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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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#阪神戦

【4/24阪神戦●】「かさ、たのしいね!」と、阪神ファンの小さな男の子が言う

試合は、11-3で負けていた。ぼろ負けである。 ぼろ負けの、雨の神宮に、オスナのご機嫌な登場曲が響く。むすめは「なんか、この歌、ディズニーランドみたいだね!!」とにこにこ言う。私は思わず、笑ってしまう。 そうだそうだ、ここはディズニーランドなみに楽しい神宮球場なのだ。10点取られようと11点取られようと、野球は楽しいものだ。(たぶん。)私は最後のウーロンハイをぐっと飲み干し、「オスナーホームラン打っていいよー」とつぶやく。 オスナは、ライトフライに倒れた。「…まあ、こう

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【4/23阪神戦◯】21年間勝ち続けるカツオさんが教えてくれる、変わらずいるために、変える勇気と努力のこと

むすめと二人で原宿へ出かけた。 「ママ、500万年ぶりに来たと思う。」と言ったけれど、実際はたぶん、20年ぶりである。つまり上京したての右も左もわからなかった時にやってきた以来、ということです。 あの時私は、「東京といえば原宿やろ!!」みたいな感じでやってきて、竹下通りの人の多さに「人当たり」を起こし、翌日発熱した。(まじで。) いやそんなことくらいでと今は思うけれど、あの頃私は今の5倍くらい、不健康だったと思う。初めての一人暮らし、初めての自炊。規則正しい生活なんて全

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【4/22阪神戦●】森岡コーチとてっぱちの、全力疾走

いつも思うのだけれど。 私は、森岡コーチがコーチャーズボックスまで、ベンチから全力疾走する姿を見るのが好きだ。 それが、6点差で迎えた9回の裏でも。 森岡コーチが三塁のコーチャーズボックスに入ったのと同時に、てっぱちは打席に立った。 私の好きな曲とともに出てきたてっぱちは、初球を打って全力で一塁に向かった。それはショートゴロとなり、あっという間にアウトになった。 私の好きな曲、なんて言ったけど、この曲を好きになったのは、てっぱちが登場曲にしていたからだ。それで知った

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【3/27阪神戦◯】 6回裏、なっしーは流れを引き渡さなかった。

カイマクサンレンショウ、なんて初めてのことだから戸惑ってしまう。もちろん、勝って兜の緒を締めよ、である。ゆだんたいてきおでんたいやき、である。どちらもかの有名なつば・くろう氏の言葉だっただろうか。 息子は塾へ、むすめはもうすぐ近所で行われる「大縄大会」の練習に出かけていった。おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんは山へ芝刈りに、くらい聞き慣れた話だ。ついでに夫は、コーチをしているサッカーに出かけた。私はようやく一人になった部屋で、ソファに座ってテレビをつける。…いや、これ、なん

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【3/26阪神戦◯】ナイターからの、デーゲーム

「あーーーーー昨日楽しかった」と、言いながら息子がベッドから起き上がる。この人は、えらい小さい頃から、寝起きだけはほんとうにめちゃくちゃ良い。ずっと起きていたのかと思うほど、当たり前みたいに急に話し出す。「むにゃむにゃおはよう…」みたいなことが一切、ない。 「起きたんかいな、あーびっくりした」と、言いながら私はホテルの部屋のカーテンを開ける。小さな部屋の窓はすりガラスになっていて、カーテンをあけても外の景色はそんなに見えない。それでも朝の光が差し込むとなんだかうれしくなる。

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【3/25阪神戦◯】満員の球場、ファンとの交流、息子の成長

「京セラ、オールスターで来たとき以来じゃない!?」と、前を歩いていた息子がこちらを振り返り、にこにこと言う。「あーーーーーーほんと楽しみ!!!!!」と、何度も何度も言う。 あっちいったりこっちいったりの日程で、子どもたちは疲れているはずなのに、スーツケースをころころ転がしながら、しっかり私についてきてくれる。いや、地図を確認して「ママすぐ道間違うから!」とか言いながら、私の前を歩いている。ほんとうに、ほんとうに大きくなったな、と、改めて思う。 先月亡くなったおじいちゃんの

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【10/20阪神戦△】「勝てなかった」ことより「負けなかった」ことが自信になるように

