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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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#ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

【4/22阪神戦●】森岡コーチとてっぱちの、全力疾走

いつも思うのだけれど。 私は、森岡コーチがコーチャーズボックスまで、ベンチから全力疾走する姿を見るのが好きだ。 それが、6点差で迎えた9回の裏でも。 森岡コーチが三塁のコーチャーズボックスに入ったのと同時に、てっぱちは打席に立った。 私の好きな曲とともに出てきたてっぱちは、初球を打って全力で一塁に向かった。それはショートゴロとなり、あっという間にアウトになった。 私の好きな曲、なんて言ったけど、この曲を好きになったのは、てっぱちが登場曲にしていたからだ。それで知った

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【4/19◯4/20●中日戦】打線は水物、と言うけれど

19日◯ その打球は、空でも飛んでいるかのように、なかなか下に降りてこなかった。あまりにも降りてこないものだから、高く飛んだフライになってそのまま誰かがキャッチするんじゃないかと思った。 でもそれはナゴヤドームのスタンドの中断に、ようやく落ちてきた。待ちに待った、待ちすぎた分が詰まったような、そんな、大きな大きな村上くんのホームランだった。 けいじくんが先発の日、高津さんは「今は打線がそんなにたくさん打つという状態ではないので、ロースコアの展開で粘り強く勝てれば」と、言

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【4/17横浜戦◯】痛みの不安と戦いながら

朝のランニングで、足を負傷した。 家まであと3メートル、というところになにか大きなゴミが落ちていて、それに思いっきりつまずき、体勢を崩した。その衝撃で右足首に痛みが走り、その残り3メートルを足を引きずりながら歩いた。 痛みは次第にひいて、これならまあ大丈夫かなと午前中の撮影に出かけ、帰り道にちょっと離れた駅まで歩いていたところで気づいた。あれ、まだ痛い、足首。 ひきずるほどではないけれど、歩くのがちょっと億劫になる痛み。私はとにかく歩くことが好きなので、時間が許す限り移

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【4/16横浜戦●】 御茶ノ水のレコードとコーヒーとヤクルトと

このあほかというほどに仕事が立て込んでいる中、夫はにこにことロス出張に出かけていった。ロス…?よくわからない。わからないのでとりあえず、子どもたちとおいしいものを食べにいくことにした。 ポール・ボキューズ、お食事と雰囲気とお値段のバランスが絶妙でだいすきです。赤ちゃん連れ(うちはもう赤ちゃんいないけど)でも気兼ねなくいける上に、「特別感」がしっかりあって、お値段高すぎないって、実はなかなかない。ホテルもいいけどホテルはやっぱりちょっとここよりはお高い。もちろんそれも「特別感

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【4/15横浜戦◯】青木のヒットと大喜びのベンチと

頭を丸刈りにした青木は何度も何度も何度も粘り、12球目をとうとう、レフトに打ち返した。19打席打席ぶりのヒットに、ベンチは大盛りあがりだった。ホームランを打った選手を迎えるようなテンションで、代走の渡邉くんと交代して帰ってくる青木を迎えた。 帰国後、初ホームランを打った青木をサイレントトリートメントで迎えたベンチを思い出す。あの時は間違いなくそれが、チームにだってプラスをもたらした。それは、大きな1点となってチームに入った得点だったから。だけど今回は、少し違う。それは、その

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【広島戦4/12◯ 4/13●】調子の波は誰にもあるけれど、じたばたせずにぐっと。

これは、13日広島戦、8回裏に塩見が出塁し、盗塁も成功させ、てっぱちも四球を選び、一死1,2塁で4番村上くんと5番青木を迎えたものの、二者連続三振で終わったときの私の表情である。カワウソである。 たしかにまあ、そうだ。前日の試合でもなかなかクリーンナップが打てなくて、試合を決めてくれたのは5番に入ったケリーの押し出しと、6番長岡くんのタイムリーだった。 でもその形が、いつだってうまくいく、わけではない、もちろん。やっぱり、「打つべき人が打つべきところで打つ」というのは、チ

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【4/10巨人戦◯】けけフォーエバーと、たいしのこと。

「ここ来るのさ、日本シリーズ以来だから、なんかちょっと不思議な感じ!」と、前を歩く息子が言う。「そういえばそうだね」と、私もついこの前のような、それでも随分前のような、あの日本シリーズの毎日のことを思い出す。 東京ドームが「ホーム」だった一週間弱を経て、また「ビジター」に戻ったここへやってきた。 久々のドームは、ビジョンも新しくなり、えらいでかでかと映し出される選手たちは、坂本も岡本も丸も、なんだか普段の3倍くらい怖く見える。 けいじくんは2回裏に早速丸にホームランを打

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【4/9巨人戦●】長岡くんが見せた悔しそうな表情の、その先に

