【ランニング日記2/22(月)〜2/26(金)】どんなに暗くて厚い雲も、その裏側は銀色に輝いている
2/22(月)
少しゆっくり寝て5時半に目を覚ますと、外はまだ暗い。夜明けの時間はまだここまでは早くなっていないみたいだ。それでもウェアに着替えてふと外を見ると、空はオレンジになり始めている。
外に出た瞬間の凍りつくような寒さも、少しやわらいできた。考えなきゃいけないことは山のようにあるけれど、家族とずっといるとあれこれ考える時間はどうしても少なくなるので、走りながら色々と考える。スマホを持たず、誰とも話さず、とにかく一人きりで走る「だけ」のこの時間は、やっぱり自分にとって貴重なのだろう、と思う。(毎日毎日ほんとうに走りたくないけれど。)そんな時間、本当に走る時と、サウナに行く時くらいだから。
心なしかまた、釣りをする人も増えてきたみたいだ。外に出るのが少し遅くなったので、10キロの日だけれども9キロだけ走る。
むすめはマンションの入り口でお友達と待ち合わせして学校に行くのだけれど、月曜日は「いつも会う人たち」がやってくる時間が遅いそうだ。「月よう日は、いっぱいねてたいのかなあ」と、むすめが言う。うん、そうだと思う、母さんはその気持ちがとてもわかる。(まじめなむすめは月曜日もいつも同じ時間に出る。)
月曜日、眠いし走りたくないし疲れてるしで(なんで月曜日から疲れているんだろう大人って)、ゆっくり走ろうと思うものの、そうは言ってもやっぱりこの季節は走りやすいみたいで、今日もまあまあいいペースで走り切った。ラップタイムががくんと落ちるところもなかった。夏が来たらまた泣きたいくらいタイムは遅くなるので、今のうちに速く走っておこう。
ところで今、実はもう夕方の16時半で、今日はどうも仕事が進まなかった。結局、ねこと一時間お昼寝までした。ねこの日だから仕方ない。ねこになっちゃったんだと思う。
2/23(火)
休日の明日は気が向いたら走ろう、と、昨日思っていたけれど、朝起きたらまっっっっっったく気が向いていなかったので、走りませんでした。おやすみだいじ。
2/24(水)
久々に5時前に目が覚める。昨日、一週間ぶりの銭湯&サウナでしっかりととのったから眠りが深かったのかもしれない。もしくは春が近づいてきて身体がちょっと浮かれているのかもしれない。
が、外に出ると今日はまたとんでもなく寒い。春は何処へ。「さぶっ!さぶっ!さっぶ!!」と、声に出して足を進める。
それでも走り始めた時に薄暗かった景色は、あっという間に明るくなっていく。夜明けの時間はしっかり早くなっている。どれだけ寒くても、春はちゃんと近づいているのだ。
春が近づく、つまり、なんと言っても、野球は開幕を迎える。今年もまた、コツコツ書いていこう、と思う。走るように、コツコツと。
大きな声で何かを叫ぶことは、たぶんとても苦手だけれど、小さな声でも静かにそっと続けていくことは、できるのかもしれない。それがどれほどの良き力を持つのかはわからないけれど、やらないよりは良いのだと、信じて。
遠くで赤く染まる空がとてもきれいに見える。寒さで手足の指先が冷え切っていて、体はあまり思うようには動かないけれど、とにかくそれでも走り続けていたら、夜は明け、春は近づいてきた。しんどいけどしんどいけどしんどいけど、それしかできないのだから、走っていよう、と思う。
今日も悪くないタイムで走り切る。「冬〜春タイム」(今日勝手に命名した)だ。でももう少し、あたたかくなってくれてもいいですよと、空に向かってつぶやく。空が気温を定めるのかどうなのか、その辺りはよくわからないけれど。
2/25(木)
寒い。昨日、どこからともなく「明日の朝は冷えるらしい」という噂が聞こえてきた気がしたのだけれど、聞こえないふりをした。そんなものをまともに聞いていたら、朝5時台にランニングに出る気力なんて一気になくなってしまう。いやもともと、そんな気力を私は持ち合わせていない。元々ないものをさらにマイナスにするなんてことはできない。私は基本的にとてもずぼらな人間なのだ。
5時に目が覚めて、ノロノロと準備をし、なんとか6時前に外に出る。寒いなんて知らないよ知らないよ知らないよと身体に言い聞かせる。空は少し、明るくなり始めている。
「真冬の寒さ」とおそらく同じくらいの気温だけれど、でもそれでも、空が明るい分、少しだけ気持ちは軽い。やっぱり暗いところよりは明るいところの方が、気分が晴れるものだ。
今週は、というか今月は、祝日も多いわそもそも日数自体が少ないわで、走行距離が少し足りていないので、今日は5キロの日だけれども7キロ…いやもう少し…と、8キロまで距離を伸ばす。
『1Q84』に引き続き、『騎士団長殺し』もkindle版が出ていたので、ダウンロードして再読している。(もちろん、紙の本も手元にあるのだけれど。)
