ツッコまないという選択肢を考える

大勢で飲むのよりサシ飲みが好き。3人も楽しい。4人もあり。しかし5人以上となるとかなり怪しい。大勢で飲んでいるとあまり得意ではないチームスポーツに参加しているときのように所在がない。自分が何をすべきかもわからない。そもそもルールがよくわからない。高校生のときに体育の授業でオフサイドかどうか判定する係をやらされてときは本当に神経がすり減った。オフサイドがどういうものなのかぼんやりとしたままそれに取り組まねばならなかったからである。

サシ飲みが好きなのは相手があまりツッコミを入れてこないからなのかもしれない、といったことをこのところ考えている。もちろん二人きりで話しているときであっても、お互いにボケたりツッコんだりすることはある。しかしそれはあくまでお互いを笑わせるためのものだ。他方、人が3人以上集まると第三者に向けたパフォーマンスとしてツッコミが入るようになる。これがあまりおもしろくない。どうでもいいような世間話をしているときにツッコミを入れて話の骨を折らないでほしい。

お笑いという文化の持つ影響力は計り知れない。単なる娯楽を越えて私たちのコミュニケーションおよび人間関係の在り方を規定しているといって良い。それはさすがに言い過ぎだろうか。自分の周囲にお笑いが好きで芸人さんたちにミメーシスされる人がたまたま多いだけなのかもしれない。私自身、音楽が好きすぎるあまり、あたかもいっちょ前のミュージシャンのように振る舞ってしまいがちである。それゆえにそのような心理はそれなりに理解できる。さらには、お前さんだってまるで一端の物書きであるかのような筆致で文章を書いていて遠慮の欠片もないじゃないかとツッコまれたら、返す言葉もなくただ俯いてぶるぶる震えるほかない。

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