サヨナラ勝ちする日があれば、サヨナラ負けする日もある。今日も私は「追いつく」と「勝ち越す」は違うんだなあ…と、遠い目をしながらそう思う。そうは言っても今日の追いついた瞬間は、もう随分前のことのようだ。7回以降は両者点が取れず、均衡した試合は緊張感を抱いたまま、延長線に突入した。 勝ち越しのチャンスは思えばたくさんあった。気づけばヤクルトは9本のヒットを放っていたし、何度も得点圏にチャンスを進めていた。でも高津さんが言うように、「あと一本」が出なかった。うめちゃんが打たれた「

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【4/7中日戦● 4/8巨人戦】「追い上げる」「追いつく」「勝ち越す」の大きな差と「流れ」のこと

4/7中日戦● 「こういうところで、勝ち越しておきたいんよなー…」と、私は思わずつぶやく。反撃のタイミングで、「あと1点」まで追い上げるのと、「同点」まで追いつくのと、「勝ち越す」のでは、大きな差があるのだ。 できるだけ勝ち越しておきたい。そうして流れをこっちにもってきておきたい。例えば今日であれば、松本くんが二日連続の2ラン(!!)を打って3-4まで追い上げたところだ。流れは一気に、ヤクルトに傾いたように思えた。だけど追い上げは「あと1点」のところまでだった。そこから勝

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【4/6中日戦◯】 長いシーズンの、キュートな一勝

一年間毎日毎日試合を見ていると、まあほんとうにいろんな試合を目にする。劇的なサヨナラ勝ちがあれば、悲劇的な逆転負けもある。ああほんとうに好きでいてよかったと思う試合もあれば、もう二度とみないぞととぼとぼ思う試合もある。(もちろん、翌日にはまた見ている。)派手に点をとる試合もあれば、1点差を守るしびれる試合もある。 そして、勝ちきれなかった試合の翌日に、昨年は一軍登板のなかったキャッチャーが2ランを打ち、その2点で勝つ、そんな試合だってある。 松本くんは初めてのお立ち台で何

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【4/5中日戦●】 シミノボの悔しさも、村上くんの悔しさも

少し送れて神宮に到着した瞬間、ヤクルトは2失点した。「着いたらすぐ失点!」と、言いながら私はウーロンハイを飲む。なんせ、お昼にこどもたちとラ・ベットラ・ダ・オチアイへ行き、絶品パスタとともに白ワインをいただいたのである。ここはなんとなく、ビールではなくウーロンハイにしておく。(でも神宮のウーロンハイ、なかなかに、濃い。) 「萩の湯のウーロンハイ並みに、濃い。」と、むすめに話していると、あっというまにヤクルトは5失点を許していた。

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【4/2横浜戦◯】てっぱちがいつだって何かを打破しようとした、250本分のその思いを

サヨナラのいいところは、みんなが報われるところ。何度も何度もそう思う。そして、その瞬間のヤクルトたちを見るたびに、ああもうほんとうに大好きだ、と、そう思う。 サヨナラの一勝は、みんなでつかみとった一勝だ。先制の塩見もピンチを救った田口も、ピンチを招きながら乗り切ったうめちゃんも。打たれたけどそれ以上を許さなかった清水くんだって。みんなみんながヒーローだ。だから自信を持って、明日からも戦っていけますように。 ♢ 数字というのは環境によって重さを変える。楽しいことをしている

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【3/31巨人戦● 4/1横浜戦●】おでんと京都とヤクルトと

3/31巨人戦● 必死に働いて得た貯金を、あっというまに使い切る。 というのはまあ、何を隠そう私の得意技でもある。だからもちろん、開幕三連勝で必死に貯めた貯金を、直後に三連敗で使い切るヤクルトにとやかく言う資格は、一切、ない。 京都は四条にある、ほんとうにすばらしいおでんやさん「蛸長」へ行こうとしたら、お店の外で待つ人が数組いた。そりゃそうだ、おいしいもの、と、列に並び、おもむろにDAZNをつける。じゅりは、あっというまに一回表を終わらせていた。 あたたかくなったと思

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【3/30巨人戦●】電車を見つめる3歳と、ヤクルトを眺める38歳と

実家でおじいちゃんの四十九日のおつとめを終え、一息ついていた。なんとなく、まだ帰ってほしくなさそうなお父さんが、「かつおのたたきあるで」と言うので、お庭からおねぎをとってきて細く切り、それをどっさり乗せて食べることにした。「ローストビーフもあるで」と言うものだから、それもサラダにし、「ビールもあるで」と言うものだからビールをグラスに注いでいたら、もう試合は始まっていた。 慌ててテレビをつけると、解説のたてさんが、カツオさんを絶賛しているところだった。 これはいいものを聴け

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