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【4/22・23巨人戦●●】いつか、バットにボールは当たるのだ

土曜日も登校の息子と、学校の最寄駅で待ち合わせをし、ランチをした。これまでそんなになじみのない駅だったけれど、息子が通い始めてからちょくちょく行くようになってみると、周りに個性的でおいしいお店がたくさんあることに気づいた。いろいろ理由をつけて近くにランチしにいくことにしよう。と、もくろんでいる。そう、息子が付きってくれる間は・・・。

ランチのあと、息子は塾があるので現地解散し、私は近所で大きめのスーパーへ行ってへんてこなスパイスを仕入れ(つい、へんてこなスパイスを買ってしまう習性がある)、レトロな純喫茶に入って観戦エッセイを仕上げたあと、村上春樹の新刊を一気に読み進める。

神宮に着くと、塾から直接神宮へ向かった、学ラン姿の息子が席に座って待っていた。「ライアンさくさく終わったよ!」と、うれしそうに言っている。

むすめとは、乗り換え駅で待ち合わせをし、そこから一緒に神宮へ来た。なんだかもうこうして、現地や駅で待ち合わせ、ということができるようになったのだ。

数年前、神宮で出会ったヤクルトファンの方が、高校生の息子さんと神宮で待ち合わせして、「高校生になるとこういうことができるようになるのよ」と、笑っていらした。私はなんだかそれがとっても印象的で、この小学生と保育園児二人を連れてせっせと神宮に通う日も、いつかこんなふうになっていくのか、と、思っていた。そして「こんなふうになる」日は、思いの外あっというまにやってきた。子育てをしている時間というのは、もう本当に、あっというまに過ぎていく。

「今度はあそこに座りたいなー!外野の、応援席の一番前!!」と、息子が言う。「声出し解禁されたら、やっぱ歌いたくなるね!!帰ったらYouTubeで応援歌もっかいおさらいしよっと」と、言っている。

一方むすめは、わざわざ持ってきたコンパクトサイズのスケッチブック(つばくろうとおそろい)を取り出し、満員の神宮きれいだね!!と言いながら、色鉛筆で絵を書いていた。ブルペンのほしくんを見つけて、うれしそうに描き足しながら。


むねちゃんがチャンスで三振に倒れるたび、神宮には大きなため息が覆う。ため息というのは、音となって聞こえるのだな、と、そんなことを私は思う。だけどむねちゃんが打席に立つたびに、ため息よりも大きな、拍手と完成が上がる。どれだけ打てなくても、次こそは、次こそは、と、みんなが思っている。その期待がむねちゃんの背中に集まっているところが、目に見えるような気さえする。それに押しつぶされないように、ただひたすら、バットを大きく振るむねちゃんが、そこにいる。

あと少し、あと少し。と、そう、私は思う。その重圧を、見えないその重圧をはねのけるように、バットが小さなボールをしっかり捉え、そのままスタンドに届かせるような、そんな1本を打ってくれるだろう、と。

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