこれ。
山だな、やま!
ヘッドライトの光がより本格的に見せている。
単純だけどホンモノっぽいよ。ま、本当に登るのですが。

よし、行こう!
五合目入り口のスペースには結構な人がいる。
おお、あなた達も富士ですか。奇遇ですな、なんて親近感。
(そらそーやろ)

マツド隊長の行きますか!のかけ声でスタート。わくわく。
プランは須走口から7時間ほどかけて3:00に登頂の予定。
山小屋には泊まらずのイケイケプラン。(いま命名)

初めは森林の中の階段を歩く。スタスタ。スタスタ。
暗がりだけど、植物もあるね。
昼間なら昆虫いるかもね。うふ、う、。は、


しんどくなるの早すぎ


は、はあ、しんどいぞ、おい。

まだ高尾山くらいの雰囲気なのに。みんな、なんでそんなスタスタ。。
マツドとハジメちゃんはムキムキやからわかるよ、
ナオコとシホちゃんは…わ、若さか。(25歳の2人)
(言うても4歳差なので、単純に体力ない奴のほざきである)

ザックめちゃくちゃ重いなあ。肩痛い。歩けば歩くほど痛い。
でも、会社に行くまでの駅の階段でも疲れるしなあ。サラリーマン。

でもさ、階段20〜30mですよね。
富士山、3000m超えだけど。綾子、正気?

頭の中ではグルグルとしょうもない思いが巡り無駄にカロリー消費。
はあはあ言いつつ、前方とは大きく差が開いている。
ご、ごめん、遅くて、。
綾ちゃん、大丈夫?無理しないように。
なんて会話がよく聞かれるようになる。

わたしはストック2本持ち、
これは絶対に女の子は2本あった方がいいと言われて揃えたもの。
わかなちゃんにも借りた。

ちなみに、マツド2本持ち、ハジメちゃんとナオコ1本持ち、
シホちゃんは、まさかの、なし。
わ、若さか…(2回目)

わたしのストックは新品同様なので、先がコロリーンと2〜3回抜けた。
「ご、ごめん。。すみません」
仲良し友達にすみませんって言うしかない申し訳なさ。
その度に後ろのナオコかハジメちゃんに拾ってもらう始末。

2人も登山途中にしゃがむのはさすがに疲れる。あああ。
わたしがあまりにも遅いのでわたしの装備を見直すことにしたマツド隊長。英断だわ。

まず、ストックの使い方がぎこちないとか言われる。
右手のストックを出すときには左足を踏み出すように、
ちょっとしたリズムが必要みたい。大袈裟やな。。
でも必死。

その後、わたしが歩く際には呪いのメロディーみたく
右、左、が頭を占拠することになる。

さらに、ザックが身体に合っていない。
60リットルを借りてきてしまい、チビのわたしには大き過ぎた。
さらにさらに、そんなザックの締めるべきベルトを締めていないことが
ここにきて判明。

肩で背負う部分の他に、胸元のベルト、腰骨のベルト。
(名称がわからんからベルトって言ってるけど
シートベルトみたいなプラスチックのカチャッとはめるヤツ)

「この人、この重さを全部肩で支えてるよ…」隊長、呆れている。

ベルトを締めてもらったら随分とラクになった。

でも、六合目に着いたところでハジメちゃんが
わたしの荷物を肩代わりしてくれると言うではないか!!涙。

六合目ですでに雨はシャーシャーと降っている。さ、寒い。
水を一口飲み、チョコを齧るのがやっと。
わたしの1リットル水と食料を持ってくれるハジメちゃん。
天才か…。

ナオコとシホちゃんはまだ余裕のようだ。笑っているよ。
わ、若いね。(3回め)

まだ序の口なのに死にそうなわたしを気遣って塩レモン飴をくれる。
ポケット用にいっぱいくれる。おまいら、天使か…。

岩だの砂だの灰だの、日常生活アスファルト人間には
バラエティに富みすぎだよ。そんなサービスいらんぜ、富士。

雨も本格的に、風も吹きすさぶ。
ゴアテックスも信用できるのか不安な寒さ。
服の隙間から雨が染み込み、体温が下がっている。

立ち止まるとすぐさま歯がカタカタ震えるようになっていた。
七合目を前にして、わたしは富士山を嫌いになりかけていた。
いや、嫌いだ。
「こんちくしょう…」

つづく。


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