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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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2021年10月の記事一覧

【10/26横浜戦◎】優勝するために、誰一人欠かせなかった。

「その瞬間」、私は何を思うのだろう、と、いつも思っていた。もし、いつかヤクルトが優勝したら、その時何を思い、そしてその日の空には何を見るのだろう、と。 「いつか」は、ほんとうにやってきた。2年連続で最下位に沈んだチームは、今日、多くの人たちの予想を覆し、(私の予想だって覆し、)優勝を決めた。空には、半月に向かって欠けていく月がとても、とても美しく浮かんでいた。 「その瞬間」、私はただ、泣いていた。それは38年間で味わう初めての感情だったのだと思う。「ママ泣きすぎ!」と、む

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【10/24巨人戦◯】泣きたいような気持ちで私は、空を見上げる。

しんどいことがあった時は、この映像を見ることにしよう、と、そう思うシーンがいくつかある。 そして今日その「つらい時に見返すフォルダ」に新しい動画がまた、加わった。何回だって何百回だって見返すと思う。(だって人生は、というかヤクルトの試合を見ていたら、「しんどいこと」なんていうのは山ほどあるのだから。) じゅりが二塁上で高く上げた両手を、私はきっと忘れないと、そう思う。どれだけなんでも忘れていく私でも、これだけは。

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【10/23巨人戦●】優勝したい、と願う勇気(みたいなもの)

うまくいくことばかりじゃない、と、それはほんとうにわかっている。いついかなるときも、浮かれてはいけない。そう、いつも言い聞かせる。それでもはやる気持ちは抑えられない。「その瞬間」、私は何を思い、どんな空を見上げるのだろう、そんなことをつい、何度も何度も想像している。 だけど、なかなか厳しい現実が待ち受けている。私の心の奥底で「ほら浮かれちゃいけないって言ったのに」という気持ちが渦巻いているのがわかる。「知ってたよ、そんなこと」と、そんな言葉が、心の隅に張り付いているのが見え

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【10/21広島戦●】サンタナが7回表、ライトで祈っていたこと

長い長い、7回表の攻撃の時、目の前のサンタナは帽子を深くかぶり、何かを熱心につぶやいた。 サンタナが信じる神さまへの祈りだったのかもしれない。それとも、自身への喝だったのかもしれない。はたまた、お腹が空いたなあ、と、思ったのかもしれない。だけどその姿はとても真摯で、私はなんだかそこから、目が離せなかった。 長い長い守備が終わり、次の攻撃で、サンタナはソロホームランを打った。大きな大きな一本が、もう心が折れそうな私たちの方に向かって飛んできた。サンタナはゆっくりとダイヤモン

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【10/20阪神戦△】「勝てなかった」ことより「負けなかった」ことが自信になるように

たいへん個人的なことですが、ここのところ大変、慌ただしい。というのも、夫がまたもや(一年に360日くらいはある)多忙期に入り、ろくに家におらず、まあいつものことではあるけれども日々のごはんも掃除も子どももねこも植物も塾もなんやかんや一人で回しながら仕事しているとさすがに「…むりだわ!!」という日がやってくる。 で、こんなときはあれですよ、と、一休のサイトからホテルのスパを予約して行ってきた。プールで1キロ泳ぎ、プールサイドで本を読み(ちょっと仕事をし)、マッサージを受けて、

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【10/19阪神戦●】奥川くんの、成長痛

「ここで二連勝だと甲子園で優勝が決まっちゃうんだよね…!」なんてことを、話していた。 いやいやいやいやいや。なにをそんな、余裕ぶっこいてるんだ、と、その時の自分に言いたい。ゆだんたいてきおでんたいやき。いついかなるときも、浮かれては、いけない。 「なんかいつものヤクルトを思い出したよ…」と、取られまくる点数を見ながら私はつい、口にする。 いや、思えば、後半戦の調子があまりにも良いものだから、いつもどこかで「魔法が解けたらどうしよう」という不安を抱えていたような、気がする

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【10/17横浜戦◯】ハマスタのウイング席から、球場の広さを目の当たりにする

