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【7/2広島戦◯】神宮というのは、良いものだ。

バックネット裏2階席の最上段というのが私は好きで、よく座る。ここはバックネット裏とはいえ高いところから見下ろすことになるので、球場全体はよく見えるけれども、選手一人ひとりの表情までが見えるわけではない。表情であれば、まちがいなく、テレビの画面越しの方がよくわかる。でもそれでも、静かにじっと見ていると、その小さな動きから、選手たちの心の動きみたいなものがじわじわと伝わってくる、そんな気がするのだ。

今日てっぱちは、ここまで何があってもとにかくなにがなんでも4番を打ちつづけたむねちゃんに代わって、4番に座った。オスナでもサンタナでもなく、てっぱちなんだね、と、神宮へ向かう道でむすめに言いながら、私はなんとなく泣きそうになる。4番の重みも、むねちゃんが背負ってきたものも、いろんなことをわかっているてっぱちだから、その代わりをつとめられるのだろう。

3回表、てっぱちは大瀬良の打球をファンブルし、出塁を許した。大瀬良は盗塁まで成功させ、真っ赤に染まる球場は、さらに盛り上がる。だけどその後2アウト1,3塁のピンチで、てっぱちは西川のゴロを今度はていねいにさばき、自ら招いたピンチを最後はきちんと切り抜けた。

その、西川のゴロをさばくてっぱちの動き一つ一つが、いつもよりさらにていねいに見えたその仕草が、その日の覚悟みたいなものを表しているみたいに、私には見えた。それが、バックネット裏2階の最上段にいる私にまで、迫ってくるように感じた。

「助けてください」と、てっぱちがみんなに頭を下げた去年のことを思い出す。「いつか僕も哲さんに助けてと言う日が来るから」と言ったむねちゃんのことをを思い出す。今日は、哲さんがむねちゃんを助けて4番に座り、2本のヒットを打った。そしていつも以上にていねいに、しっかりと、セカンドを守った。他の誰にも、譲らないそのポジションを。

4番キャプテン山田哲人。かっこよくて泣きそうになる。

ほしくんが招いた満塁のピンチで、先輩石山はマウンドに上った。クローザーという座を石山は譲った。そのポジションにはもちろんプライドがあっただろうから、それを譲るときの悔しさやもどかしさは想像するにあまりある。だけど石山が何よりすごいのは、そこからもずっと、一軍で投げ続けていることだ。投げる場所が変わっても、役割が変化しても、それでもそこで、とにかく投げ続ける。そして今日は、満塁のピンチをしっかりと切り抜けてくれた。

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