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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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#横浜戦

【4/17横浜戦◯】痛みの不安と戦いながら

朝のランニングで、足を負傷した。 家まであと3メートル、というところになにか大きなゴミが落ちていて、それに思いっきりつまずき、体勢を崩した。その衝撃で右足首に痛みが走り、その残り3メートルを足を引きずりながら歩いた。 痛みは次第にひいて、これならまあ大丈夫かなと午前中の撮影に出かけ、帰り道にちょっと離れた駅まで歩いていたところで気づいた。あれ、まだ痛い、足首。 ひきずるほどではないけれど、歩くのがちょっと億劫になる痛み。私はとにかく歩くことが好きなので、時間が許す限り移

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【4/16横浜戦●】 御茶ノ水のレコードとコーヒーとヤクルトと

このあほかというほどに仕事が立て込んでいる中、夫はにこにことロス出張に出かけていった。ロス…?よくわからない。わからないのでとりあえず、子どもたちとおいしいものを食べにいくことにした。 ポール・ボキューズ、お食事と雰囲気とお値段のバランスが絶妙でだいすきです。赤ちゃん連れ(うちはもう赤ちゃんいないけど)でも気兼ねなくいける上に、「特別感」がしっかりあって、お値段高すぎないって、実はなかなかない。ホテルもいいけどホテルはやっぱりちょっとここよりはお高い。もちろんそれも「特別感

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【4/15横浜戦◯】青木のヒットと大喜びのベンチと

頭を丸刈りにした青木は何度も何度も何度も粘り、12球目をとうとう、レフトに打ち返した。19打席打席ぶりのヒットに、ベンチは大盛りあがりだった。ホームランを打った選手を迎えるようなテンションで、代走の渡邉くんと交代して帰ってくる青木を迎えた。 帰国後、初ホームランを打った青木をサイレントトリートメントで迎えたベンチを思い出す。あの時は間違いなくそれが、チームにだってプラスをもたらした。それは、大きな1点となってチームに入った得点だったから。だけど今回は、少し違う。それは、その

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【4/2横浜戦◯】てっぱちがいつだって何かを打破しようとした、250本分のその思いを

サヨナラのいいところは、みんなが報われるところ。何度も何度もそう思う。そして、その瞬間のヤクルトたちを見るたびに、ああもうほんとうに大好きだ、と、そう思う。 サヨナラの一勝は、みんなでつかみとった一勝だ。先制の塩見もピンチを救った田口も、ピンチを招きながら乗り切ったうめちゃんも。打たれたけどそれ以上を許さなかった清水くんだって。みんなみんながヒーローだ。だから自信を持って、明日からも戦っていけますように。 ♢ 数字というのは環境によって重さを変える。楽しいことをしている

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【3/31巨人戦● 4/1横浜戦●】おでんと京都とヤクルトと

3/31巨人戦● 必死に働いて得た貯金を、あっというまに使い切る。 というのはまあ、何を隠そう私の得意技でもある。だからもちろん、開幕三連勝で必死に貯めた貯金を、直後に三連敗で使い切るヤクルトにとやかく言う資格は、一切、ない。 京都は四条にある、ほんとうにすばらしいおでんやさん「蛸長」へ行こうとしたら、お店の外で待つ人が数組いた。そりゃそうだ、おいしいもの、と、列に並び、おもむろにDAZNをつける。じゅりは、あっというまに一回表を終わらせていた。 あたたかくなったと思

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【10/26横浜戦◎】優勝するために、誰一人欠かせなかった。

「その瞬間」、私は何を思うのだろう、と、いつも思っていた。もし、いつかヤクルトが優勝したら、その時何を思い、そしてその日の空には何を見るのだろう、と。 「いつか」は、ほんとうにやってきた。2年連続で最下位に沈んだチームは、今日、多くの人たちの予想を覆し、(私の予想だって覆し、)優勝を決めた。空には、半月に向かって欠けていく月がとても、とても美しく浮かんでいた。 「その瞬間」、私はただ、泣いていた。それは38年間で味わう初めての感情だったのだと思う。「ママ泣きすぎ!」と、む

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【10/17横浜戦◯】ハマスタのウイング席から、球場の広さを目の当たりにする

初めて座る横浜スタジアムのウイング席からは、バッターがほんとうにほんとうに、小さく見えた。「たっか!!!いやてっぱち、ちっさ!!!!」と、息子と私は笑い合う。外野レフト席の上段に位置するこの席は、なんだか、まったりとした空気が流れていて、ゆっくりと野球を見ることができた。基本的に私は、そういう空気が好きだ。「でも結構いいね、この席」と、言いながら、コンビニで買ってきたホットコーヒーを飲む。 そう、ゆっくりした空気が良いとは言え、なんせ、寒い。あまりにも寒くて、「ビールが飲み