初めて座る横浜スタジアムのウイング席からは、バッターがほんとうにほんとうに、小さく見えた。「たっか!!!いやてっぱち、ちっさ!!!!」と、息子と私は笑い合う。外野レフト席の上段に位置するこの席は、なんだか、まったりとした空気が流れていて、ゆっくりと野球を見ることができた。基本的に私は、そういう空気が好きだ。「でも結構いいね、この席」と、言いながら、コンビニで買ってきたホットコーヒーを飲む。 そう、ゆっくりした空気が良いとは言え、なんせ、寒い。あまりにも寒くて、「ビールが飲み

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【10/16中日戦●】最後はたぶん「腹をくくることができるかどうか」

高校の同級生、雪野ちゃんの個展へむすめと寄ったあと、神宮へ向かう。このnoteの素敵なヘッダーを描いてくれた友人だ。 同級生がこうしてがんばって仕事をしているところを見るたび、めちゃくちゃうれしくなる。 あの3年間があってよかった、と、私はこの人生で100回目くらいのことをまた思い、むすめと歩いて神宮を目指す。表参道から歩いて行ける球場なんて、そうそうない。最高だ。最高すぎて、今日も銀杏並木のテラスでワインを飲んでから行くことにする。 キハチは予約でいっぱいだったので(

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【10/15巨人戦◯】高級甘鯛弁当の柴漬けのように

今日も元気に仕事が終わらず家を出る時間が遅くなり、もう試合が始まっているというのに神宮に持っていくお弁当をデパ地下で選んでいたら、ヤクルトは早速坂本にホームランを打たれていた。いや、なんだか今日の坂本には打たれる気がしたのだ。言わんこっちゃない。いや、言ってないけど。と、私は思う。 いつもこの時間に安くなっている海鮮丼を見ていたら、岡本にまで2ランを打たれていた。初回に3失点。これはなかなか厳しいパターンではないか。昨日あんなに点が取れなかったヤクルトである。3点差を取り返

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【10/13◯・14△中日戦】勝てたこと、勝てなかったこと、負けなかったこと。

少し前、田口は「まだまだ僕たちは挑戦者」と、言っていた。 ヤクルトが、シーズン終盤にきて初の首位に躍り出たときだ。 「挑戦者」だったみんなは、そこからなんとかここまでふんばり続け、首位のまま10月を迎え、マジックを点灯させた。

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【10/12中日戦●】柳の、「勝ち」への執念

一日中低気圧にやられ、午前中は意識的にお昼寝…というか、朝寝をした。そこからこまめにたんぱく質をとり、適度な糖質で元気をつけつつ、なんとかnoteを書き、原稿を進める。そしてまだ夕方の早いうちから、uberで夕食を注文しておいた。もうこれはぎりぎりまで仕事に時間がかかってキッチンに立つ余裕がないと、早いうちに見切りをつけたのだ。こういうの、だいじ。 そんなわけで試合が始まってもまだ仕事は終わっておらず、iPadで配信を流しながら、カタカタと原稿を片付けていた。 ライアンは

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【10/10阪神戦◯】そして三連戦の最後に田口は勝利投手になる。

この阪神三連戦、一戦目と二戦目で、2日連続田口のことを書いていたのは特に狙いがあったわけでは、特に、ない。 だけどこの二戦の田口のそれぞれの踏ん張りと、闘志と、そのあとの真摯な対応は、こちらの心をぐっと掴むものがあった。そして終わってみればこの三連戦は、なんだか田口に支えられてた、そんな気がする。 「優勝争い」というのはこういうものか、という空気が、ずっと神宮を囲んでいた。シーズン終盤、いつもなら「最下位」が決定している時期なのだ。この緊張感は、私にとっては初めて感じるも

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【10/9阪神戦●】田口が今日とった、一つのアウト

ブルペンから見た田口は少しだけ、緊張しているようにも見えた。 いや、そんなことはないかもしれない。緊張しているのは田口じゃなくて、それを外野席から見ている私の方だったのかもしれない。

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【10/8阪神戦◯】吠えた田口と、球場を覆っていたあの空気

「すごいなあ、ヤクルトファンはほんまに声ださんと応援するんやな。えらいな。」と、内野のうしろに座った阪神ファンの若者二人が話していた。

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