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若手たちの躍動とともに、ベテランもきっと成長していく【6/22ロッテ戦●】

びっきーが、ゆっくりとバッターボックスにむかう。何か背負って歩くその姿を見ていたら、涙が溢れてきた。

・・・いやバッターボックスに向かうびっきーを見るだけで涙が出てくるのはちょっともうどうかしている。まだ、4回裏の場面である。4回裏で、すでに0-4だったけれども。

そしてびっきーはその打席で、なんと1死満塁からタイムリーを放った。満塁から!タイムリーを!打てるなんて!

びっきーが背負うであろう色々を思いながらその打席を見ていた私は、びっきーのその1本に感動してしまい思わず、思わず「今日は行けるかも…!」と、思ってしまった。そうなのだ、この「行けるかも」と期待を抱かせるところが彼らの手口なのである。淡い期待はまたも散り、ヤクルトは、今日も負けた。

でもそんな中でも、若手たちの活躍がとてもとてもまぶしい。4番の(4番の!)村上くんが2アウトから2ベースを放つ。そして5番の(5番の!)中山くんがタイムリーを打つ。ここぞの場面で打てるその1本が、今のヤクルトを、なかなか勝てないけれどもそれでもいろんな意味で、支えて、救ってくれているよなと思う。

だけど二人とも、自分のエラーやミスでの失点もあって、だからこそ「今の自分にできること」にしっかり向き合っていられるのかもしれない。そしてもちろん、若さゆえの希望や、大胆さや、胆力を持ち合わせているから、シンプルな気持ちでそこに立つことができるのかもしれない。

ベテランたちは、きっともっと、その打席一つ一つに思うところがあるはずだ。満塁のバッターボックスに向かうびっきーには、様々な思いが乗っかっているように見えた。重すぎるいろんなものを抱えて、ゆっくりゆっくり、歩いているように見えた。それはベテランの苦悩で、でももしかすると、同時に強みなのかもしれない。

若手たちとは違うプレッシャーを抱えて、ベテランたちはそこに立つ。そして同時に、いつか自分がそこを奪われるかもしれない若手たちに、あらゆることを教えてゆく。でもその積み重ねの中で、自分自身が気づくことがあるはずだ。そこにはもしかすると、ベテランになってもなお、成長があるのかもしれない。野球選手はそうしていつまでも、ユニフォームを脱ぐその日まで、ずっと成長していくのかもしれない。

びっきーも、カツオさんも、こんちゃんも、エイオキも、きっとまだまだ成長途中なのだ。そこにはもちろん、痛みだって伴う。成長に痛みがつきものなのは、若手もベテランも同じだ。だけど若手たちの成長を支えながら、時にその痛みのケアもしながら、そして自分たちも傷つきながら、それでも少しずつ、毎日、毎日成長していく。

それをできるだけ長く、ここで見ていたいなと思う。そして願わくばこんちゃんのお立ち台や、なんならカツオさんのノーノーや、エイオキ兄さんのサイクル達成や、そしてぐっちのサヨナラで優勝が決まる試合なんかを、見ていたい、と思う。その日までたとえ観戦借金が軽く10を越えようとも観戦勝率が3割を切ろうとも応援していようと思います。

・・・泣いてないよ、うん。


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虫明 麻衣(Mai Mushiake)
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