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【9/30横浜戦●】「そんな日もある」の「そんな日」が中継ぎには重くのしかかるけれど

朝からとてもとてもすてきな方の取材。子育て真っ只中の、実感のこもった言葉の数々に、一緒に聞いていて思わず私まで泣いてしまった。もう最近ほんと、取材でつい涙が出てくることがあってびっくりしてしまう。私はこれを「伝える」仕事をがんばっていこう、と改めて思う。 さてそんなわけで、取材帰りに渋谷のホテルのラウンジにこもり、がっつり仕事をしてから神宮へ向かう。ラウンジの窓から見えていた雨は、外に出る頃にはなんとか上がっていた。このままお天気が持つといいけれど、と、思いながら、神宮へ向

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【9/29横浜戦●】いつだって今はきっと、特別な時間なのだ

なんというかもう、そわそわし始めている私にちょうどいいといいますかなんといいますか、いざ、現実!!!というのを見せてくれるかのように、ライアンはしょっぱなからヒットを打たれた。やさしさだ。これはやさしさだ。と、私は言い聞かせる。いつまでもいつまでも、夢をみているわけにはいかない。いつまでもいつまでも、連勝しているわけにはいかない。そう、そんなわけにはいかないのだ。そりゃあ、そうだ。 夜ごはんを作っていたら、あっというまに、6点を取られていた。「ろくしってん!!」と、私は叫ぶ

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【9/28横浜戦◯】38歳の誕生日、青木のグラスラ

「お誕生日おめでとう!38歳さんぱち!てっぱち!」と、カープファンの友達からLINEが届いた。「もう今年はヤクルト応援に切り替えたから!」と、言っている。同じようなことを、別チームファンの友人数人にも言われた。そのたび私は「ありがとう(ありがとう?)、でもたぶん私が一番この状況についていけていない…」と、思っている。 そんなわけで38歳になった。青木パイセンの2つ下である。そんな誕生日の日に私が何をしていたかというと、朝から10キロを走り、軽く筋トレをし、ねこたちならびに観

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【9/23横浜戦◯】「挑戦者」のヤクルト

「まだまだ僕たちは挑戦者」と、田口が言った。 ああ、そうだ、それだ。と、私はなんだかすとん、と、腑に落ちた感じがした。 「連勝」にも「優勝争い」にも、慣れていない。私がヤクルトを好きになったのは2017年だった。その年ヤクルトは96敗をして、借金51でシーズンを終えた。「なんでまたこんな年に」と、もう40年以上ヤクルトファンをしている先輩は笑って言った。それを言うなら「なんでまたこんなチームを40年も」とも言えるわけだけれども、人にはそれぞれの事情と物語がある。 だから

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【9/22横浜戦◯】どんな時だって目の前の一試合と向き合っていくこと

私はあっちの試合を気にして、こっちの試合を気にして…と、やっているわけだけれども、選手たちはただただ、目の前の試合に集中しているのだ。 と、そんな当たり前のことに、ムーチョのヒロインを聞きながら改めて気づく。「阪神が破れました!」と言うインタビュアーに、「え!知らなかったです」と、素直に答えた。そして「ヤクルトが首位に立ちました」と聞き、「よしっ」と小さくつぶやいた。 その反応はなんだかとても新鮮で、いや、テレビで見ている私と同じような喜び方といえばそんな気もして、いいな

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【9/21横浜戦◯】チームの雰囲気と勢いが、自信につながっていくのを見ながら

気圧にがっつりとやられ、お昼のうちに作っておいた茹で鶏をお皿に盛り付ける気力すらわかず、近所のキッチンカーに夕飯を買いにいくことにした。 キッチンカーの前で息子と一緒になににしようか悩みつつ、スポナビをチェックすると、ヤクルトはノーアウト満塁のピンチ…じゃなくてチャンスを迎えていた。「あれ、なにがあった…!」と言いながら、その場でDAZNを開くと、ちょうど村上くんの打球がそのまま、スタンドに吸い込まれていく瞬間だった。 「ちょっと…むらかみさまが、先制グランドスラムをお打

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【9/11横浜戦◯】ぐっちが痛みと向き合いながら培ってきた強さのこと

★注★ こちらはぐっちの続報が入る前に瀕死の私が書いた文章になります。その前提でお読みいただけますと幸いです。 ※有料設定ですが最後まで無料で読めます! 前に座った3人組。キッチンミノルさん似のお兄さんが、「これでヤクルト優勝したら、3人で一緒にスキンヘッドにしましょうよ。」と、言っている。「いやお前はサラリーマンじゃないからいいけどさ!」と、別のお兄さんが言う。そして、3人で顔を見合わせて「えへへへへへへ」と、笑っている。 1回裏、早速ノーアウト1,2塁のチャンスで、て

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