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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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2021年3月の記事一覧

【3/30横浜戦◯】それぞれの物語を抱えながらつかむその、一勝を

「ちょっともう僕みてられないからサッカー見ていい…?」と、9回裏、息子がチャンネルを変える。するとそちらはその時点で11-0で勝ったまま試合が進んでいた。 「なにこれ、サッカーじゃなかったっけ、野球なのかな…?」と息子が言う。「…いやいや待って、野球だって11-0は通常のスコアじゃないからねそれヤクルトで麻痺してるだけやからね!!」と、私は言う。 「あーーーーこわい、やっぱりオープン戦とはぜんぜん違うねえ…」と、息子が言う。「ほんとだねえ」と、私は答える。もうほんとうに、

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【3/28阪神戦●】野球を見ない日、ぐっちが粘った12球

今年はいつも、打席で祈っていた。 「けがしませんように、打てますように。」 おまじないのように、何度も、何度も。打ってほしい、でもそれ以上に、もうどうか、けがしないでほしい。いつも、そう願っていた。

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【3/27阪神戦●】「間違いなくヤクルトスワローズが、僕にとって最後のチームになると思います」と、内川さんは言う

長い長い守備の時間、パトさんはずっと、真剣にグラウンドを見ていた。 3アウトになった瞬間、パトさんの仕事がやってくる。でもそれが、いつなのかはわからない。だからじっと、見守りながら待つしかない。どれだけその時間が、長く続こうとも。 じっと静かに、マイクを握りしめてグラウンドを眺めるパトさんを見ながら思った。

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【3/26 阪神戦●】高揚と期待と現実と、青木がヘルメットに向かって叫んだ思いと

「今シーズンの、初ホームランは誰かなあ!」と、息子が言う。「なんといってもほら、(セ・リーグの中では)神宮は試合開始時間が早いから、ヤクルトかもしれないよ、ぐっちかもよ!」と、私は言う。「ううむ。そう思いきや、サンズだったりして…」と、息子が答える。「いやいやいや」と、私は笑う。 …私は笑う。 …笑っている場合では、ない。 「ほら!!!!!だから言ったじゃん!!!!!!」と、4回表、前に座っていてた息子が振り返って言う。息子が言い終わらないうちに、あっという間にサンズの

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2021年シーズン、開幕に寄せて

ビールの泡がこぼれないように気をつけながら、青い階段を踏みしめるように、一段一段、ゆっくりと登る。ビールだけを見守るように見ていた手元から、ふと顔をあげると、目の前に、緑の芝生がわっと広がる。 この瞬間が、いつも、いつもたまらなく好きだ。でもその感慨を誰にどう伝えればいいのかわからなくて、私はつい、空を見上げる。「ただいま」と、誰にでもなくつぶやく。 「ママ、ビール!」と、こどもたちが教えてくれる。慌てて視線を手元に戻す。ゆるやかな糖質制限をしても、体型を整えることを誓っ

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