私はこの物語の中で、雨田政彦という脇役が、とても好きだ。「騎士団長殺し」の絵を描いた天才画家、雨田具彦の息子。生い立ちや立場からして、例えば山月記の李徴のような、「臆病な自尊心」を持ってもおかしくないのに、政彦はいたって素直で感じの良い、良い意味での育ちの良さを持ち合わせている。この本の中では一番、「普通」の人かもしれない。そういうところがすごくホッとさせる。(でも「普通」とはなにか、というのも政彦という存在は問いかけている気がする)
さてこの政彦が、主人公の「私」(そういえば「私」の名前は出てこない)にこう言うシーンがある。
「どんなものごとにも明るい側面がある。どんなに暗くて厚い雲も、その裏側は銀色に輝いている」
これは村上春樹がラジオでも話していた、古い歌の歌詞にある言葉だったと思う。物語の中でおそらく、「陽」を担う政彦が口にすると、そうだよなあ、と、自然に納得させられる。
これは結局、どんな時だって、大事なことなのだ。暗くて寒い中走ることはこんなにしんどいけれど、朝焼けで赤く染まった空は、ちょっと他にはないくらいに美しい色に輝く。ヤクルトがボロ負けした日だって、村上くんやてっぱちの夢のような1本があったりする。母が最期を過ごした病室で、母のベッドの脇にある小さなスチールに座り、毎週少しずつ読み進めた『象の消滅』は、いつになく自分の魂のようなものを癒してくれた。そんな読書体験は、後にも先にも、ほとんどない。
どんな物事にも、明るい側面がある。
それはきっと、真実なのだ。
苦労は買ってでもしろ、とは私は全く思わないけれど(そんなものしなくて済むならしない方がいい)、でも本当にしんどい時、目の前には絶望しかないように思えるとき、それでも雲の裏側は銀色に輝いていることを、大切な人たちには忘れないでいてほしい、と、そう思う。
さて今日もほどよく息を切らしながら走り切った。午後からは撮影。午前中にある程度仕事を進めておこう。今週もあと1日。ゆるりと頑張ります。
2/26(金)
サラリーマンの時は当たり前のように(当たり前のようにだけれどもきっとヒーヒー言いながら)やっていた、「仕事から帰ってから料理をする」が、もうとことんできなくなっている。家を出るときは、だいたいあれを作ろうとか、これ使い切ってしまおうとか、色々考えているわけですが、帰り道あたりからもうどっと疲れて、キッチンに立つ気力はなくなっている。
それでも幸い私はもう会社へは行かない身なので、午後から撮影が入っていた昨日は、お昼のうちに自分のごはんと一緒に夜ごはんをおおよそ作ってしまうことにした。帰ったらそれを温めるだけ。もし遅くなりそうなら、子どもたちに自分で温めて食べてもらうつもりでいた。
ところが、「温めるだけ。」だと言うのに、それですら、昨日の私はとことん疲れたらしい。「温めるだけ」だけれどもそこには、ごはんをおひつに移し変えたり、お鍋からスープをよそったり、調味料を出したり、もちろん食器を片付けたり洗ったり、という作業が山のように発生する。ほんと、ごはんを作ると言うのは、とんでもなくたくさんの手間がかかるのだ。私は比較的料理をするのは好きだと思うけれど、それでも疲れて帰った日に最初から料理をしよう、という気にはもう全くならない。
そんなわけで昨日もしっかり疲れて、泥のように寝た。おかげで今朝はまた重い体を無理やり起こした。ごはんを作る人たち、いつも本当におつかれ様です。
またもや寒いのでストーブをつける。コップ一杯のお水を飲む。思い出したように甘えてくるねこを撫でる。外は少しだけ、明るくなり始める。
子どもたちに声をかけ、走り出す。今日はところどころスピードが落ちる。まだ輪郭がぼんやりとしている企画について、あれこれ考える。だけど考えたことは走り終えた頃にすっかりと、忘れてしまう。でもまあ、メモができない状態で考えたあれこれというのは、体のどこかしらに染み付いて、またどこかでふと顔を見せるのではないか、という気はする。
少しだけ、ランナーの数が増えてきたような気がする。それとも、元々これくらいいたけれど、周りが暗くて見えていなかっただけなのかもしれない。明るくなってきて、いろんなことがよく見えるようになっただけなのかもしれない。
走りながら、みやさまのこの言葉を考える。
それができないと思うなら、練習するしかない。自分が苦手なことや、嫌いなことを知るのはすごく大切だけれど、それはそこから「逃げる」ためではなく、それとうまく付き合っていくための第一歩なのだよな、と思う。(もちろんその結果として「逃げる」という選択肢はあって良いけれど、一度は向き合わなきゃいけない、きっと。)
そんなわけで、私はかねてから自分があまりに苦手だと思い、避け続けて逃げ続けてきた「収納」と向き合うべく、無印で10個くらい収納ボックスを注文した。まずはキッチンの収納と向き合います。がんばる。
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