たいへん個人的なことですが、ここのところ大変、慌ただしい。というのも、夫がまたもや(一年に360日くらいはある)多忙期に入り、ろくに家におらず、まあいつものことではあるけれども日々のごはんも掃除も子どももねこも植物も塾もなんやかんや一人で回しながら仕事しているとさすがに「…むりだわ!!」という日がやってくる。 で、こんなときはあれですよ、と、一休のサイトからホテルのスパを予約して行ってきた。プールで1キロ泳ぎ、プールサイドで本を読み(ちょっと仕事をし)、マッサージを受けて、

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【10/19阪神戦●】奥川くんの、成長痛

「ここで二連勝だと甲子園で優勝が決まっちゃうんだよね…!」なんてことを、話していた。 いやいやいやいやいや。なにをそんな、余裕ぶっこいてるんだ、と、その時の自分に言いたい。ゆだんたいてきおでんたいやき。いついかなるときも、浮かれては、いけない。 「なんかいつものヤクルトを思い出したよ…」と、取られまくる点数を見ながら私はつい、口にする。 いや、思えば、後半戦の調子があまりにも良いものだから、いつもどこかで「魔法が解けたらどうしよう」という不安を抱えていたような、気がする

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【10/10阪神戦◯】そして三連戦の最後に田口は勝利投手になる。

この阪神三連戦、一戦目と二戦目で、2日連続田口のことを書いていたのは特に狙いがあったわけでは、特に、ない。 だけどこの二戦の田口のそれぞれの踏ん張りと、闘志と、そのあとの真摯な対応は、こちらの心をぐっと掴むものがあった。そして終わってみればこの三連戦は、なんだか田口に支えられてた、そんな気がする。 「優勝争い」というのはこういうものか、という空気が、ずっと神宮を囲んでいた。シーズン終盤、いつもなら「最下位」が決定している時期なのだ。この緊張感は、私にとっては初めて感じるも

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【10/9阪神戦●】田口が今日とった、一つのアウト

ブルペンから見た田口は少しだけ、緊張しているようにも見えた。 いや、そんなことはないかもしれない。緊張しているのは田口じゃなくて、それを外野席から見ている私の方だったのかもしれない。

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【10/8阪神戦◯】吠えた田口と、球場を覆っていたあの空気

「すごいなあ、ヤクルトファンはほんまに声ださんと応援するんやな。えらいな。」と、内野のうしろに座った阪神ファンの若者二人が話していた。

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【9/15阪神戦◯】シミノボの三球三振

もし自分が野球選手だっとして、できることならばこの場面には立ちたくない。というのがいくつかある。(いや、いくつもある。)エースが1-0で踏ん張って作った試合の8回表、2アウト満塁の場面で先発が降板したあとのマウンド、というのもその一つだ。

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【9/14阪神戦△】引き分けは、うまくいくことと、うまくいかなかったことが同じだけ重なった結果なのだろう

ホームランというのは、1本でいっぱい点が入るからすごい。と、小学生のようなことを今、かみしめている。ホームランってすごい。味方のホームランはあんなにもテンションが上がるけれど、9回表に打たれる同点3ランは、こんなにも心をえぐられる。なんで私は野球を応援するはめになったのだっけ…と、もう何度目だという天を、私は仰ぐ。天も仰いだ私の顔に飽きてるんじゃないかと思う。 でもそれは、「逆転」の3ランにはならなかったんだよな、と、時間が経って今、改めて思っている。それは、あくまでも「同

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【9/9阪神戦◯】「待つ」ことが大切な局面も、きっとあるのだな、と

目が覚めたら、ヤクルトファンの先輩から「よこはまーーーーーー」と、LINEが来ていた。あれ今日は横浜戦だっけ…と、寝ぼけた頭で考えていると、テレビではヤクルトたちが阪神と戦っていた。 時計を見ると21時30分。そうだった、阪神との試合でうそみたいに入る得点を見ながら、いつのまにかうとうとしていたのだ。 その間に巨人と戦っていた横浜は、最後に追いつかれ、そのあとに訪れたサヨナラのチャンスを生かせず、引き分けていた。 …と、状況を理解するのに少し時間がかかる。足元では、子ね

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