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その「気持ち」は少しずつ何かを変えていく【6/23ロッテ戦○】

ロッテの地響きのような応援が、神宮に響き渡る。そうかバットを使わない拍手だけでの応援なんだな、と気づく。そこもまた新鮮に聴こえる一つの理由なのだろう。

珍しく三塁側内野席で観戦していたら、三塁上のエイオキとレアードが、にこにこずっと何かを話していた。身振り手振りを交えて、とても楽しそうに。その新鮮な組み合わせに、思わずこちらも笑ってしまう。

こうしていつもと違う風景を楽しめる交流戦も、もうすぐ終わりだ。パ・リーグはやっぱり強くて、とにかく打たれまくっていた。でも年に一度だけ会うその強敵たちとの試合は、なぜだろう、それでもやっぱりとても楽しかった。

とはいえ、毎日毎日、打たれて、打たれて、打たれまくっていた。ピンチはもれなく失点につながっていた。2アウト1,3塁なら3ランを打たれる、というのが決まりのようになっていた。こちらはノーアウト満塁からでも点が取れないのに、不公平だ。ひどい話である。

ピンチを迎えるたびにこりゃダメだ、と私はビールを飲み続け、チャンスを迎えるたびにこりゃダメだ、とビールを飲んだ。全くもってひどい話である。もちろんひどいのは私だ。

でも今日、けいじくんはいつもと同じようにピンチを背負いまくりながらも、でもそのピンチを幾度となく乗り越えた。その姿に私は少なからず心を動かされたし、もちろん野手陣やブルペン陣も励まされただろうと思う。そのプレーで、姿で、誰かの心を動かしていくというのは、野球というチームプレーにおいてやっぱりすごく大切だ。

だから今日のおっくんの心のこもったプレーの数々ももちろん、チームを突き動かすものがあっただろうと思う。少し嫌な流れが頭をよぎるたびに見せてくれたその守備やバントやスクイズは、チームを、そしてファンを励まし続けてくれた。

「気持ちで打ちました」「気持ちで投げました」という言葉を聞くと、しかし気持ちで勝てるほど野球は甘くはないよな、頭で考えなきゃいけないよな、と、めんどくさいことを思う私だけれども、今日のおっくんのようなプレーを見ると、それでもやっぱりその「気持ち」が見えるというのは大切だよな、とも思う。

つまり、気持ちだけでは絶対に勝てないし強くはなれないけれど、でもそもそも強くなりたい、うまくなりたい、勝ちたいという気持ちがないと、成長なんてしないのだ。練習と同じだ。練習してうまくなるとは限らないけれども、でも練習しなければうまくなることは絶対にない。

誰かの気持ちは、そのプレーは、やっぱり誰かの心を動かし、チームを励まし、何かを変えていく。

そしてそれはもちろん、おっくんのように全身で見せてくれるものであってもいいし、もっと静かに、心の中で燃やすようなものであってもいいと思う。

いろんなファンがいていいように、いろんな選手がいていい。気持ちが見えやすい選手がいていいし、ポーカーフェイスの選手がいてもいい。口数が少なかったり、陽気だったり、関西弁だったり、英語だったり、上田だったり、いろんな選手がいて、色とりどりのチームができる。

そしてそういう多様な人たちが一つの場所に集まり、同じ一つだけのゴールに向かって戦うところを、こうして見られる奇跡みたいなものを感じながら、今日も楽しいチームを応援していく。勝つ日も、負ける日も、変わらずに。



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虫明 麻衣(Mai Mushiake)
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