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年間ベストの鬼・曲作りの鬼

平日の起床時間の12時頃に目が覚めて、二度寝するつもりで横になりながらドラマを観て、起きると15時半だった。久しぶりに予定もなければ原稿の締め切りもない休日。なんとなく陰惨な気分に襲われる。隙を与えると膿のような感情が胃袋の底のほうからぷじゅぷじゅと湧いてくるので、体を起こして新しいmac miniで曲作りに取り組む。

月の初めにあった4日連続の地方公演とその翌週の延長戦により満身創痍となった身を持ち直しているうちに、11月が一瞬で過ぎ去っていった。なるべく夜ふかししないように心がけて生活していたら、疲れは多少軽減されたように思う。

人間が人間から人間らしさを奪おうと企てたときに何をするか。寝かせない・食べさせない・拘束。この3つがオーソドックスなやり方だといって差し支えないだろう。日々の暮らしにあって、失われた生の実感を回復させるためには、これらと真逆のアプローチを取れば良い。つまり、睡眠・食事・運動の3つを充実させるのである。

なんと常識的な! しかし、疲労の蓄積で頭が冴えていなときこそ、常識に従って行動するのが最善策だ。しっかり寝て、腹八分目にして、なるべく歩くようにする。これを心がけて生活していたら、どろどろした倦怠感がさらさらした倦怠感へと変化した。多少軽減されたと言って差し支えないだろう。

今年も師走が迫ってきている。「◯◯・オブ・ザ・イヤー」の季節だ。某音楽雑誌から久しぶりに年間ベスト企画への参加をお声がけいただいた。早速腕まくりをして選ぶ。依頼されれば喜んで選ぶが、依頼がなければすすんで選ぶ気になれないのが年間ベスト・アルバムというものだ。反対に、誘われないと寂しいが誘われると億劫なのが忘年会である。

自主的に年間ベストアルバムを選ぶ気になれないのは、記憶を呼び戻したり、決断したりするのに甚大なエネルギーを消費するからだ。さらにいえば、一度手をつけたが最後、一生迷い続ける羽目になりそうな予感もある。締切という強制力が働けれなければ、断念が効かずにいつまでもリストをこねくりまわし続けるに違いない。

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